国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、キリバスの鶏飼養数は1961年の100羽から徐々に増加し、2022年には658羽に達しています。1960年代から安定的な成長を遂げた後、一時的な停滞や緩やかな増減が見られるものの、全体としては持続的な増加傾向にあります。この推移は、キリバスにおける畜産業や家禽飼養の発展の一側面を反映していると考えられます。
キリバスの鶏飼養数推移(1961年~2023年)
年度 | 飼養数(羽) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 659,000 |
0.15% ↑
|
2022年 | 658,000 |
1.23% ↑
|
2021年 | 650,000 |
1.25% ↑
|
2020年 | 642,000 |
1.26% ↑
|
2019年 | 634,000 |
-0.94% ↓
|
2018年 | 640,000 |
1.27% ↑
|
2017年 | 632,000 |
1.28% ↑
|
2016年 | 624,000 |
1.3% ↑
|
2015年 | 616,000 |
0.98% ↑
|
2014年 | 610,000 | - |
2013年 | 610,000 |
0.83% ↑
|
2012年 | 605,000 |
0.83% ↑
|
2011年 | 600,000 |
3.45% ↑
|
2010年 | 580,000 |
1.75% ↑
|
2009年 | 570,000 |
3.64% ↑
|
2008年 | 550,000 |
5.77% ↑
|
2007年 | 520,000 |
10.64% ↑
|
2006年 | 470,000 | - |
2005年 | 470,000 |
2.17% ↑
|
2004年 | 460,000 |
2.22% ↑
|
2003年 | 450,000 | - |
2002年 | 450,000 |
12.5% ↑
|
2001年 | 400,000 |
9.59% ↑
|
2000年 | 365,000 |
21.67% ↑
|
1999年 | 300,000 | - |
1998年 | 300,000 | - |
1997年 | 300,000 | - |
1996年 | 300,000 |
3.45% ↑
|
1995年 | 290,000 | - |
1994年 | 290,000 |
0.69% ↑
|
1993年 | 288,000 |
3.6% ↑
|
1992年 | 278,000 |
3.73% ↑
|
1991年 | 268,000 |
3.47% ↑
|
1990年 | 259,000 |
4.02% ↑
|
1989年 | 249,000 |
3.75% ↑
|
1988年 | 240,000 |
4.35% ↑
|
1987年 | 230,000 |
4.55% ↑
|
1986年 | 220,000 |
4.76% ↑
|
1985年 | 210,000 |
5% ↑
|
1984年 | 200,000 |
5.26% ↑
|
1983年 | 190,000 |
5.56% ↑
|
1982年 | 180,000 |
4.65% ↑
|
1981年 | 172,000 |
3.61% ↑
|
1980年 | 166,000 |
1.84% ↑
|
1979年 | 163,000 |
1.88% ↑
|
1978年 | 160,000 |
1.91% ↑
|
1977年 | 157,000 |
1.95% ↑
|
1976年 | 154,000 |
1.99% ↑
|
1975年 | 151,000 |
2.03% ↑
|
1974年 | 148,000 |
2.07% ↑
|
1973年 | 145,000 |
3.57% ↑
|
1972年 | 140,000 |
5.26% ↑
|
1971年 | 133,000 |
3.91% ↑
|
1970年 | 128,000 |
3.23% ↑
|
1969年 | 124,000 |
3.33% ↑
|
1968年 | 120,000 |
4.35% ↑
|
1967年 | 115,000 |
1.77% ↑
|
1966年 | 113,000 |
2.73% ↑
|
1965年 | 110,000 |
1.85% ↑
|
1964年 | 108,000 |
2.86% ↑
|
1963年 | 105,000 |
1.94% ↑
|
1962年 | 103,000 |
3% ↑
|
1961年 | 100,000 | - |
キリバスの鶏飼養数のデータは、同国の畜産業の発展や農村部生活の安定度を示す指標として重要です。このデータによると、1961年から2000年にかけて鶏の数は緩やかに増加しており、毎年の増加幅も安定していました。この時期は、農村部での養鶏活動が徐々に浸透し、小規模な鶏の飼養が生計の一助として活用されていたと考えられます。特に1980年代以降の顕著な増加は、地域経済の活性化や国際支援による農業技術の改善が影響している可能性があります。
2000年代以降、鶏飼養数の増加ペースが加速し、2000年の365羽から2022年の658羽まで急激な伸びを見せました。この期間には、政府や国際機関による農業振興策、あるいは外部市場とのつながりの拡大が影響したと考えられます。しかし、このような増加が常に順調であったわけではなく、1995年から1999年までは300羽を維持する停滞が見られ、近年でも2019年にわずかな減少が記録されています。このような変動は、天候の変動、国外からの支援の減少、または新型コロナウイルスなど社会的・経済的な影響にも関連していると考えられます。
キリバスにおける鶏の飼養は、農業を補完する生活資源の確保であり、特に家計貢献や地域での栄養価の向上に貢献しています。2022年の658羽という数字は、全人口と比較して小さく見えるものの、島嶼国特有のリソース制約や土地利用の制限を考慮すると、持続的な発展ができている兆候と捉えることができます。他国と比較すると、例えば日本やアメリカのように工業的な飼育は行われていないため、キリバスではほぼ伝統的・自給的な規模の養鶏が続いていると言えます。
課題としては、気候変動や自然災害が鶏の飼養と生産環境に与える強い影響が挙げられます。キリバスは海抜の低い島国であるため、海面上昇や熱帯性暴風雨は農業に限らず畜産にも直接的な影響を及ぼします。また、輸送や冷凍設備が不十分なため、今後国内需要が増加した際の流通インフラの強化が求められます。
今後の政策提言としては、まず気候変動への適応策を講じることが重要です。具体的には、耐気候性の向上を目指した飼育環境の改善や災害時の家畜保護計画の立案が必要です。そのうえで、地域間協力を通じて、近隣諸国と共有可能な技術や資源を活用する取り組みも求められるでしょう。また、小規模農家への技術・資金援助プログラムの実施により、養鶏を推進することも、生産力向上や二酸化炭素排出量削減の新たな可能性を生むと考えられます。
全体を総括すると、キリバスの鶏飼養数の持続的増加は、同国の農業成長だけでなく、地域住民の生活向上や食糧安全保障の向上とも密接に結びついています。今後は、自然災害や地政学的な問題にも柔軟に対応しながら、資源の効率的な利用と社会的安定を目指した長期的な戦略が必要です。国際連合やオセアニア各国による一層の協調が、同地域全体の持続可能な発展に寄与するでしょう。