Skip to main content

チリの鶏飼養数推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データによると、チリの鶏飼養数は1961年の8,950万羽から2022年の57,142万羽まで大幅に増加しており、この期間中、特に近年の増加傾向が顕著です。一方で、飼養数の推移は一定ではなく、経済状況や政策の影響に応じて変動が見られます。例えば、1983年から1985年には飼養数が著しく減少しており、近年も2020年に一時的な減少が確認されています。

年度 飼養数(羽)
2022年 57,142.00
2021年 57,476.00
2020年 55,429.00
2019年 57,522.00
2018年 56,641.00
2017年 54,779.00
2016年 51,986.00
2015年 52,201.00
2014年 48,654.00
2013年 47,558.00
2012年 48,002.00
2011年 47,819.00
2010年 47,479.00
2009年 43,210.00
2008年 44,163.00
2007年 46,285.00
2006年 41,787.00
2005年 41,474.00
2004年 37,655.00
2003年 34,165.00
2002年 30,933.00
2001年 36,007.00
2000年 38,408.00
1999年 32,772.00
1998年 32,073.00
1997年 30,192.00
1996年 28,330.00
1995年 29,088.00
1994年 29,214.00
1993年 27,447.00
1992年 25,726.00
1991年 22,896.00
1990年 19,358.00
1989年 29,000.00
1988年 28,000.00
1987年 26,000.00
1986年 21,000.00
1985年 19,000.00
1984年 20,000.00
1983年 23,000.00
1982年 30,000.00
1981年 30,000.00
1980年 26,000.00
1979年 21,000.00
1978年 16,800.00
1977年 16,500.00
1976年 16,300.00
1975年 16,000.00
1974年 15,600.00
1973年 15,300.00
1972年 15,800.00
1971年 14,800.00
1970年 14,500.00
1969年 14,300.00
1968年 14,000.00
1967年 13,000.00
1966年 12,500.00
1965年 11,718.00
1964年 11,000.00
1963年 10,320.00
1962年 9,630.00
1961年 8,950.00

チリの鶏飼養数のデータを分析すると、経済発展と農業生産の拡大に伴い、全般的に飼養数が増加していることが分かります。1961年当時は8,950万羽と少数でしたが、その後の都市化や国内外における畜産食品需要の増加に応じて、鶏飼養の規模は増大していきました。この拡大の背景には、家禽(かきん)産業の近代化や輸出促進政策の実施が寄与しています。特に1980年代後半以降に見られる現代化された農業生産手法の導入が、生産性向上を支える重要な要因として挙げられます。

ただし、この長期的な増加トレンドの中にも、飼養数が大幅に減少する期間が見られます。例えば、1980年には2,6000万羽に達した飼養数が、1983年には2,3000万羽、続く1985年には1,9000万羽まで減少しています。この時期には、チリの経済情勢の悪化が産業全体に影響を与えたことが原因と考えられます。また、1990年代以降に回復傾向が見られるものの、2002年の減少(3,093万羽)や2020年に観察された5,542万羽への一時的減少は、疫病や世界的な経済混乱などの影響が示唆されます。新型コロナウイルスのパンデミックと、それに伴う国際物流の混乱が2020年の一因として挙げられるでしょう。

国際的な観点から見ると、チリは南米において鶏肉および卵の重要な生産拠点となっており、特に近隣諸国やアジア市場への輸出が大きなウエイトを占めています。同地域の中でブラジルやアルゼンチンなどの大規模生産国と競争が激化しており、市場の多様化が政策上の課題となっています。例えば、日本のような高品質食品市場や中東諸国の新興市場への販路拡大が求められます。

また、持続可能性や環境保全の観点からも課題が顕著です。鶏飼養数の増加は、飼料生産や鶏舎建設に伴う土地利用競争の拡大を引き起こし、森林破壊や炭素排出量の増加に寄与する可能性があります。将来的には、家禽生産におけるエネルギー効率の向上や代替飼料の使用普及が求められるでしょう。たとえば、カーボンフットプリントを削減する生産手法やバイオ飼料の導入を積極的に進めることが具体的な対応として挙げられます。

地政学的背景も無視できません。チリは海上貿易に依存していることから、周辺海域の地政学的リスクや国際物流の混乱が鶏産業に直接影響を及ぼします。例えば、港湾の労働争議や物流の停滞が鶏肉の輸出入を制約し、国内供給にも波及する可能性があります。このため、地域協力の枠組みを強化し、貿易の障壁を最小化する施策が有益です。

結論として、チリの鶏飼養数は過去60年間で著しい増加を見せており、国内外の需要増に対応して成長を続けています。ただし、この増加の背後には経済、疫病、環境問題など多様な課題が存在します。今後は、持続可能な生産システムの確立や地政学的リスクへの対策が必要です。具体的には、農業技術の革新、輸出市場のさらなる多様化、さらには国際協力の深化を通じて、生産拡大と環境保護を両立する政策が効果的であると考えられます。