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グルジアの鶏飼養数推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによれば、グルジアにおける鶏の飼養数は、1990年代初頭の11,211羽から近年の2022年には9,092羽となり、30年を超える期間で上下を繰り返しつつも全体的に減少傾向を示しています。一部の年において大幅な増減が見られ、特に1998年の15,000羽と、2007年の5,050羽という極端な値が特徴的です。近年はやや安定を取り戻しているものの、飼養数は1990年代初頭の水準には戻っていません。

年度 飼養数(羽)
2022年 9,092.00
2021年 9,980.00
2020年 9,298.00
2019年 7,942.00
2018年 8,220.00
2017年 8,046.00
2016年 8,309.00
2015年 6,658.00
2014年 6,761.00
2013年 5,760.00
2012年 5,900.00
2011年 6,050.00
2010年 6,190.00
2009年 6,200.00
2008年 5,700.00
2007年 5,050.00
2006年 7,000.00
2005年 9,300.00
2004年 8,700.00
2003年 8,299.00
2002年 8,095.00
2001年 7,526.00
2000年 8,000.00
1999年 7,700.00
1998年 15,000.00
1997年 8,543.00
1996年 8,645.00
1995年 7,347.00
1994年 12,290.00
1993年 11,858.00
1992年 11,211.00

グルジアにおける鶏飼養数の推移を検討すると、明確な特徴として1990年代に大きな増加と減少が交互に見られます。1992年から1998年にかけては、飼養数が11,211羽から最大で15,000羽に達した後急落しています。特に1995年の7,347羽までの減少と1998年の15,000羽までの急増は、鶏飼養産業における不安定性を鮮明に表していると考えられます。このような動きは、1990年代のグルジアにおいて、ソビエト連邦崩壊後の経済的混乱や食品供給チェーンの崩壊が、農業政策や家畜業に大きな影響を与えた背景と関連付けて捉えることができます。

2000年以降は鶏の飼養数が逐次的に安定化し始めたものの、全体としては初期の高い水準を維持するには至りませんでした。特に2007年には最低値の5,050羽を記録し、経済的な収縮や家禽産業への支援不足が影響を及ぼした可能性が指摘されます。その後、2010年代にかけては緩やかな増加傾向が見られましたが、それでも1990年代初頭の飼養数を回復することはできませんでした。この期間の背景には、家禽生産よりも輸入肉への依存が高まったことや、飼料価格の上昇が要因となっていると考えられます。

さらに近年では、2020年に9,298羽、2021年には9,980羽とやや増加しつつも、2022年には9,092羽と再び減少へ転じています。新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延による物流停滞、飼料供給の不足、またグローバル市場での価格競争も、影響を及ぼした要素として考慮すべきです。このように、新型コロナ禍以降の国際的な供給網の混乱がグルジアの家禽生産に影響を与えた点は無視できません。

これらの動向を踏まえると、グルジアにおける鶏の飼養産業の持続的な発展には、いくつかの課題が存在します。第一に、飼料供給の安定化を図るために、国内での飼料生産能力を強化することが重要です。輸入に依存する現在の構造を改善することで、価格変動や供給リスクを減らすことが可能となります。第二に、小規模な農家を対象とした技術支援や金融支援を拡充することで、生産効率を高めることも必要です。これにより、小規模生産者の競争力が向上し、業界全体の安定性が促進されるでしょう。さらに、国内だけでなく地域間連携を強化し、近隣諸国との協力を通じて輸出市場を開拓することが求められます。

地政学的な観点からは、グルジアはその位置的特性から地域紛争のリスクが周辺国より高く、エネルギーや輸送路の問題が家禽業界にとっても潜在的なリスクをもたらしています。今後、家禽産業と無関係ではないこれらのリスクを緩和するために、地域紛争の解決と安定的な供給網の確保に取り組むことが重要です。

結論として、グルジアにおける鶏飼養数は長期間にわたる変動を繰り返しながら、現在も改善の余地を残しています。FAOなど国際機関の支援を得つつ、技術的革新と政策的手当を並行して進めることで、持続可能な家禽生産への道筋が見いだせるでしょう。地元農家の強化や収益性向上のため、政府および民間双方による積極的な投資や政策提言を期待するところです。