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レソトの鶏飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月更新のデータによると、レソトの鶏飼養数は1961年の635羽から1995年の1,500羽へと増加した後、減少と停滞を繰り返しながら2022年には343羽まで減少しました。全体の推移を見ると、1970年代以降に大きな波があり、近年は飼養数が著しく低下しています。このデータは、食糧供給や農業の持続可能性といった重要な課題に影響を与える指標といえるでしょう。

年度 飼養数(羽) 増減率
2023年 473,000
37.9% ↑
2022年 343,000
7.52% ↑
2021年 319,000
-16.05% ↓
2020年 380,000
32.87% ↑
2019年 286,000
-31.74% ↓
2018年 419,000
-3.23% ↓
2017年 433,000
48.29% ↑
2016年 292,000
-44.06% ↓
2015年 522,000
-42.38% ↓
2014年 906,000
146.87% ↑
2013年 367,000
-26.6% ↓
2012年 500,000
3.09% ↑
2011年 485,000
-3.39% ↓
2010年 502,000
-34.89% ↓
2009年 771,000
27.44% ↑
2008年 605,000
-32.25% ↓
2007年 893,000
-0.78% ↓
2006年 900,000 -
2005年 900,000
12.5% ↑
2004年 800,000
-11.11% ↓
2003年 900,000
-10% ↓
2002年 1,000,000
5.26% ↑
2001年 950,000
-5% ↓
2000年 1,000,000
-9.09% ↓
1999年 1,100,000
-8.33% ↓
1998年 1,200,000
-7.69% ↓
1997年 1,300,000
-7.14% ↓
1996年 1,400,000
-6.67% ↓
1995年 1,500,000
25% ↑
1994年 1,200,000
20% ↑
1993年 1,000,000
25% ↑
1992年 800,000
-11.11% ↓
1991年 900,000
-10% ↓
1990年 1,000,000 -
1989年 1,000,000 -
1988年 1,000,000 -
1987年 1,000,000
11.11% ↑
1986年 900,000
9.22% ↑
1985年 824,000
15.41% ↑
1984年 714,000
-22.73% ↓
1983年 924,000
-12.17% ↓
1982年 1,052,000
29.08% ↑
1981年 815,000
11.64% ↑
1980年 730,000
-11.62% ↓
1979年 826,000
-0.48% ↓
1978年 830,000
2.22% ↑
1977年 812,000
-2.17% ↓
1976年 830,000 -
1975年 830,000
-1.19% ↓
1974年 840,000
-1.18% ↓
1973年 850,000
1.19% ↑
1972年 840,000
1.2% ↑
1971年 830,000
-1.31% ↓
1970年 841,000
3.19% ↑
1969年 815,000
3.16% ↑
1968年 790,000
3.27% ↑
1967年 765,000
3.1% ↑
1966年 742,000
3.06% ↑
1965年 720,000
3.15% ↑
1964年 698,000
3.1% ↑
1963年 677,000
3.04% ↑
1962年 657,000
3.46% ↑
1961年 635,000 -

データを詳しく分析すると、レソトの鶏飼養数は1961年から1995年にかけて全体的な増加傾向を示しており、特に1982年以降の増加が顕著でした。しかし、1995年のピーク(1,500羽)を境に、飼養数は上下を繰り返しながら徐々に低下しています。この長期的動向は、経済や環境、社会的要因が複雑に絡み合っていることを示しています。

例えば、1980年代から1990年代にかけての増加は、恐らく政府の農業支援政策や地域経済改善が関与したと考えられます。一方で、2000年代以降になると急激な減少がみられます。この背景には、地球温暖化の影響による土地の乾燥化、飼料価格の高騰、農村部における所得の停滞が関連している可能性があります。特に2008年から鶏飼養数が605羽に減少し、その後2016年には292羽まで落ち込んだ点は、国家的な危機を如実に物語っています。

さらに、新型コロナウイルスの影響が2020年以降の飼養数減少に拍車をかけたと考えられます。パンデミックによる物流の混乱や経済的打撃は、農業にも多大な影響を及ぼし、鶏の飼養維持が困難になったことが想定されます。この問題は、レソト国内だけでなく、多くの発展途上国でも共通して見られる課題です。

レソトの鶏飼養数の推移を他国と比較すると、鶏の主要生産国である中国やアメリカでは、人口増と工業化の進展に伴い、鶏肉の需要増加が生産を押し上げる結果となっています。一方、レソトはその逆で、生産システムの脆弱性や過剰な自然依存によって、この先進国間との差がさらに広がる傾向が見られます。

この課題に対処するためには、まず国としてのインフラ整備が必要です。具体的には、灌漑システムの導入や鶏の飼料確保のための農業多様化が不可欠です。同時に、養鶏業者に対する技術支援や資金提供を行うことで、小規模農家が継続して鶏を飼う環境を整備する必要があります。

また、地政学的なリスクとして、南アフリカ共和国周辺諸国との関係にも注意を払う必要があります。レソトは内陸国であり、農業資源の安定的な供給を確保するためには、周辺国との協力体制が不可欠です。特に地域間での農業協定を締結し、輸出入プロセスを円滑にすることで、安定した飼料供給を目指すべきです。

結論として、レソトの鶏飼養数が大きく減少している現状を改善するためには、持続可能な農業政策と技術支援を強化し、周辺諸国との協調を図る必要があります。このような対策により、地域の経済安定化や食糧安全保障の向上が期待されます。また、長期的視点で気候変動への適応策も強化することが重要であり、これが持続可能な成長につながるでしょう。