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ブラジルの鶏飼養数推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、ブラジルの鶏飼養数は1961年の132,275千羽から2022年の1,586,048千羽へと約12倍に増加しています。この増加傾向は、国内外での鶏肉需要の拡大や畜産業の発展が背景にあると考えられます。特に2000年以降の増加ペースは顕著で、2022年には過去最高を記録しました。

年度 飼養数(羽) 増減率
2023年 1,577,570,000
-0.53% ↓
2022年 1,586,048,000
3.8% ↑
2021年 1,528,032,000
3.36% ↑
2020年 1,478,424,000
1.42% ↑
2019年 1,457,697,000
-0.54% ↓
2018年 1,465,647,000
2.73% ↑
2017年 1,426,659,000
5.86% ↑
2016年 1,347,626,000
1.6% ↑
2015年 1,326,453,000
0.43% ↑
2014年 1,320,749,000
5.94% ↑
2013年 1,246,638,000
0.11% ↑
2012年 1,245,269,000
-1.81% ↓
2011年 1,268,209,000
2.36% ↑
2010年 1,238,913,000
0.72% ↑
2009年 1,230,087,000
2.62% ↑
2008年 1,198,704,000
6.3% ↑
2007年 1,127,658,000
11.48% ↑
2006年 1,011,516,000
1.25% ↑
2005年 999,041,000
5.8% ↑
2004年 944,298,000
2.49% ↑
2003年 921,323,000
4.2% ↑
2002年 884,145,000
0.14% ↑
2001年 882,888,000
4.76% ↑
2000年 842,741,000
4.74% ↑
1999年 804,575,000
5.14% ↑
1998年 765,222,000
0.6% ↑
1997年 760,622,000
4.47% ↑
1996年 728,087,000
-0.2% ↓
1995年 729,531,000
7.11% ↑
1994年 681,088,000
4.12% ↑
1993年 654,167,000
2.27% ↑
1992年 639,625,000
7.61% ↑
1991年 594,392,000
8.82% ↑
1990年 546,235,000
2.83% ↑
1989年 531,219,000
4.14% ↑
1988年 510,099,000
-0.87% ↓
1987年 514,550,000
3.82% ↑
1986年 495,640,000
5.44% ↑
1985年 470,088,000
1.58% ↑
1984年 462,784,000
2.67% ↑
1983年 450,753,000
-4.08% ↓
1982年 469,924,000
4.42% ↑
1981年 450,048,000
1.98% ↑
1980年 441,321,000
13.84% ↑
1979年 387,657,000
12.13% ↑
1978年 345,711,000
4.26% ↑
1977年 331,586,000
-2.18% ↓
1976年 338,977,000
8.69% ↑
1975年 311,867,000
13.66% ↑
1974年 274,378,000
0.99% ↑
1973年 271,675,000
8.67% ↑
1972年 250,000,000
17.03% ↑
1971年 213,622,000
6.81% ↑
1970年 200,000,000
3.42% ↑
1969年 193,378,000
5% ↑
1968年 184,170,000
5% ↑
1967年 175,400,000
5% ↑
1966年 167,048,000
5% ↑
1965年 159,093,000
5% ↑
1964年 151,517,000
5% ↑
1963年 144,302,000
5% ↑
1962年 137,430,000
3.9% ↑
1961年 132,275,000 -

ブラジルの鶏飼養数の推移を詳しく分析すると、1960年代から安定的かつ加速的に増加が続いていることがわかります。1960年代後半から1980年代にかけては約2倍の増加を見せ、1980年代後半から1990年代にはさらに急成長を遂げました。この背景には、ブラジル国内での鶏肉消費の増加だけでなく、冷凍技術の進展や国際貿易の拡大に伴い、輸出市場が成長したことがあります。

特に2000年以降、ブラジルは鶏肉の世界輸出大国として台頭しており、アジア市場や中東市場からの需要が大きな影響を与えています。世界的にタンパク源としての鶏肉の需要が高まりつつあること、またブラジルが低価格で高品質な鶏肉を供給できる点が国際的な競争力の要因となっています。

ブラジルの鶏飼養数が2000年代に急増したもう一つの背景としては、政府による畜産業振興政策の影響が挙げられます。農業部門への助成金の支給やインフラの整備、また国際市場向けに食品安全基準を強化する取り組みが産業の発展を後押ししました。一方で、2008年や2012年などの一部の時期に微減または横ばいが見られるのは、農作物価格の上昇やエネルギー価格の変動、あるいは気候変動の影響による餌の供給問題が原因と考えられます。

2020年以降は新型コロナウイルス感染症のパンデミックが世界的に影響を与え、食肉産業全体で供給チェーンの中断と変化が見られました。しかし、感染症の影響にもかかわらず鶏飼養数は2020年以降も増加を続けています。これは、パンデミックに伴う経済不況の中でコストパフォーマンスの良い鶏肉への需要が増えたことや、ブラジル国内での食肉生産業が柔軟に対応した結果と考えられます。

地政学的背景としては、輸出依存の高いブラジル鶏肉産業が特定の地域紛争や貿易摩擦によって影響を受けるリスクが挙げられます。直近の例として、近年のウクライナ紛争による穀物価格の高騰が鶏飼養のコストに直結しており、この点が今後の課題となり得ます。また、気候変動が畜産業と農作物生産に与える影響も無視できません。例えば、大豆やトウモロコシといった飼料作物の生産が不安定になると、鶏飼養の成長ペースにブレーキがかかる可能性があります。

未来への具体的な提案としては、多角的な輸出市場の獲得を目指すことが重要です。例えば、アジアや中東地域以外にも、アフリカや欧州の成長市場に対応するためのマーケティング戦略が必要です。また、環境問題への対策としては、持続可能な飼料生産への投資や、廃棄物削減ならびに再利用技術の導入が求められます。それに加えて、ブラジル国内の小規模養鶏業者を支援し、生産基盤を多様化する政策により、供給リスクを分散することも課題解決のひとつです。

結論として、ブラジルの鶏飼養数の長期的な増加傾向は、同国の農畜産業が有する国際競争力や市場の需要を示す重要な指標です。しかしながら、持続可能性を考慮しつつ、輸出相手国の多様化や気候変動への適応を進めることが今後の課題となるでしょう。国際機関やパートナー諸国と連携し、新たな市場機会を模索する努力が求められます。