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ハンガリーの鶏飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、ハンガリーの鶏飼養数は1961年から2022年の間で大きく変動しています。1970年代、1980年代には全体的な増加基調が見られるものの、1990年代以降は減少傾向が目立ちます。1990年の約52,821万羽をピークに急激な減少フェーズを迎え、2000年以降は25,000万羽から35,000万羽の範囲で推移するようになっています。このような変動は、ハンガリー国内のみならず、世界的な経済情勢や畜産業の変化、地域的な事情が複雑に絡み合った結果と推測されます。

年度 飼養数(羽) 増減率
2023年 29,124,000
-9.31% ↓
2022年 32,114,000
11.17% ↑
2021年 28,888,000
-6.43% ↓
2020年 30,874,000
0.7% ↑
2019年 30,658,000
-3.72% ↓
2018年 31,844,000
-0.57% ↓
2017年 32,027,000
-1.25% ↓
2016年 32,432,000
6.26% ↑
2015年 30,521,000
3.55% ↑
2014年 29,474,000
-2% ↓
2013年 30,075,000
-8.48% ↓
2012年 32,860,000
3.18% ↑
2011年 31,848,000
-0.87% ↓
2010年 32,128,000
3.09% ↑
2009年 31,165,000
4.35% ↑
2008年 29,866,000
-1.44% ↓
2007年 30,303,000
-5.01% ↓
2006年 31,902,000
-2.78% ↓
2005年 32,814,000
-12.5% ↓
2004年 37,502,000
16.44% ↑
2003年 32,206,000
-6.22% ↓
2002年 34,343,000
11.81% ↑
2001年 30,716,000
18.64% ↑
2000年 25,890,000
-15.27% ↓
1999年 30,557,000
-1.37% ↓
1998年 30,983,000
11.88% ↑
1997年 27,692,000
-11.97% ↓
1996年 31,458,000
-7.22% ↓
1995年 33,906,000
10.04% ↑
1994年 30,813,000
-15.39% ↓
1993年 36,419,000
2.43% ↑
1992年 35,556,000
-20.9% ↓
1991年 44,948,000
-14.91% ↓
1990年 52,821,000
-6.87% ↓
1989年 56,719,000
-6.72% ↓
1988年 60,804,000
-2.04% ↓
1987年 62,070,000
9.5% ↑
1986年 56,686,000
-1.85% ↓
1985年 57,756,000
-2.36% ↓
1984年 59,155,000
-6.19% ↓
1983年 63,058,000
-0.9% ↓
1982年 63,629,000
3.72% ↑
1981年 61,347,000
0.13% ↑
1980年 61,269,000
-2.53% ↓
1979年 62,857,000
2.85% ↑
1978年 61,116,000
1.02% ↑
1977年 60,498,000
13.31% ↑
1976年 53,390,000
-1.73% ↓
1975年 54,329,000
3.96% ↑
1974年 52,261,000
10.32% ↑
1973年 47,371,000
-13.92% ↓
1972年 55,029,000
-17.03% ↓
1971年 66,324,000
14.11% ↑
1970年 58,121,000
25.79% ↑
1969年 46,204,000
-13.61% ↓
1968年 53,482,000
0.19% ↑
1967年 53,378,000
12.24% ↑
1966年 47,556,000
3.69% ↑
1965年 45,863,000
0.59% ↑
1964年 45,592,000
28.99% ↑
1963年 35,345,000
34.67% ↑
1962年 26,245,000
3.03% ↑
1961年 25,473,000 -

ハンガリーの鶏飼養数は、特に1970年代から1989年までの間に顕著な増加を記録しています。この背景には、冷戦期の計画経済体制における農業生産奨励策が挙げられます。同時に、農村部の産業基盤強化や輸出市場の需要増加が後押しとなり、農業を中心とした畜産業が成長しました。1980年代における飼養数は約6,000万羽を超え、当時の農業政策の結果として一つの成功を収めていました。しかし、冷戦終結に伴う体制の変容とともに、1990年を境に飼養数が急激に減少へと転じます。

1990年代の減少は特に顕著で、1994年には30,813万羽と、ピーク時の約半分にまで落ち込みます。これには、計画経済から市場経済への転換という大きな構造的変化が関係しています。市場経済の競争圧力が増大した影響で、小規模な農業経営者が淘汰される傾向が強まったことが一因と考えられます。さらに、地域的な貿易自由化やEU加盟後の農業政策への適応が進む中で、大規模農業の優位性が強調され、小規模農家が減少する結果となりました。

21世紀に入ってからは、飼養数が全体として安定化に向かうものの、30,000万羽前後で横ばい状態が続いています。ただし、細かな変動は依然として観察されます。特に2010年以降、飼養数が30,000万羽台で推移する中で、新型コロナウイルス(COVID-19)が農業にも影響を及ぼしました。欧州全体でみられたサプライチェーンの混乱が及び、2021年に28,888万羽へ減少しました。しかし2022年には32,114万羽へと回復の兆しも見られ、農業政策の適応能力の高さが示されました。

全体として、ハンガリーの鶏飼養数の推移は国際的な経済事情や地政学的なリスクとも密接に関わっています。たとえば、欧州市場での農産物需要、あるいはエネルギー価格の変動などが飼養業者の収支に影響を与えています。地域紛争や気候変動への対策も、将来の鶏飼養数に少なからず影響を及ぼすと考えられます。

将来を見据えた対策としては、飼養数の適正化とともにハンガリーの農業の持続可能性を向上させることが重要です。具体的には、小規模農家への経済的支援や技術支援、そして環境に配慮したバイオセキュリティの推進が挙げられます。さらに、国際的な農業市場への対応力を高めるため、地域協力の枠組みを活用することも考えられます。このような対策を講じることで、ハンガリーの鶏肉産業が抱える課題を克服し、長期的な発展を遂げることが期待されます。

結論として、ハンガリーの鶏飼養数推移は過去数十年にわたり多くの変動を経験し、その背景には経済の変化や政策の影響が強く関わってきました。今後の安定した成長を実現するためには、地政学的なリスクと環境問題への対応とともに、持続可能な農業モデルの構築が不可欠です。国や国際機関は、これらの課題への具体的な解決策を早急に打ち出す必要があります。