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ウルグアイの鶏飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年の最新データを基に、ウルグアイにおける鶏の飼養数の推移を分析した結果、1960年代から2019年まで一貫して増加傾向にあった飼養数が、2020年以降に急激な減少を見せています。2019年の43,894羽をピークに、2022年には3,073羽となり、ピーク時のわずか7%にまで落ち込んでいます。

年度 飼養数(羽) 増減率
2023年 49,431,000
1508.56% ↑
2022年 3,073,000
-4.24% ↓
2021年 3,209,000
-3.31% ↓
2020年 3,319,000
-92.44% ↓
2019年 43,894,000
38.56% ↑
2018年 31,678,000
-3.39% ↓
2017年 32,788,000
-7.94% ↓
2016年 35,615,000
-3.74% ↓
2015年 36,997,000
94.72% ↑
2014年 19,000,000
-5% ↓
2013年 20,000,000
11.11% ↑
2012年 18,000,000
2.86% ↑
2011年 17,500,000
6.06% ↑
2010年 16,500,000
-2.94% ↓
2009年 17,000,000
6.25% ↑
2008年 16,000,000
14.29% ↑
2007年 14,000,000 -
2006年 14,000,000 -
2005年 14,000,000
3.7% ↑
2004年 13,500,000
1.5% ↑
2003年 13,300,000
0.76% ↑
2002年 13,200,000
0.76% ↑
2001年 13,100,000
0.77% ↑
2000年 13,000,000 -
1999年 13,000,000
8.33% ↑
1998年 12,000,000
4.35% ↑
1997年 11,500,000
4.55% ↑
1996年 11,000,000
12.24% ↑
1995年 9,800,000
1.03% ↑
1994年 9,700,000
3.19% ↑
1993年 9,400,000
4.44% ↑
1992年 9,000,000
5.88% ↑
1991年 8,500,000
6.25% ↑
1990年 8,000,000
11.11% ↑
1989年 7,200,000
-2.7% ↓
1988年 7,400,000
7.25% ↑
1987年 6,900,000
1.37% ↑
1986年 6,807,000
9.79% ↑
1985年 6,200,000
-1.59% ↓
1984年 6,300,000
1.61% ↑
1983年 6,200,000
1.64% ↑
1982年 6,100,000
1.67% ↑
1981年 6,000,000
2.11% ↑
1980年 5,876,000
1.31% ↑
1979年 5,800,000
1.75% ↑
1978年 5,700,000
1.79% ↑
1977年 5,600,000
0.9% ↑
1976年 5,550,000
23.33% ↑
1975年 4,500,000
-16.67% ↓
1974年 5,400,000
-10% ↓
1973年 6,000,000
17.65% ↑
1972年 5,100,000
-3.77% ↓
1971年 5,300,000
0.61% ↑
1970年 5,268,000
3.29% ↑
1969年 5,100,000
2% ↑
1968年 5,000,000
6.38% ↑
1967年 4,700,000
-1.12% ↓
1966年 4,753,000
-0.98% ↓
1965年 4,800,000
2.13% ↑
1964年 4,700,000
-1.05% ↓
1963年 4,750,000
-1.04% ↓
1962年 4,800,000
-0.81% ↓
1961年 4,839,000 -

ウルグアイの鶏飼養数推移を振り返ると、1960年代の4,000羽台を起点に、1990年代以降急激な増加を示し、2000年代には13,000羽以上に達しました。この増加基調は継続し、特に2010年代には一層の成長が見られ、2013年には20,000羽を突破し、2019年には43,894羽と過去最高を記録しました。この上昇傾向の背景として、ウルグアイにおける家禽産業の発展、国内消費の増加、さらには近隣国への輸出の拡大が挙げられます。また、ウルグアイの豊かな土地資源は鶏の飼料作物の生産に有利に働き、効率的な生産体制を支えてきました。

ところが、2020年以降、状況は急変しました。2020年の飼養数は、2019年のピークと比較しておよそ92%も減少し、わずか3,319羽にまで激減しました。2022年の時点でもほぼ最低水準での推移が続いています。この劇的な減少は、新型コロナウイルスの感染拡大によるサプライチェーンの混乱が一因と考えられます。特に輸送や流通網の断絶、労働力不足、輸出市場の縮小などが深刻な影響を及ぼしました。加えて、国際的な飼料価格の高騰が鶏の生産コストを増大させ、国内の生産者を圧迫した可能性があります。

また、2020年前後における自然災害や地政学的要因の影響も無視できません。同地域における干ばつや異常気象は、飼料作物の生産量を減少させ、生産コストをさらに高騰させました。さらに、ラテンアメリカ全域での経済的不安定性が、この期間の農業全般の縮小につながった可能性も考えられます。

今後の課題として、ウルグアイの家禽産業復興に向けた明確な指針が求められます。まず、生産者への直接的な支援として、補助金や低金利融資を提供し、コストの軽減を図る施策が必要です。次に、サプライチェーンの安定化には、輸送インフラの整備や近隣諸国との貿易協力の強化が重要です。また、気候変動への対応策として、より耐候性の高い飼料作物の開発や保険制度の整備が求められます。

さらに、国内のみならず国際市場での競争力を強化するために、品質管理や衛生基準の向上が欠かせません。ウルグアイの鶏肉供給は他国においても評価されてきましたが、消費者の信頼を持続的に得るためには、健康的かつ環境に配慮した飼育環境の整備が重要となります。

最後に、地域の地政学的リスクへの対応として、多角的な貿易ネットワークの形成が推奨されます。特に主要輸出相手であるブラジルやアルゼンチンに依存するだけでなく、ヨーロッパやアジア市場へも参入の余地を模索することで、市場リスクの分散を図るべきです。これに加え、家禽以外の農産物への多角化投資も、産業の安定性を高める一助となるでしょう。

結論として、ウルグアイの鶏飼養数に関する現状は、コロナ禍や気候変動、経済的不安定性といった複合的な要因によるものであり、その解決には多方面での取り組みが必要です。政府や産業界、さらには国際機関が連携することで、持続可能な鶏生産体制の再構築を目指すことが求められています。この対応が成功すれば、再び世界市場における競争力を取り戻し、国全体の農業収益に貢献できるでしょう。