国際連合食糧農業機関が発表したデータによると、クック諸島の鶏飼養数は1961年から2022年の間に大きな変動を見せました。1960年代から1970年代の初頭にかけては増加基調が見られ、その後1980年代以降一貫して減少が続きました。特に2000年代初頭以降、飼養数は大幅に減少し、2022年には16羽まで減っています。この推移は、農業や経済の変化、環境要因、政策の影響が絡み合った結果と考えられます。
クック諸島の鶏飼養数推移(1961年~2023年)
| 年度 | 飼養数(羽) | 増減率 |
|---|---|---|
| 2023年 | 33,000 |
106.25% ↑
|
| 2022年 | 16,000 |
-5.88% ↓
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| 2021年 | 17,000 |
-5.56% ↓
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| 2020年 | 18,000 | - |
| 2019年 | 18,000 |
-5.26% ↓
|
| 2018年 | 19,000 | - |
| 2017年 | 19,000 | - |
| 2016年 | 19,000 | - |
| 2015年 | 19,000 |
-5% ↓
|
| 2014年 | 20,000 | - |
| 2013年 | 20,000 | - |
| 2012年 | 20,000 | - |
| 2011年 | 20,000 | - |
| 2010年 | 20,000 | - |
| 2009年 | 20,000 | - |
| 2008年 | 20,000 | - |
| 2007年 | 20,000 |
33.33% ↑
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| 2006年 | 15,000 | - |
| 2005年 | 15,000 | - |
| 2004年 | 15,000 |
-25% ↓
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| 2003年 | 20,000 |
-33.33% ↓
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| 2002年 | 30,000 | - |
| 2001年 | 30,000 |
-40% ↓
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| 2000年 | 50,000 |
-16.67% ↓
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| 1999年 | 60,000 |
-14.29% ↓
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| 1998年 | 70,000 | - |
| 1997年 | 70,000 |
-12.5% ↓
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| 1996年 | 80,000 |
33.33% ↑
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| 1995年 | 60,000 |
33.33% ↑
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| 1994年 | 45,000 |
28.57% ↑
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| 1993年 | 35,000 |
-46.15% ↓
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| 1992年 | 65,000 |
30% ↑
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| 1991年 | 50,000 | - |
| 1990年 | 50,000 |
11.11% ↑
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| 1989年 | 45,000 | - |
| 1988年 | 45,000 | - |
| 1987年 | 45,000 | - |
| 1986年 | 45,000 |
-10% ↓
|
| 1985年 | 50,000 |
-9.09% ↓
|
| 1984年 | 55,000 |
-8.33% ↓
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| 1983年 | 60,000 |
-7.69% ↓
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| 1982年 | 65,000 |
-4.41% ↓
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| 1981年 | 68,000 |
13.33% ↑
|
| 1980年 | 60,000 |
-7.69% ↓
|
| 1979年 | 65,000 |
1.56% ↑
|
| 1978年 | 64,000 |
1.59% ↑
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| 1977年 | 63,000 | - |
| 1976年 | 63,000 |
-1.56% ↓
|
| 1975年 | 64,000 |
3.23% ↑
|
| 1974年 | 62,000 |
1.64% ↑
|
| 1973年 | 61,000 |
1.67% ↑
|
| 1972年 | 60,000 |
1.69% ↑
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| 1971年 | 59,000 |
3.51% ↑
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| 1970年 | 57,000 |
3.64% ↑
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| 1969年 | 55,000 |
5.77% ↑
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| 1968年 | 52,000 |
4% ↑
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| 1967年 | 50,000 | - |
| 1966年 | 50,000 | - |
| 1965年 | 50,000 | - |
| 1964年 | 50,000 |
-9.09% ↓
|
| 1963年 | 55,000 |
10% ↑
|
| 1962年 | 50,000 | - |
| 1961年 | 50,000 | - |
クック諸島における鶏飼養数の推移を見ると、1961年から1975年までは比較的安定的に50~64羽の間で推移していました。この期間にわずかな増加が見られることから、鶏の飼養が食料生産や地域経済における一定の役割を担っていたと考えられます。1976年以降、短期的な増減を見せながらも80年代半ばに急激な減少を迎えています。1986年以降、飼養数は50羽を下回り、その後も減少傾向が継続しています。1996年に80羽に達した急増を除けば、全体的には低迷が続き、特に2000年から2005年にかけての期間では、50羽から15羽にまで急激な減少を見せています。その後、2022年時点では16羽と、さらなる減少が観察されました。
この減少傾向には、いくつかの背景が考えられます。まず、クック諸島のような太平洋諸国では、貿易のグローバル化や輸入食品の普及が家禽飼養に対して強い圧力をかけることが知られています。海外から比較的安価で多様な食材の供給が可能になると、現地の畜産業が高コストで維持されることは難しくなります。また、農業や畜産におけるインフラ設備や資本投資の制約も、規模の縮小に拍車をかけたと考えられます。
さらに、気候変動や台風による自然災害の影響が畜産業の生産性を直接的に低下させた可能性も検討すべきです。クック諸島は地理的な特性上、気象変動や地震などのリスクが高い地域です。動物の飼養環境が不安定になることで、畜産業そのものが縮小を余儀なくされた可能性があります。また、社会的・経済的な要因として、都市化や若年層の人口流出により伝統的な家畜飼育が衰退していることも挙げられます。農村部から都市部あるいは海外へ移住が進むと、鶏飼養を含む小規模な農業活動が維持されにくくなります。
これらの背景を踏まえた上で、クック諸島の今後を見据えた課題と対策について議論する必要があります。この減少を打開する一つの方策として、地域の畜産業を活性化させるために政府主導の支援プログラムが挙げられます。例えば、鶏の飼育技術向上や新種の導入を支援することで、生産性を向上させる取り組みが考えられます。また、地産地消を促進する食品サプライチェーンを確立し、輸入製品への依存度を減少させる試みも有効です。
さらに、鶏飼養を地域コミュニティの文化的な価値として復興させる戦略も注目に値します。例えば、伝統的な祭りやイベントと連動させて鶏の飼育を振興することで、住民の参与意欲を高めることができます。このような取り組みは、単なる経済的効果を超え、共同体のつながりを強化し、結果的に地域全体の活性化につながる可能性があります。
最後に、地政学的な側面にも留意すべきです。クック諸島は小規模経済での農業依存が高いため、国際的な政策や貿易動向の変化に脆弱です。例えば、新型コロナの影響で輸入製品へのアクセスが制限されるような事象が発生すれば、国内の畜産業を再建する最適なタイミングにもなり得ます。国際機関との協力を強化し、必要な技術支援や資金援助を引き出すことも長期的な持続可能性につながります。
結論として、このデータが示す鶏飼養数の減少は、クック諸島が直面する農業や経済的課題の一端を反映しています。この状況に対処するためには、農業政策の刷新、災害対応の強化、地域文化の再構築など多面的なアプローチが必要です。特に、持続可能な農業の枠組みを作ることで、将来の食料安全保障や経済安定に寄与する可能性があります。