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ニジェールの鶏飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ニジェールの鶏飼養数は1961年の4,700羽から2022年には20,788羽まで約4.4倍に増加しています。特に2009年から2010年にかけて約50%の急増がみられました。その後、増加ペースは緩やかになりつつも安定的に上昇しています。ただし、2022年にはやや微減しており一部の課題が浮かび上がります。

年度 飼養数(羽) 増減率
2023年 20,955,000
0.8% ↑
2022年 20,788,000
-0.11% ↓
2021年 20,810,000
0.55% ↑
2020年 20,696,000
2% ↑
2019年 20,291,000
2% ↑
2018年 19,893,000
4.31% ↑
2017年 19,071,000
3.32% ↑
2016年 18,458,000
1.31% ↑
2015年 18,220,000
1.22% ↑
2014年 18,000,000
1.69% ↑
2013年 17,700,000
0.57% ↑
2012年 17,600,000
1.6% ↑
2011年 17,323,000
1.3% ↑
2010年 17,101,000
1.3% ↑
2009年 16,882,000
50.73% ↑
2008年 11,200,000
0.72% ↑
2007年 11,120,000
1.3% ↑
2006年 10,977,000
-10% ↓
2005年 12,196,000
1.3% ↑
2004年 12,040,000
1.3% ↑
2003年 11,885,000
1.3% ↑
2002年 11,733,000
1.3% ↑
2001年 11,582,000
1.29% ↑
2000年 11,434,000
1.3% ↑
1999年 11,287,000
1.3% ↑
1998年 11,142,000
1.3% ↑
1997年 10,999,000
1.3% ↑
1996年 10,858,000
1.3% ↑
1995年 10,719,000
1.3% ↑
1994年 10,581,000
1.3% ↑
1993年 10,445,000
1.3% ↑
1992年 10,311,000
1.3% ↑
1991年 10,179,000
1.3% ↑
1990年 10,048,000
1.3% ↑
1989年 9,919,000
1.3% ↑
1988年 9,792,000
1.3% ↑
1987年 9,666,000
1.3% ↑
1986年 9,542,000
1.3% ↑
1985年 9,420,000
1.3% ↑
1984年 9,299,000
1.3% ↑
1983年 9,180,000
1.3% ↑
1982年 9,062,000
1.3% ↑
1981年 8,946,000
1.3% ↑
1980年 8,831,000
1.31% ↑
1979年 8,717,000
1.29% ↑
1978年 8,606,000
1.31% ↑
1977年 8,495,000
1.3% ↑
1976年 8,386,000
1.3% ↑
1975年 8,278,000
1.3% ↑
1974年 8,172,000
1.3% ↑
1973年 8,067,000
1.29% ↑
1972年 7,964,000
1.3% ↑
1971年 7,862,000
1.3% ↑
1970年 7,761,000
3.48% ↑
1969年 7,500,000
2.74% ↑
1968年 7,300,000
4.29% ↑
1967年 7,000,000
7.69% ↑
1966年 6,500,000
8.33% ↑
1965年 6,000,000
9.09% ↑
1964年 5,500,000
10% ↑
1963年 5,000,000
3.09% ↑
1962年 4,850,000
3.19% ↑
1961年 4,700,000 -

ニジェールの鶏飼養数推移データは、同国の農業や家畜業、さらには食糧安全保障の動向を示す貴重な指標です。1961年から2022年までの期間で総じて着実な増加が見られ、特に2009年以降の急激な伸びは注目に値します。1961年時点では4,700羽であった一方で、2022年には20,788羽と約4.4倍に拡大しています。この増加は家禽生産の向上を意味し、食肉や卵といった畜産物の国内供給、さらには生活向上に寄与していると考えられます。

データの中でも特筆すべきは2009年の飼養数跳躍です。この年、鶏の数は16,882羽と前年の約1.5倍も増加しました。ここには複数の因果関係が考えられます。例えば、この時期に政府や国際機関が進めた家畜振興政策や農民への支援、または近隣諸国からの輸入制限による国内供給圧力の変化などが影響している可能性があります。同時に、この急増は気候面や疫病管理の成果が結びついているとも予測されます。しかし急激な変化がその後の持続可能性に影響を与えたリスクも頭に入れるべきです。

2022年までの増加基調は全体的な経済成長や食料需要の増大を反映していますが、同年にわずかな減少が見られる点も見逃せません。この微減の背景には、生産コストの上昇や農業従事者の経済的負担、また近年の気候変動による悪影響が含まれるかもしれません。特にニジェールのようなサヘル地域は降水量の変動が激しく、農業全般に影響を与えやすい地理的条件を抱えています。

さらに、2020年代において世界的に生じた新型コロナウイルス感染拡大の間接的な影響も考慮すべきです。物流の停滞や肥料などの農業関連資材の価格上昇が、鶏飼養数に影響を与えた可能性があります。他の国と比較すると、同じく鶏の生産が重要な産業である南アフリカ共和国やナイジェリアではこの影響が顕著で、物流や需要の変動により生産の減少や飼育ペースの低下が報告されています。

将来的にニジェールは、鶏飼養数をさらに増加させつつその持続可能性を確保するために幾つかの課題に直面すると考えられます。第一に、気候変動への適応がなければ飼養業は不安定になりかねません。特に飼料用作物の栽培が降水量不足の影響を直接受けるため、耐乾性の高い作物の普及や灌漑設備の整備が急務とされています。第二に、鶏の主要な疫病であるニューカッスル病や鳥インフルエンザへの対策が求められます。これには政府レベルでの予防接種プログラムの拡充や早期警戒システムの整備が必要です。

また、地域間の協力も重要です。ニジェールは西アフリカの経済共同体(ECOWAS)と協力して飼料供給チェーンを整備し、商業的な鶏肉生産を拡大することでより多くの農業従事者が恩恵を受けられるようにするべきです。加えて、国際援助機関との提携を通じて資源の適正配分やインフラの整備を強化することも有効でしょう。

今後の持続可能な発展のためには、従来の数量ベースの増加だけでなく、生産効率の向上や環境負荷低減、そして貧困層の食料安全保障を統合的に考慮した管理が求められます。これにより、鶏飼養業はニジェールの経済的・社会的安定にも寄与することが期待されます。