Food and Agriculture Organization(FAO)が発表した最新データによれば、フランスにおける鶏の飼養数は1961年から2022年の長期間にわたり記録され、全体的に増加傾向を示しています。特に1970年代から1990年代にかけて大きな増加が見られ、その後2000年代に入ると減少傾向に転じています。2010年以降は再び上昇するも、近年は若干の減少が確認されています。最も高い数値を記録したのは2013年の251,581羽、一方で最も低い数値は1966年の138,000羽です。
フランスの鶏飼養数推移(1961-2022)
年度 | 飼養数(羽) |
---|---|
2022年 | 231,096.00 |
2021年 | 239,840.00 |
2020年 | 242,015.00 |
2019年 | 237,864.00 |
2018年 | 239,290.00 |
2017年 | 244,774.00 |
2016年 | 243,526.00 |
2015年 | 247,298.00 |
2014年 | 243,219.00 |
2013年 | 251,581.00 |
2012年 | 241,133.00 |
2011年 | 232,910.00 |
2010年 | 231,527.00 |
2009年 | 196,608.00 |
2008年 | 192,735.00 |
2007年 | 191,724.00 |
2006年 | 182,578.00 |
2005年 | 191,732.00 |
2004年 | 197,361.00 |
2003年 | 205,732.00 |
2002年 | 210,748.00 |
2001年 | 216,177.00 |
2000年 | 214,187.00 |
1999年 | 223,939.00 |
1998年 | 233,149.00 |
1997年 | 231,143.00 |
1996年 | 226,603.00 |
1995年 | 220,499.00 |
1994年 | 219,089.00 |
1993年 | 218,752.00 |
1992年 | 213,960.00 |
1991年 | 211,104.00 |
1990年 | 194,166.00 |
1989年 | 201,808.00 |
1988年 | 211,084.00 |
1987年 | 207,544.00 |
1986年 | 208,542.00 |
1985年 | 209,759.00 |
1984年 | 185,000.00 |
1983年 | 187,000.00 |
1982年 | 187,000.00 |
1981年 | 185,965.00 |
1980年 | 176,290.00 |
1979年 | 169,190.00 |
1978年 | 170,546.00 |
1977年 | 168,954.00 |
1976年 | 164,755.00 |
1975年 | 164,402.00 |
1974年 | 162,064.00 |
1973年 | 158,000.00 |
1972年 | 156,848.00 |
1971年 | 162,637.00 |
1970年 | 164,756.00 |
1969年 | 165,398.00 |
1968年 | 158,000.00 |
1967年 | 138,000.00 |
1966年 | 138,000.00 |
1965年 | 180,000.00 |
1964年 | 175,000.00 |
1963年 | 173,000.00 |
1962年 | 170,000.00 |
1961年 | 167,000.00 |
フランスにおける鶏の飼養数は、1961年から2022年までの間にいくつかの傾向や変化を経験してきました。このデータは、主に農業政策、家禽業界の需要と供給、そして外的な要因(例えば経済や疫病)が関連して動いていることがわかります。
1961年から1970年代初頭にかけて、フランスでは安定して鶏の飼養数が増加し、国内での需要の増加と共に生産規模が拡大していました。しかし1966年に突然138,000羽まで減少する異常が見られ、その後1968年以降は回復傾向に転じました。この一時的な減少は、60年代の経済的変動や欧州内での一時的な農産物需要の低下、または家禽産業における生産技術や市場の問題が影響したと考えられます。
1975年から1990年代半ばにかけて、着実な増加傾向が続きました。この増加は、フランス国内での白色肉(鶏肉)需要の高まりだけでなく、輸出向けの生産拡大にも関連しています。EU内における貿易の拡大や補助金政策(特に共通農業政策の一部)が、この時期の鶏飼養数増加に貢献していると考えられます。それに加え、効率的な生産技術の導入は、より多くの鶏を飼養することを可能にしました。
1999年以降、飼養数は減少傾向を示し始めました。この背景には、世界全体での競争の激化や、それに伴う安価な輸入品の台頭が影響したとされています。また、2000年代には複数の疫病(例:鳥インフルエンザ)の発生が世界的な課題となり、フランス国内でも家禽産業に少なからぬ影響を及ぼしました。これは、疫病の蔓延を防ぐための規制強化や、消費者の購買傾向の変化を通じて、市場規模の縮小を招いた可能性があります。
2010年以降は一時的に増加傾向に戻り、特に2013年には過去最高の飼養数を記録しました。しかし、その後は再び落ち着き、2022年の飼養数は231,096羽となり、ピークだった2013年を下回る水準にあります。このような長期的な変動は、フランス国内外における家禽肉消費動向や、環境や動物福祉を重視する政策変更、さらには市場競争の激化などが複雑に絡み合っていると考えられます。
また、近年では地政学的リスクと農産物の動態も無関係ではありません。例えばウクライナ危機による飼料価格の上昇は、鶏の生産コストにも影響を与えた可能性があります。コスト増加は中小規模の農家にとって特に大きな負担となり、生産の減少につながったと考えられます。
今後の課題として、フランスは家禽業界において持続可能性を確保するための政策を強化する必要があります。気候変動や資源利用の制約が深刻化する中で、エコロジカルな生産方法への移行や、動物福祉を重視した国際的な基準の遵守が求められます。また、疫病対策については早期発見体制の拡充や、予防的な取り組みの強化が引き続き重要です。
フランス政府や国際機関は、持続可能な家禽生産を支える補助金制度の見直しや、地域間協力による研究開発の強化などを推進すべきです。特に、アフリカ諸国や中東との新たな貿易ルート構築は、輸出市場の確保に資するものと思われます。総じて、フランスの家禽産業は国内外での競争力を維持しつつ、気候変動や経済的リスクにも対応可能な形へと進化することが求められるでしょう。