国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年最新データによると、フランス領ポリネシアの鶏飼養数は1961年の10羽から始まり、2022年には331羽まで増加しています。この60年以上にわたるデータは、特に1970年代以降急速に増加し、その後ある時期を境に成長が緩やかになったことを示しています。安定した成長の裏には、地域的な需要や経済的な状況、環境要因が影響していると考えられます。
フランス領ポリネシアの鶏飼養数推移(1961年~2023年)
年度 | 飼養数(羽) | 増減率 |
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2023年 | 338,000 |
2.11% ↑
|
2022年 | 331,000 |
0.91% ↑
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2021年 | 328,000 |
0.61% ↑
|
2020年 | 326,000 | - |
2019年 | 326,000 |
0.31% ↑
|
2018年 | 325,000 |
1.25% ↑
|
2017年 | 321,000 |
1.9% ↑
|
2016年 | 315,000 |
1.94% ↑
|
2015年 | 309,000 |
1.31% ↑
|
2014年 | 305,000 | - |
2013年 | 305,000 | - |
2012年 | 305,000 |
1.67% ↑
|
2011年 | 300,000 | - |
2010年 | 300,000 |
11.11% ↑
|
2009年 | 270,000 | - |
2008年 | 270,000 | - |
2007年 | 270,000 |
-3.57% ↓
|
2006年 | 280,000 |
1.82% ↑
|
2005年 | 275,000 |
1.85% ↑
|
2004年 | 270,000 |
1.89% ↑
|
2003年 | 265,000 |
10.42% ↑
|
2002年 | 240,000 |
-20% ↓
|
2001年 | 300,000 | - |
2000年 | 300,000 | - |
1999年 | 300,000 |
30.43% ↑
|
1998年 | 230,000 | - |
1997年 | 230,000 |
2.22% ↑
|
1996年 | 225,000 |
-2.17% ↓
|
1995年 | 230,000 |
6.98% ↑
|
1994年 | 215,000 |
-2.27% ↓
|
1993年 | 220,000 |
46.67% ↑
|
1992年 | 150,000 |
20% ↑
|
1991年 | 125,000 |
19.05% ↑
|
1990年 | 105,000 |
5% ↑
|
1989年 | 100,000 | - |
1988年 | 100,000 |
-9.09% ↓
|
1987年 | 110,000 |
10% ↑
|
1986年 | 100,000 |
-9.09% ↓
|
1985年 | 110,000 |
37.5% ↑
|
1984年 | 80,000 |
-11.11% ↓
|
1983年 | 90,000 | - |
1982年 | 90,000 |
-10% ↓
|
1981年 | 100,000 |
-16.67% ↓
|
1980年 | 120,000 |
20% ↑
|
1979年 | 100,000 |
42.86% ↑
|
1978年 | 70,000 | - |
1977年 | 70,000 |
16.67% ↑
|
1976年 | 60,000 | - |
1975年 | 60,000 |
20% ↑
|
1974年 | 50,000 |
11.11% ↑
|
1973年 | 45,000 |
12.5% ↑
|
1972年 | 40,000 |
-20% ↓
|
1971年 | 50,000 |
-44.44% ↓
|
1970年 | 90,000 |
125% ↑
|
1969年 | 40,000 | - |
1968年 | 40,000 | - |
1967年 | 40,000 |
100% ↑
|
1966年 | 20,000 |
100% ↑
|
1965年 | 10,000 | - |
1964年 | 10,000 | - |
1963年 | 10,000 | - |
1962年 | 10,000 | - |
1961年 | 10,000 | - |
フランス領ポリネシアの鶏飼養数推移データを見ると、いくつかの重要なトレンドが浮き彫りになります。この地域は1960年代にはごく少量の飼養しかされておらず、当時の10羽という数字は家庭内の小規模需要を反映したものと推測されます。しかし、1966年に20羽、そして翌年には40羽へと増加し始めたことから、養鶏が一定の商業的意図を持ち始めたことがうかがえます。
特筆すべきは1970年の90羽への急増で、この時期に何らかの政策的または経済的転換があった可能性があります。さらに1993年に220羽、1999年には300羽に達するなど、増加のペースが急速であったことも興味深い特徴です。こうした背景には、地域の食料需要の高まりや観光産業向け供給の増加が関連していると考えられます。観光業がこの地域経済の中核を担っているため、観光客向けの食料供給が鶏飼養数増加の一因と推測されます。
2000年代に入ると飼養数は300羽前後で一定の安定を見せ、2010年代からは少しずつ増加の傾向を示しています。特に2018年以降の増加は年平均数羽のペースで、持続可能な形で成長が進んでいることがうかがえます。このような変化は、この地域の社会経済的要因や輸入飼料価格の変動、あるいは地元生産拡大の政策が影響していると考えられます。
鶏飼養の現状にはいくつかの課題も存在しています。まず、地理的な制約です。フランス領ポリネシアは島嶼国家であり、農地や飼料供給のためのリソースに限りがあるため、他地域と比較して飼養の大規模化に限界があると考えられます。たとえば、アメリカや中国など広大な農地を基盤とする国々では、鶏飼養数が何百万羽にも達している一方で、この地域の成長は比較的緩やかです。さらに、畜産には地球温暖化や環境問題の解決が欠かせないため、持続可能な飼養方法への移行が求められます。
環境問題や地政学的リスクも見逃せません。鶏飼養数が増加する中で、飼料の輸入に依存したシステムでは、海運ネットワークの混乱や輸送コスト増加が大きな問題となります。また、自然災害が頻発する太平洋地域では台風や高潮などによる農場の被害が懸念されます。過去の感染症の教訓も踏まえると、家禽インフルエンザなどの疫病対策も非常に重要です。
これらの課題に対して、いくつかの解決策が考えられます。一つは、地元生産の拡大と効率化です。例えば地域特有の作物を活用した飼料の自給化が挙げられます。また、スマート農業技術を導入することで、生産効率を向上させることも可能です。さらに、地域間協力を強化し、災害リスクに対する備えを強めることで、農業の持続可能性を高めることができます。
鶏飼養の拡大が地域の経済・社会に与える影響は決して軽視できません。持続可能な農業の実現に向けて、政策立案者や地域コミュニティ、そして国際機関が協力する必要があります。これにより、フランス領ポリネシアにおける食料安全保障と経済基盤が強化されることを期待しています。