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モンゴルの鶏飼養数推移(1961年~2023年)

モンゴルの鶏飼養数の推移データによると、1961年から2022年までの間に飼養数は大きく変動し、特に近年急激に増加しています。1960年代には100万羽未満で推移していた飼養数は、長期間にわたって安定せず、1995年から2000年にかけては急激な減少を迎えました。しかし、その後は緩やかな増加傾向に転じ、2010年代以降急激に伸びを見せ、2022年には1,506万羽と過去最高を記録しています。このような大幅な増加の背景には、経済や農業政策の転換、技術革新といった要因があると考えられます。

年度 飼養数(羽) 増減率
2023年 1,795,000
19.19% ↑
2022年 1,506,000
30.96% ↑
2021年 1,150,000
16.75% ↑
2020年 985,000
10.43% ↑
2019年 892,000
1.59% ↑
2018年 878,000
26.33% ↑
2017年 695,000
-3.34% ↓
2016年 719,000
-10.68% ↓
2015年 805,000
1.26% ↑
2014年 795,000
62.58% ↑
2013年 489,000
4.26% ↑
2012年 469,000
-21.44% ↓
2011年 597,000
40.14% ↑
2010年 426,000
6.77% ↑
2009年 399,000
10.83% ↑
2008年 360,000
22.03% ↑
2007年 295,000
39.15% ↑
2006年 212,000
17.78% ↑
2005年 180,000
28.57% ↑
2004年 140,000
53.85% ↑
2003年 91,000
49.18% ↑
2002年 61,000
12.96% ↑
2001年 54,000
-39.33% ↓
2000年 89,000
14.1% ↑
1999年 78,000
20% ↑
1998年 65,000
12.07% ↑
1997年 58,000
-41.41% ↓
1996年 99,000
33.78% ↑
1995年 74,000
-43.94% ↓
1994年 132,000
-28.26% ↓
1993年 184,000
-17.49% ↓
1992年 223,000
-31.6% ↓
1991年 326,000
-11.89% ↓
1990年 370,000
-1.86% ↓
1989年 377,000
11.21% ↑
1988年 339,000
13% ↑
1987年 300,000
10.7% ↑
1986年 271,000
4.63% ↑
1985年 259,000
29.5% ↑
1984年 200,000 -
1983年 200,000 -
1982年 200,000 -
1981年 200,000
-33.33% ↓
1980年 300,000 -
1979年 300,000
50% ↑
1978年 200,000 -
1977年 200,000
33.33% ↑
1976年 150,000
3.45% ↑
1975年 145,000
3.57% ↑
1974年 140,000
13.82% ↑
1973年 123,000
-1.6% ↓
1972年 125,000
-6.02% ↓
1971年 133,000
33% ↑
1970年 100,000 -
1969年 100,000 -
1968年 100,000
-50% ↓
1967年 200,000
11.11% ↑
1966年 180,000
0.56% ↑
1965年 179,000
8.48% ↑
1964年 165,000
0.61% ↑
1963年 164,000
17.99% ↑
1962年 139,000
33.65% ↑
1961年 104,000 -

モンゴルの鶏飼養数統計は、国内における家禽(かきん)産業の発展状況や食料供給の安定性を測る指標として重要です。このデータから読み取れる特徴として、まず1961年から1980年代半ばにかけては増加と減少を繰り返しながらも、飼養数は概ね100万~300万羽の範囲で推移していました。特に1968年~1970年に見られる急激な減少や1980年代後半の回復は、社会主義体制下における農業政策や経済状況の影響が大きかったと考えられます。

1990年代に入ると、モンゴルは社会主義体制崩壊後の混乱期に入り、経済自由化が進みました。この時期には経済的不安定性が生じ、農業インフラも大きな影響を受けたことから、鶏飼養数も1995年には74万羽と急減しました。この現象は飼料や畜産設備の不足、家禽農家の減少などが要因として指摘されています。

2000年代に入ると、徐々に飼養数の回復が見られるようになります。2010年代になると、再び大幅な増加が始まり、特に2014年からの5年間で飼養数は約2倍に拡大しました。これは、国内市場の需要拡大や養鶏技術の進化、政府の農業支援政策の強化が背景にあるとみられます。さらに、2020年以降は特に急激な増加が見られ、2022年には過去最高の1,506万羽に達しました。この急成長は、モンゴル国内の都市化や人口増、食文化の多様化による家禽需要の増加、加えて輸出を視野に入れた生産拡大が影響していると考えられます。

しかし、過去のデータからも明らかなように、モンゴルの鶏飼養数は社会的・経済的な影響を強く受ける傾向があります。特に、地政学的リスクや世界的なパンデミック、新しい疫病の発生などは、今後のモンゴルの養鶏産業に直接的な影響を与える可能性があります。2020年の新型コロナウイルス感染症拡大も、一時的な供給網の混乱や経済への影響をもたらしたものの、モンゴルではむしろ同時期に養鶏産業の拡大が進みました。

現在の課題として挙げられるのは、以下の点です。まず、急激な飼養数の増加が持続可能なのかという問題です。鶏の飼育に必要な水資源やエネルギー供給、廃棄物処理など、環境への負荷を抑えるための対応が求められます。また、輸出拡大を目指すモンゴルにとって、国際基準に沿った衛生管理や品質向上も不可欠です。さらに、国内のインフラ整備や人材育成を通じた持続可能な成長戦略が重要となります。

このような状況を踏まえ、持続的な成長のためには以下の対策が考えられます。第一に、環境課題に対応するため、再生可能エネルギーの活用や廃棄物のリサイクル技術を導入すべきです。第二に、家禽産業の効率化を図るため、デジタル技術や自動化技術を取り入れることが有効です。第三に、国際的な輸出市場へ参入するためには、衛生管理基準の徹底やブランドイメージの向上が重要となります。また、地域間協力の枠組みを活用して周辺国との連携を強化することも一つの方法です。

データが示す急速な成長は、モンゴルの養鶏業が持つ潜在力の大きさを物語っています。しかし同時に、持続可能な発展のためには課題の克服が不可欠です。今後、モンゴル政府や国際機関が一層の支援を行い、環境と経済の両面において安定した成長を実現していく必要があるでしょう。