Skip to main content

コンゴ民主共和国の鶏飼養数推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が公表した最新データによると、コンゴ民主共和国の鶏飼養数は長期的な観点で見ると増加傾向を示していますが、近年は減少や横ばいが目立っています。2022年の飼養数は18,007羽であり、直近10年間では徐々に減少しており、1990年のピーク(27,490羽)に比べ顕著に減少しています。この推移から国内外の環境や農業政策が飼養数に大きな影響を与えていることが伺えます。

年度 飼養数(羽)
2022年 18,007.00
2021年 18,793.00
2020年 18,675.00
2019年 18,558.00
2018年 18,443.00
2017年 18,395.00
2016年 19,214.00
2015年 20,350.00
2014年 20,309.00
2013年 20,249.00
2012年 20,188.00
2011年 20,128.00
2010年 20,067.00
2009年 20,007.00
2008年 19,948.00
2007年 19,888.00
2006年 19,828.00
2005年 19,769.00
2004年 19,710.00
2003年 19,651.00
2002年 19,592.00
2001年 20,552.00
2000年 21,559.00
1999年 22,302.00
1998年 23,219.00
1997年 22,236.00
1996年 24,976.00
1995年 22,931.00
1994年 26,682.00
1993年 25,503.00
1992年 25,568.00
1991年 23,209.00
1990年 27,490.00
1989年 24,539.00
1988年 21,989.00
1987年 19,744.00
1986年 17,760.00
1985年 16,000.00
1984年 15,500.00
1983年 15,000.00
1982年 14,500.00
1981年 14,000.00
1980年 13,500.00
1979年 13,000.00
1978年 12,500.00
1977年 12,000.00
1976年 11,500.00
1975年 11,000.00
1974年 10,474.00
1973年 9,975.00
1972年 9,500.00
1971年 9,500.00
1970年 9,000.00
1969年 6,000.00
1968年 4,738.00
1967年 4,000.00
1966年 4,000.00
1965年 4,800.00
1964年 4,600.00
1963年 4,500.00
1962年 4,400.00
1961年 4,300.00

コンゴ民主共和国の鶏飼養数推移を見ると、時系列データに基づくいくつかの特徴的な傾向が浮かび上がります。1961年から1980年代後半までは徐々に飼養数が拡大し、1980年には13,500羽、1990年にはピークとなる27,490羽まで増加しました。この期間の増加は、都市化や国内需要の高まり、また畜産の成長によるものと思われます。一方、1990年代以降の鶏飼養数は波を打つように減少と回復を繰り返しており、近年の数値では年々低下が目立っています。

特に、2000年以降の低迷は、同国が直面している政治的不安定や経済の停滞、さらには基盤となる農業技術の停滞や資金不足が影響している可能性があります。1990年代後半の政治的混乱や武力衝突が農村地域の生産性を低下させた一因であり、畜産業も被害を受けたと考えられます。このような背景において家禽(鶏)の飼養数が回復しきれていない事実は、同国の食糧安全保障においても懸念材料となっています。

さらに、近年の気候変動と農業への影響も無視できません。鶏の飼育に必要な穀物を育てる環境が悪化していること、また感染症や動物疫病が家禽産業全体に打撃を与えた可能性があります。例えば、近隣諸国でも発生が報告されている鳥インフルエンザが広範囲に拡大した場合、同国の対応能力には限界があると予測されます。

また、現状と比較して、中国やアメリカなど主要家禽生産国では同期間において飛躍的な成長を遂げています。これは、両国が大規模な鶏舎や効率的な農業技術、さらには国家レベルでの畜産振興政策を強化したことが背景にあります。一方で、アフリカ地域に目を向けると、ケニアやナイジェリアなど一部の国は、家禽産業の持続的拡大を目指して国際援助や地方政策を活用しています。こうした成功例はコンゴ民主共和国にとっても参考になるでしょう。

今後、鶏の飼養数を増やし、食糧自給率を安定させるためには、具体的な対策が必要です。まず、政府や国際機関、NGOが協力して畜産従事者への技術支援を実施し、効率的な飼育方法や耐病性に優れた鶏種の導入を進めることが重要です。また、家禽飼育に必要な穀物の供給を促進するため、農業インフラ整備を図ることも求められます。さらに、感染症対策として予防接種プログラムや検疫所の設置など、獣医療の基盤強化を進めることが期待されます。

総じて、コンゴ民主共和国における鶏飼養数の動向は、地政学的、経済的、環境的な要因の影響を強く受けており、多くの課題が山積しています。しかし、各国の成功事例を参考にしつつ、現地の特性に応じた持続可能な支援策を実施することで、国内の畜産業を再び活性化する可能性は十分にあります。そして、鶏飼養数は単なる数量の指標ではなく、同国の食糧安全保障や貧困削減に直接つながる重要な要素であることを再認識する必要があります。