FAO(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、ブルンジの鶏飼養数は過去60年以上にわたって変動を繰り返してきました。1961年の飼養羽数は1,100羽でしたが、その後増加傾向が続き、1989年に4,200羽に到達しました。しかし1990年代以降、大幅な減少が見られ、その後も飼養羽数は安定せず、近年にいたるまで上向きと下向きの波を繰り返しています。2022年の飼養羽数は2,784羽に達しましたが、80年代末期のピークとは依然として大きな差があります。この動向は、ブルンジが直面する地政学的リスクや経済的要因、疫病など複数の要因と関連しています。
ブルンジの鶏飼養数推移(1961-2022)
年度 | 飼養数(羽) |
---|---|
2022年 | 2,784.00 |
2021年 | 2,761.00 |
2020年 | 2,684.00 |
2019年 | 3,175.00 |
2018年 | 3,215.00 |
2017年 | 2,673.00 |
2016年 | 2,841.00 |
2015年 | 2,339.00 |
2014年 | 2,875.00 |
2013年 | 1,846.00 |
2012年 | 2,354.00 |
2011年 | 2,552.00 |
2010年 | 1,720.00 |
2009年 | 1,590.00 |
2008年 | 1,524.00 |
2007年 | 1,316.00 |
2006年 | 1,142.00 |
2005年 | 945.00 |
2004年 | 1,627.00 |
2003年 | 1,691.00 |
2002年 | 1,912.00 |
2001年 | 2,032.00 |
2000年 | 2,140.00 |
1999年 | 2,200.00 |
1998年 | 2,228.00 |
1997年 | 2,213.00 |
1996年 | 2,208.00 |
1995年 | 2,208.00 |
1994年 | 2,228.00 |
1993年 | 2,282.00 |
1992年 | 2,383.00 |
1991年 | 2,300.00 |
1990年 | 4,400.00 |
1989年 | 4,200.00 |
1988年 | 4,000.00 |
1987年 | 3,800.00 |
1986年 | 3,600.00 |
1985年 | 3,500.00 |
1984年 | 3,400.00 |
1983年 | 3,300.00 |
1982年 | 3,300.00 |
1981年 | 3,200.00 |
1980年 | 3,100.00 |
1979年 | 3,000.00 |
1978年 | 2,900.00 |
1977年 | 2,800.00 |
1976年 | 2,700.00 |
1975年 | 2,600.00 |
1974年 | 2,500.00 |
1973年 | 2,400.00 |
1972年 | 2,300.00 |
1971年 | 2,200.00 |
1970年 | 2,100.00 |
1969年 | 2,000.00 |
1968年 | 1,950.00 |
1967年 | 1,800.00 |
1966年 | 1,650.00 |
1965年 | 1,550.00 |
1964年 | 1,450.00 |
1963年 | 1,300.00 |
1962年 | 1,200.00 |
1961年 | 1,100.00 |
ブルンジの鶏飼養数データは、国の経済状況や社会環境の変遷を反映する重要な指標といえます。鶏はブルンジの家畜や畜産業において重要な役割を果たしており、食料供給や栄養源の基盤となっています。鶏を保有することは、農村家庭にとって重要な収入手段であり、加えて家庭での食糧消費の一部も支えています。
1960年代から1980年代にかけて、鶏飼養数はほぼ一貫して増加し、1989年には4,200羽にまで達しました。この時期は、ブルンジの農業社会が拡大し、畜産分野への関心も高まっていたと考えられます。また、飼料供給や家禽病対策の改良が影響した可能性もあります。しかし1991年からは深刻な不安定期に入り、大幅な減少が見られました。特に1993年以降は、ブルンジ内戦を含む地政学的リスクが飼養数の低下に大きな影響を与えています。この内戦による社会的不安定、農村経済の縮小、家畜管理の混乱などが、飼養数の減少を招いた主な要因と言えます。
2005年にはさらに945羽という最低値を記録しましたが、その後に小幅な回復基調が観察されました。2011年には一時的に2,552羽まで伸び、2018年には3,215羽と比較的安定に戻りつつありました。しかし、2020年以降は新型コロナウイルスの影響もあり、世界的な経済混乱とともにブルンジの飼養数も再び減少傾向を見せています。この点から見ても、疫病が畜産業や農村経済に与えるリスクの大きさを改めて認識させられます。
課題は多岐にわたります。疫病対策として、公衆衛生の向上や家禽病ワクチンの適切な配布が必要です。また、農村地域のインフラ整備や、生産活動を支える教育・研修の充実も重要です。特に極度の収入格差を解消し、鶏飼養を増やすことでブルンジの農家の収益をサポートする政策展開が求められています。さらに、地政学的リスクを軽減するため、平和構築への国際的な支援を強化し、リスク管理型の畜産モデルを導入することが将来の安定に寄与するでしょう。
具体的な提言としては、地域間協力を通じた家畜貿易の強化、家禽種の遺伝的多様性を活かした耐病性の高い鶏種の育成、畜産技術の提供と現地化などが挙げられます。また、農村部の女性や若者への資金的援助を行い、それを通じて家禽業のさらなる発展を促すことも効果的です。
データが示す変動と現状を考慮すると、ブルンジの政府と国際機関には、地理的・社会的背景を踏まえた包括的な政策設計と、長期的な視野に立った実践的対応が求められます。畜産業をより持続可能で強固なものとするためには、地域に即した具体的な取り組みが不可欠です。