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スリランカの鶏飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が最新のデータを基に報告したスリランカの鶏飼養数の推移を分析すると、1961年には約3,841万羽であった鶏の飼養数は数十年をかけて増加し、2020年には過去最高の24,278万羽を記録しました。その後2022年には22,767万羽と若干の減少が見られるものの、全体的に鶏の飼養数は一貫して増加の傾向を示しています。特に2000年以降、急激な上昇が確認されており、生産体制と国内需要の変化がこの増加に寄与したと考えられます。

年度 飼養数(羽) 増減率
2023年 18,065,000
-20.65% ↓
2022年 22,767,000
-6.35% ↓
2021年 24,311,000
0.14% ↑
2020年 24,278,000
18.95% ↑
2019年 20,411,000
-0.58% ↓
2018年 20,531,000
-3.5% ↓
2017年 21,276,000
1.04% ↑
2016年 21,056,000
25.75% ↑
2015年 16,744,000
0.69% ↑
2014年 16,630,000
-0.1% ↓
2013年 16,646,000
18.58% ↑
2012年 14,038,000
-1.13% ↓
2011年 14,199,000
1.29% ↑
2010年 14,018,000
2.96% ↑
2009年 13,615,000
-5% ↓
2008年 14,331,000
4.01% ↑
2007年 13,779,000
3.5% ↑
2006年 13,313,000
14.41% ↑
2005年 11,636,000
5.38% ↑
2004年 11,042,000
12.97% ↑
2003年 9,774,000
-15.48% ↓
2002年 11,564,000
8.53% ↑
2001年 10,655,000
0.31% ↑
2000年 10,622,000
7.04% ↑
1999年 9,923,000
3.73% ↑
1998年 9,566,000
3.49% ↑
1997年 9,243,000
1.17% ↑
1996年 9,136,000
-3.87% ↓
1995年 9,504,000
0.4% ↑
1994年 9,466,000
2.21% ↑
1993年 9,261,000
5.89% ↑
1992年 8,746,000
5.87% ↑
1991年 8,261,000
-6.08% ↓
1990年 8,796,000
-0.42% ↓
1989年 8,833,000
2.17% ↑
1988年 8,645,000
0.66% ↑
1987年 8,588,000
12.45% ↑
1986年 7,637,000
7.59% ↑
1985年 7,098,000
7.32% ↑
1984年 6,614,000
2.43% ↑
1983年 6,457,000
3.33% ↑
1982年 6,249,000
-0.75% ↓
1981年 6,296,000
-0.71% ↓
1980年 6,341,000
7.8% ↑
1979年 5,882,000
19.75% ↑
1978年 4,912,000
-15.79% ↓
1977年 5,833,000
2.33% ↑
1976年 5,700,000
0.26% ↑
1975年 5,685,000
-12.82% ↓
1974年 6,521,000
-13.38% ↓
1973年 7,528,000
4.16% ↑
1972年 7,227,000
-4.82% ↓
1971年 7,593,000
10.75% ↑
1970年 6,856,000
4.23% ↑
1969年 6,578,000
-2.52% ↓
1968年 6,748,000
7.86% ↑
1967年 6,256,000
-3.75% ↓
1966年 6,500,000
6.73% ↑
1965年 6,090,000
-3.01% ↓
1964年 6,279,000
2.45% ↑
1963年 6,129,000
62.79% ↑
1962年 3,765,000
-1.98% ↓
1961年 3,841,000 -

スリランカの鶏飼養数は1961年以降大きな変遷を遂げており、経済や社会要因と密接に関連しています。データが示す通り、初期の1960年代には鶏の飼養数は3,000万羽台に留まり、比較的低い水準でした。この時期、スリランカでは主に家庭での自給自足的な農業が行われており、商業的生産体制は未成熟でした。しかし、1970年代以降、農業政策の変化や食文化の多様化、国際貿易の影響により1羽当たりの飼養数が次第に増加を見せるようになります。

1980年代後半から1990年代にかけて、鶏飼養数は再び顕著な増加傾向を示しました。この背景には、都市化とそれに伴う食肉需要の高まりが挙げられます。鶏肉は手軽なタンパク質源として広く受け入れられ始め、より商業的な生産方式が発展しました。また政府からの農業支援政策やインフラ整備も増加を後押ししました。1990年代以降の数値では、ほぼ毎年右肩上がりで成長しているのが特徴です。

2000年を超えた頃には特に急速な伸びが見られます。2020年までに鶏飼養数が2億羽を超えることとなり、生産能力の向上を見て取れます。この大幅な増加は、近代的な家畜農法の普及、大量生産方式の導入、および外食産業の成長と、加工食品の需要拡大に起因していると考えられます。また、食生活が豊かになる過程で、比較的低価格で購入できる鶏肉への需要は継続的に増加したと言えます。

一方で、2020年以降のデータでは新型コロナウイルス感染症のパンデミックも影響を及ぼした可能性があります。飼養数は2020年に最高値の24,278万羽を記録しましたが、2022年までに22,767万羽まで少し減少しています。これは需要の変動や餌の供給問題、物流の停滞、経済的な影響による価値チェーンの打撃が影響したものと見られます。

また、2022年時点での飼養数減少は、スリランカ特有の経済危機が要因と考えられます。同国では食糧危機やインフレ率上昇が記録され、家禽産業の基盤となる飼料や燃料価格の劇的な高騰が観測されました。農場経営者にとってこれらのコストは大きな負担となり、飼養規模を縮小せざるを得ない事態が発生した可能性があります。

これらの課題に対して、今後の対策としては以下のような取り組みが挙げられます。まず第一に、国として家禽農業の資源効率を向上させるため、飼料供給の安定化とその国産化を目指すべきです。餌となる原材料の国内生産を増やせば輸入依存が減少し、コストの軽減や供給安定性が期待できます。さらに、持続可能な飼養管理を促進するための技術導入や、家禽に関連する疾病対策も重要です。

また、消費者側では、値段変動や需給バランスの調整を目的とする政府主導の市場介入が有効となり得ます。適切な価格の維持や家禽農業従事者への補助制度を設けることで、経済危機下でも産業を持続化させる枠組みが必要です。また、地政学的リスクや災害に備えて輸出入政策を改善し、広域的な家禽産業ネットワークを強化することも視野に入れるべきでしょう。

総じて、スリランカの鶏飼養数は現在も比較的高水準に維持されていますが、今後も持続可能かつ効率的な飼養体制の整備が必要です。食料安全保障や地元産業の発展を促進するために、スリランカ政府および国際機関には引き続き多角的な支援が求められています。