国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、コモロにおける鶏飼養数は長期的に増加傾向にあります。1961年の190万羽から2022年には547万羽に達し、約2.9倍に増加しています。このデータは、コモロにおける家禽(かきん)産業の成長と農村生活における鶏の重要性を示しています。しかし、直近の数年間では伸びが鈍化していることが観察され、これにはいくつかの背景要因が考えられます。
コモロの鶏飼養数推移(1961年~2023年)
年度 | 飼養数(羽) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 537,000 |
-1.83% ↓
|
2022年 | 547,000 |
0.37% ↑
|
2021年 | 545,000 |
0.37% ↑
|
2020年 | 543,000 | - |
2019年 | 543,000 |
0.74% ↑
|
2018年 | 539,000 |
0.75% ↑
|
2017年 | 535,000 |
0.75% ↑
|
2016年 | 531,000 |
1.34% ↑
|
2015年 | 524,000 |
0.77% ↑
|
2014年 | 520,000 | - |
2013年 | 520,000 | - |
2012年 | 520,000 |
-7.14% ↓
|
2011年 | 560,000 |
1.82% ↑
|
2010年 | 550,000 |
5.77% ↑
|
2009年 | 520,000 | - |
2008年 | 520,000 | - |
2007年 | 520,000 | - |
2006年 | 520,000 |
4% ↑
|
2005年 | 500,000 | - |
2004年 | 500,000 | - |
2003年 | 500,000 | - |
2002年 | 500,000 |
2.04% ↑
|
2001年 | 490,000 | - |
2000年 | 490,000 |
2.08% ↑
|
1999年 | 480,000 |
2.13% ↑
|
1998年 | 470,000 |
2.17% ↑
|
1997年 | 460,000 |
2.22% ↑
|
1996年 | 450,000 |
2.27% ↑
|
1995年 | 440,000 |
2.33% ↑
|
1994年 | 430,000 |
2.38% ↑
|
1993年 | 420,000 |
2.44% ↑
|
1992年 | 410,000 |
1.74% ↑
|
1991年 | 403,000 |
2.81% ↑
|
1990年 | 392,000 |
3.16% ↑
|
1989年 | 380,000 | - |
1988年 | 380,000 |
2.7% ↑
|
1987年 | 370,000 |
2.78% ↑
|
1986年 | 360,000 |
2.86% ↑
|
1985年 | 350,000 |
2.94% ↑
|
1984年 | 340,000 |
3.03% ↑
|
1983年 | 330,000 |
10% ↑
|
1982年 | 300,000 |
3.45% ↑
|
1981年 | 290,000 |
3.57% ↑
|
1980年 | 280,000 |
3.7% ↑
|
1979年 | 270,000 |
3.85% ↑
|
1978年 | 260,000 |
4% ↑
|
1977年 | 250,000 |
4.17% ↑
|
1976年 | 240,000 |
0.84% ↑
|
1975年 | 238,000 |
1.28% ↑
|
1974年 | 235,000 |
0.86% ↑
|
1973年 | 233,000 |
1.3% ↑
|
1972年 | 230,000 |
0.88% ↑
|
1971年 | 228,000 |
1.33% ↑
|
1970年 | 225,000 |
2.27% ↑
|
1969年 | 220,000 |
2.33% ↑
|
1968年 | 215,000 |
2.38% ↑
|
1967年 | 210,000 |
2.44% ↑
|
1966年 | 205,000 | - |
1965年 | 205,000 |
2.5% ↑
|
1964年 | 200,000 | - |
1963年 | 200,000 |
5.26% ↑
|
1962年 | 190,000 | - |
1961年 | 190,000 | - |
コモロの鶏飼養数は、1961年から2022年にかけて着実に増加しており、小規模ながらも家禽飼育が農業の一環として発展してきたことが分かります。この増加の背景には、家禽が農村地域での栄養源や収入源として重要であるという側面があります。例えば農村部では、鶏卵や鶏肉が日常的な食料として重宝されると同時に、市場での取引を通じて家計の現金所得にも貢献しています。
ただし、データを見ると、1980年代から2000年代初頭にかけ、特に1983年以降急激な増加が見られますが、2000年以降では生産性が横ばいないし、わずかな増加にとどまる傾向が見られます。2003年から2014年にかけてはほぼ横ばい(約500万羽前後)で推移し、その後徐々に回復していますが、胃腸段階的な伸びは減速気味です。この要因の一つとして、家禽病の流行や栄養管理技術の不十分さ、あるいは気候変動が飼育条件悪化をもたらしていることが挙げられます。
また、鶏飼養数が横ばいで推移した2010年代初頭は、アフリカ地域全体で鳥インフルエンザなどの疫病が影響を及ぼした時期と重なります。これにより、コモロでも家禽の生存率低下を招き、産業全体にブレーキをかけた可能性があります。このような地理的要因や国際的な疫病リスクを踏まえると、衛生管理の強化や家禽ワクチンの普及が飼料業界の課題として浮き彫りになります。
さらに、現代における課題として、飼料や資材の輸入依存が影響している可能性があります。コモロは小規模な島嶼国であり、多くの資本的インフラや農業資材が不足しています。この背景は、コモロ特有の地政学的な制約(孤立した地域性や輸送コストの増加)に起因すると考えられます。鶏飼育の規模が増えても、増加途中での飼料供給や飼育技術の現代化が追いつかず、特に近年の温暖化や異常気象が飼育効率に悪影響を与えている可能性が示唆されています。
未来に向けた具体的な課題としては、持続可能な家禽産業を目指した包括的戦略が不可欠です。まず、飼育農家を支援するための技術普及プログラムや教育が重要です。外部からの支援を受けて近代的な飼育方法を学び、病害対策や生産性向上を図ることが求められます。また、現地育成の種鶏を選別育成するプログラムや、気候変動に耐性のある鶏種の導入を進めることも効果的です。
さらに、国全体での家禽産業振興を進めるため、地域間協力の構築が鍵となります。例えば、近隣国と協力して家禽病対策のための情報共有ネットワークを整備することで、疫病の早期発見や封じ込めを可能にします。また、国際機関と連携した飼料生産や輸入のコスト削減を通じて、鶏飼育の収益性を高める政策も検討に値します。
結論として、コモロの鶏飼育業は長期的な成長を続けていますが、疫病や気候変動、経済的制約など多くの試練に直面していることが分かります。この状況に対応するためには、国際協力や科学技術の導入、政府の戦略的サポートが必須です。これにより、持続可能で競争力のある家禽産業を実現できる可能性が高まるでしょう。