国際連合食糧農業機関(FAO)が提供した最新のデータによると、ツバルの鶏飼養数は1961年の10羽から2022年の57羽に増加しています。このデータから、ツバルにおける家禽飼養の規模が着実に拡大していることがわかります。ただし、特定の年にやや減少が見られるなど、安定した増加傾向の中にも変動が存在しています。近年では一貫して増加が続いており、特に2020年以降の成長率が目を引きます。
ツバルの鶏飼養数推移(1961年~2023年)
年度 | 飼養数(羽) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 58,000 |
1.75% ↑
|
2022年 | 57,000 |
1.79% ↑
|
2021年 | 56,000 |
1.82% ↑
|
2020年 | 55,000 |
1.85% ↑
|
2019年 | 54,000 | - |
2018年 | 54,000 |
1.89% ↑
|
2017年 | 53,000 |
-1.85% ↓
|
2016年 | 54,000 |
1.89% ↑
|
2015年 | 53,000 |
1.92% ↑
|
2014年 | 52,000 |
1.96% ↑
|
2013年 | 51,000 |
2% ↑
|
2012年 | 50,000 | - |
2011年 | 50,000 |
2.04% ↑
|
2010年 | 49,000 | - |
2009年 | 49,000 |
6.52% ↑
|
2008年 | 46,000 |
2.22% ↑
|
2007年 | 45,000 | - |
2006年 | 45,000 | - |
2005年 | 45,000 | - |
2004年 | 45,000 | - |
2003年 | 45,000 | - |
2002年 | 45,000 |
12.5% ↑
|
2001年 | 40,000 | - |
2000年 | 40,000 | - |
1999年 | 40,000 |
14.29% ↑
|
1998年 | 35,000 | - |
1997年 | 35,000 | - |
1996年 | 35,000 |
16.67% ↑
|
1995年 | 30,000 | - |
1994年 | 30,000 |
11.11% ↑
|
1993年 | 27,000 |
-10% ↓
|
1992年 | 30,000 |
7.14% ↑
|
1991年 | 28,000 |
3.7% ↑
|
1990年 | 27,000 |
-12.9% ↓
|
1989年 | 31,000 |
24% ↑
|
1988年 | 25,000 |
47.06% ↑
|
1987年 | 17,000 |
-26.09% ↓
|
1986年 | 23,000 |
9.52% ↑
|
1985年 | 21,000 |
31.25% ↑
|
1984年 | 16,000 | - |
1983年 | 16,000 |
-15.79% ↓
|
1982年 | 19,000 |
11.76% ↑
|
1981年 | 17,000 |
30.77% ↑
|
1980年 | 13,000 |
8.33% ↑
|
1979年 | 12,000 |
9.09% ↑
|
1978年 | 11,000 | - |
1977年 | 11,000 |
10% ↑
|
1976年 | 10,000 | - |
1975年 | 10,000 | - |
1974年 | 10,000 | - |
1973年 | 10,000 | - |
1972年 | 10,000 | - |
1971年 | 10,000 | - |
1970年 | 10,000 | - |
1969年 | 10,000 | - |
1968年 | 10,000 | - |
1967年 | 10,000 | - |
1966年 | 10,000 | - |
1965年 | 10,000 | - |
1964年 | 10,000 | - |
1963年 | 10,000 | - |
1962年 | 10,000 | - |
1961年 | 10,000 | - |
ツバルの鶏飼養数の推移を見ると、1961年から1980年代初期まではおおむね10羽台で推移しており、増加傾向はほとんど見られない状況でした。しかしながら、1980年代半ばから徐々に増加が見られ、特に1990年代以降では持続的な成長が顕著になっています。例えば、1988年には25羽、1999年には40羽と拡大しており、特に2000年代中盤から2010年代初頭にかけては年平均で約1羽程度の安定した成長が続いています。2022年には57羽に到達しており、この成長は主に畜産業の効率化や食料・栄養源としての需要の増加が背景にあると考えられます。
このような飼養数の増加はツバルにとって重要な意味を持つと言えます。ツバルは南太平洋に位置する小島嶼国であり、極めて限られた土地資源の中で自給的な農・畜産業が成り立っています。鶏は比較的小規模でも育成可能で、多様な気候条件に適応しやすい家畜です。そのため、現地住民にとっては貴重なタンパク質源となり、食生活の安定に貢献する重要な役割を担っています。また、鶏卵の生産など副次的な経済効果も期待されています。
しかし一方で、今後の課題も少なくありません。ツバルは気候変動の影響を大きく受ける地域であり、海面上昇や塩害が農業・畜産業に与えるリスクが懸念されています。仮に土地の利用可能性がさらに制限された場合、鶏飼養数の増加は鈍化する可能性があります。また、輸入飼料への依存や疫病リスクの管理も重要な問題として認識されるべきです。特に、家禽インフルエンザなどの発生が顕在化すれば、限られた資源の中で飼養数を維持することは挑戦となり得ます。
こうした課題に対応するためには、地域レベルおよび国際的な協力が不可欠です。たとえば、補助的な技術支援を通じた飼養効率の向上や、気候変動に耐性のある飼育環境の整備が考えられます。また、持続可能な飼料調達の仕組みを作ることで、輸入への依存を減らすことも解決策の一つです。さらに、近隣の島嶼国や国際機関との連携を強化し、情報共有や防疫体制の向上を目指すべきです。
ツバルのような小国における家禽飼育は、地域の食糧安全保障を支える非常に重要な要素です。データが示している安定的な増加傾向を維持・促進するため、政策や技術支援を通じた持続可能な飼育モデルの構築を目指す必要があります。地球温暖化の進行が続く中、このような取り組みは単に国内問題にとどまらず、地域全体の環境・社会的な安定にも寄与することでしょう。