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ソマリアの鶏飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ソマリアにおける鶏飼養数は過去数十年で大きく変動を見せています。1961年に1,400羽であった飼養数は、徐々に増加し2021年には3,875羽に達しましたが、この間、特定の年次で急激な減少や安定期も観察されました。特に1991年から1992年にかけては2,200羽から1,500羽へと急激な低下を示しましたが、その後回復し、現在はゆるやかな増加が続いています。本データは、ソマリアの畜産業とその関連経済について理解を深める上で貴重な指標となります。

年度 飼養数(羽) 増減率
2023年 3,884,000
0.86% ↑
2022年 3,851,000
-0.62% ↓
2021年 3,875,000
0.86% ↑
2020年 3,842,000
-0.18% ↓
2019年 3,849,000
1.85% ↑
2018年 3,779,000
0.72% ↑
2017年 3,752,000
0.72% ↑
2016年 3,725,000
1.36% ↑
2015年 3,675,000
2.08% ↑
2014年 3,600,000
2.86% ↑
2013年 3,500,000
2.94% ↑
2012年 3,400,000 -
2011年 3,400,000 -
2010年 3,400,000 -
2009年 3,400,000 -
2008年 3,400,000 -
2007年 3,400,000 -
2006年 3,400,000
-2.02% ↓
2005年 3,470,000
2.06% ↑
2004年 3,400,000
0.59% ↑
2003年 3,380,000
2.42% ↑
2002年 3,300,000 -
2001年 3,300,000
3.13% ↑
2000年 3,200,000
3.23% ↑
1999年 3,100,000
3.33% ↑
1998年 3,000,000
-6.25% ↓
1997年 3,200,000
3.23% ↑
1996年 3,100,000
3.33% ↑
1995年 3,000,000
7.14% ↑
1994年 2,800,000
12% ↑
1993年 2,500,000
66.67% ↑
1992年 1,500,000
-31.82% ↓
1991年 2,200,000
-29.03% ↓
1990年 3,100,000
-3.13% ↓
1989年 3,200,000 -
1988年 3,200,000
0.63% ↑
1987年 3,180,000
0.32% ↑
1986年 3,170,000 -
1985年 3,170,000
0.63% ↑
1984年 3,150,000
0.96% ↑
1983年 3,120,000
1.3% ↑
1982年 3,080,000
2.67% ↑
1981年 3,000,000
3.45% ↑
1980年 2,900,000
3.57% ↑
1979年 2,800,000
3.7% ↑
1978年 2,700,000
3.85% ↑
1977年 2,600,000
4% ↑
1976年 2,500,000
4.17% ↑
1975年 2,400,000
4.35% ↑
1974年 2,300,000
4.55% ↑
1973年 2,200,000 -
1972年 2,200,000
4.76% ↑
1971年 2,100,000
5% ↑
1970年 2,000,000
5.26% ↑
1969年 1,900,000
5.56% ↑
1968年 1,800,000
5.88% ↑
1967年 1,700,000
6.25% ↑
1966年 1,600,000
6.67% ↑
1965年 1,500,000
7.14% ↑
1964年 1,400,000 -
1963年 1,400,000 -
1962年 1,400,000 -
1961年 1,400,000 -

ソマリアの鶏飼養数推移データは、国全体の農業や畜産業構造の変遷、ひいてはその経済的・地政学的背景を反映しています。データは1961年から2022年までの約60年にわたるものですが、この期間中、飼養数は主に3つの主要な特徴を持つ時期に分けることができます。

まず、1961年から1980年代はゆるやかな上昇が観察されました。特に1961年の1,400羽から1980年には2,900羽と2倍以上に増加しています。これは農業技術や飼育方法の改善および都市部での家禽商品の需要拡大によるものと考えられます。ただし、1980年代の後半に増加率は鈍化しています。これはソマリア国内での社会的不安定や資源不足が影響した可能性があります。

次に、1991年から1992年には鶏飼養数の急激な減少が見られます。この2年間で3,100羽から1,500羽まで大幅に低下しており、この現象はソマリア内戦による影響が大きいと推測されます。内戦による農村の崩壊、農業の生産性低下、安定した食料供給の不足が原因として挙げられます。1993年以降は徐々に回復し、1995年には再び3,000羽を超え、2000年代に入ると安定した成長期に入りました。

2000年代中頃から2010年代後半までの間は3,400羽前後での停滞が続きましたが、その後2013年から再び成長を示し、2021年には3,875羽まで変化しています。しかし2022年は3,851羽と微減しており、この原因として新型コロナウイルス感染症の影響による物流の制約や経済変動、または飼料供給の困難などが考えられます。

これらの推移は、ソマリアの地政学的リスクや経済状況、さらに自然災害や疫病の影響との密接な関係を示しているといえます。特に内戦の影響と新型コロナウイルス感染症といった外部要因の顕著な影響を受けた点が明確です。また、近年の増加傾向はアフリカ全体で食料需要が増加していることや、家禽業の効率化が進んでいる事実とも一致しています。

現状の主な課題としては、以下の点が挙げられます。一つは、依然として不安定な地政学的環境が鶏飼養数の推移に与えているリスクです。また、気候変動による干ばつや洪水といった自然災害が長期的に農業生産に悪影響を及ぼす点も懸念材料です。さらに、農業技術やインフラが他国と比較して立ち遅れていることが成長を制限していると言えます。例えば、ソマリアの鶏飼養数は日本(2022年時点で約1億9千万羽)やアメリカ(約90億羽)などと比べると桁違いに低水準であるため、市場の規模は非常に限定的です。

これを解決するために、具体的な取り組みが必要です。まず最初に、国内のインフラ整備や技術供与を通じて、効率的な養鶏技術を普及させることが優先事項となります。また、地域内での平和構築と治安改善を通じて、生産活動が恒常的に行える環境を整備することも重要です。さらに、国際的パートナーシップのもとで輸送ネットワークや飼料供給の効率化を進めることで、地産地消を拡大し国際市場への参入を目指すべきです。

結論として、ソマリアの鶏飼養数推移のデータは地域的な農業・畜産の現状と課題を明確に示しています。過去の数値から得た教訓を活かして持続可能な畜産業を構築するためには、国内外が協力し、具体的な政策や対策を講じることが重要です。紛争や自然災害に左右されない安定した成長を達成するため、農業技術の向上と平和的環境の確立に注力する必要があります。