国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、2022年度の馬飼養数ランキングで、アメリカ合衆国が10,313,890頭で1位、メキシコが6,407,072頭で2位、ブラジルが5,834,544頭で3位となっています。日本は87位で14,186頭でした。このランキングは国ごとの馬飼養実態を示しており、農業、輸送、スポーツ、観光などの分野で馬が果たす役割や各国の文化的背景を反映しています。
順位 | 国名 | 地域 | 飼養数(頭) |
---|---|---|---|
1 | アメリカ合衆国 | 北アメリカ | 10,313,890 |
2 | メキシコ | 南アメリカ | 6,407,072 |
3 | ブラジル | 南アメリカ | 5,834,544 |
4 | モンゴル | アジア | 4,821,066 |
5 | カザフスタン | アジア | 3,856,012 |
6 | 中国 | アジア | 3,666,800 |
7 | アルゼンチン | 南アメリカ | 2,462,982 |
8 | エチオピア | アフリカ | 2,169,657 |
9 | コロンビア | 南アメリカ | 1,575,512 |
10 | チャド | アフリカ | 1,453,072 |
11 | ロシア連邦 | ヨーロッパ | 1,298,630 |
12 | キューバ | 南アメリカ | 907,800 |
13 | スーダン | アフリカ | 794,839 |
14 | ペルー | 南アメリカ | 751,486 |
15 | マリ | アフリカ | 621,014 |
16 | セネガル | アフリカ | 591,678 |
17 | キルギスタン | アジア | 533,979 |
18 | ベネズエラ (ボリバル共和国) | 南アメリカ | 528,839 |
19 | ボリビア (多民族国家) | 南アメリカ | 514,070 |
20 | ハイチ | 南アメリカ | 504,759 |
21 | シエラレオネ | アフリカ | 446,299 |
22 | イギリス | ヨーロッパ | 429,761 |
23 | ウルグアイ | 南アメリカ | 410,948 |
24 | カナダ | 北アメリカ | 399,554 |
25 | インドネシア | アジア | 394,341 |
26 | パキスタン | アジア | 377,000 |
27 | ドミニカ共和国 | 南アメリカ | 364,953 |
28 | 南アフリカ | アフリカ | 333,278 |
29 | チリ | 南アメリカ | 300,668 |
30 | フランス | ヨーロッパ | 289,607 |
31 | インド | アジア | 271,102 |
32 | ウズベキスタン | アジア | 269,002 |
33 | ニカラグア | 南アメリカ | 268,951 |
34 | ニジェール | アフリカ | 263,470 |
35 | フィリピン | アジア | 251,298 |
36 | オーストラリア | オセアニア | 250,605 |
37 | パラグアイ | 南アメリカ | 220,058 |
38 | ホンジュラス | 南アメリカ | 182,921 |
39 | ウクライナ | ヨーロッパ | 180,800 |
40 | モロッコ | アフリカ | 173,300 |
41 | ポーランド | ヨーロッパ | 156,519 |
42 | エクアドル | 南アメリカ | 155,407 |
43 | グアテマラ | 南アメリカ | 133,460 |
44 | イラン(イスラム共和国) | アジア | 130,589 |
45 | コスタリカ | 南アメリカ | 117,635 |
46 | ミャンマー | アジア | 109,529 |
47 | パナマ | 南アメリカ | 103,855 |
48 | ナイジェリア | アフリカ | 102,714 |
49 | エルサルバドル | 南アメリカ | 98,683 |
50 | ポルトガル | ヨーロッパ | 90,000 |
51 | エジプト | アフリカ | 85,309 |
52 | タジキスタン | アジア | 82,761 |
53 | トルコ | アジア | 74,359 |
54 | モーリタニア | アフリカ | 67,933 |
55 | チュニジア | アフリカ | 57,119 |
56 | アゼルバイジャン | アジア | 56,576 |
57 | ベトナム | アジア | 52,148 |
58 | アイスランド | ヨーロッパ | 51,865 |
59 | イラク | アジア | 50,666 |
60 | アルジェリア | アフリカ | 49,430 |
61 | 朝鮮民主主義人民共和国 | アジア | 48,387 |
62 | フィジー | オセアニア | 47,732 |
63 | スイス | ヨーロッパ | 47,564 |
64 | デンマーク | ヨーロッパ | 46,012 |
65 | リビア | アフリカ | 45,805 |
66 | ナミビア | アフリカ | 42,302 |
67 | レソト | アフリカ | 42,212 |
68 | グルジア | アジア | 40,349 |
69 | 東ティモール | アジア | 38,328 |
70 | チェコ | ヨーロッパ | 37,087 |
71 | ノルウェー | ヨーロッパ | 35,800 |
72 | ハンガリー | ヨーロッパ | 35,000 |
73 | ニュージーランド | オセアニア | 33,531 |
74 | ラオス人民民主共和国 | アジア | 32,507 |
75 | カンボジア | アジア | 32,158 |
76 | アフガニスタン | アジア | 28,792 |
77 | ジンバブエ | アフリカ | 28,274 |
78 | トルクメニスタン | アジア | 27,596 |
79 | 大韓民国 | アジア | 26,065 |
80 | アルバニア | ヨーロッパ | 26,000 |
81 | ブルキナファソ | アフリカ | 25,076 |
82 | ガンビア | アフリカ | 23,961 |
83 | ベラルーシ | ヨーロッパ | 22,700 |
84 | モルドバ共和国 | ヨーロッパ | 19,600 |
85 | ボツワナ | アフリカ | 16,464 |
86 | カメルーン | アフリカ | 15,467 |
87 | 日本 | アジア | 14,186 |
88 | アルメニア | アジア | 13,888 |
89 | カタール | アジア | 13,368 |
90 | リトアニア | ヨーロッパ | 12,502 |
91 | セルビア | ヨーロッパ | 12,332 |
92 | トンガ | オセアニア | 11,814 |
93 | ブータン | アジア | 11,665 |
94 | ニューカレドニア | オセアニア | 10,722 |
95 | 北マケドニア | ヨーロッパ | 10,659 |
96 | シリア・アラブ共和国 | アジア | 10,044 |
97 | ラトビア | ヨーロッパ | 8,700 |
98 | タイ | アジア | 8,194 |
99 | ベリーズ | 南アメリカ | 6,211 |
100 | サウジアラビア | アジア | 4,200 |
101 | マレーシア | アジア | 4,112 |
102 | ジャマイカ | 南アメリカ | 4,009 |
103 | イスラエル | アジア | 4,000 |
104 | モンテネグロ | ヨーロッパ | 3,942 |
105 | ボスニア・ヘルツェゴビナ | ヨーロッパ | 3,840 |
106 | プエルトリコ | 南アメリカ | 3,625 |
107 | ギニア | アフリカ | 3,601 |
108 | ガーナ | アフリカ | 3,352 |
109 | レバノン | アジア | 3,350 |
110 | ギニアビサウ | アフリカ | 2,484 |
111 | ガイアナ | 南アメリカ | 2,400 |
112 | バヌアツ | オセアニア | 2,303 |
113 | ヨルダン | アジア | 2,242 |
114 | ケニア | アフリカ | 2,212 |
115 | フランス領ポリネシア | オセアニア | 2,200 |
116 | トーゴ | アフリカ | 2,082 |
117 | パプアニューギニア | オセアニア | 2,036 |
118 | イエメン | アジア | 2,036 |
119 | サモア | オセアニア | 1,947 |
120 | エスワティニ | アフリカ | 1,768 |
121 | 中国、香港特別行政区 | アジア | 1,552 |
122 | トリニダード・トバゴ | 南アメリカ | 1,403 |
123 | バルバドス | 南アメリカ | 1,236 |
124 | スリランカ | アジア | 1,223 |
125 | クウェート | アジア | 1,212 |
126 | ベナン | アフリカ | 1,181 |
127 | セントルシア | 南アメリカ | 1,112 |
128 | アンゴラ | アフリカ | 1,013 |
129 | ソマリア | アフリカ | 892 |
130 | 中国、台湾 中国省 | アジア | 871 |
131 | カーボベルデ | アフリカ | 587 |
132 | マダガスカル | アフリカ | 510 |
133 | アンティグア・バーブーダ | 南アメリカ | 494 |
134 | アラブ首長国連邦 | アジア | 446 |
135 | スリナム | 南アメリカ | 347 |
136 | サントメ・プリンシペ | アフリカ | 313 |
137 | クック諸島 | オセアニア | 302 |
138 | マラウイ | アフリカ | 184 |
139 | ソロモン諸島 | オセアニア | 151 |
140 | モーリシャス | アフリカ | 148 |
141 | コンゴ | アフリカ | 80 |
142 | グレナダ | 南アメリカ | 30 |
2022年のデータを見ると、アメリカ合衆国、メキシコ、ブラジルが上位を占め、これらの国はそれぞれ異なる目的で馬を利用しています。アメリカ合衆国は、レジャーや競馬産業が発展しており、馬に対する高い需要が反映されています。メキシコとブラジルでは、農業や牧畜の現場で馬が利用されるほか、一部地域では伝統的な祭りや競技の一環としても活用されています。
一方、モンゴルやカザフスタンのような4位、5位にランクインした国々では、遊牧文化が根強く、馬は移動手段や生活の中で非常に重要な役割を果たしています。これらの地域では、地理的な要因や歴史的な背景も馬の飼養数に顕著な影響を及ぼしています。一方で、日本は87位と比較的低い立場に位置していますが、これは国内需要の縮小や都市部への人口集中、そして馬が主に趣味やスポーツの一環として飼育されている現状によります。
興味深い点として、エチオピアやチャドなどのアフリカ諸国が馬飼養数が多い国のトップ10に入ることも注目されます。これらの国々では依然として馬が重要な労働力として活用されていることがデータから伺えます。対照的にヨーロッパ諸国の多くはランキングの後半に位置しており、経済の近代化に伴って馬の使用が減少している状況が明らかです。
地政学的な観点では、地域衝突や紛争の影響が馬の飼養数に影響を与えているケースも見られます。たとえば、紛争地域や不安定な国々では、飼育環境が維持できないため飼養数が減少する傾向にあります。一方、移動制約がある地域では逆に馬が貴重な輸送手段として需要が高まる可能性もあるでしょう。
馬飼養数の変化は、今後の農業技術の進展や経済状況、気候変動の影響を強く受けることが予想されます。特に新型コロナウイルスの影響で輸送やスポーツイベントが制限されたことが、一部の国々で馬の需要を抑制する要因となったことが考えられます。また、地球温暖化などの影響で一部地域では牧草の供給が減少し、馬を維持するコストが高まっていく懸念もあります。
今後、国際機関や各国政府は馬の適切な飼育環境を確保するための政策を検討する必要があります。特に、伝統的な牧畜文化を維持しながら現代化を進める国々に対しては、収益性の高い馬関連産業の創出や観光業との連携など、持続可能な活用モデルを提案すべきです。また、馬の健康管理や繁殖技術の向上を目指した国際間の協力も重要な課題といえるでしょう。
結論として、馬飼養数の分布は各国の経済状況や文化的背景を反映するだけでなく、グローバルな課題である気候変動や経済の変化に対する適応状況も示しています。これを踏まえ、各国がローカルかつグローバルな観点から馬の価値を再評価し、適切な政策と技術革新を進めることが、持続可能な未来に向けた重要なステップといえるでしょう。