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ミャンマーの馬飼養数推移(1961年~2023年)

ミャンマーの馬飼養数は1960年代から2020年代にかけて大きな変化を見せました。1961年の飼養数21,072頭から1970年代には急増し130,000頭を超え、その後、長期間安定した数値を保ちましたが、2009年以降には再び減少傾向に転じました。2022年には109,529頭と、ピーク時の1986年(136,138頭)と比べて減少しており、近年の増減はやや緩やかです。この動向には社会的、経済的要因に加え、地政学的および環境的な側面が影響していると考えられます。

年度 飼養数(頭) 増減率
2023年 107,425
-1.92% ↓
2022年 109,529
-0.74% ↓
2021年 110,350
-0.79% ↓
2020年 111,227
-1.46% ↓
2019年 112,873
-2.09% ↓
2018年 115,277
1.04% ↑
2017年 114,096
1.29% ↑
2016年 112,638
5.22% ↑
2015年 107,051
-7.21% ↓
2014年 115,363
-0.12% ↓
2013年 115,500
0.43% ↑
2012年 115,000
0.88% ↑
2011年 114,000
-0.87% ↓
2010年 115,000
-4.17% ↓
2009年 120,000
-9.09% ↓
2008年 132,000
-5.71% ↓
2007年 140,000
3.7% ↑
2006年 135,000
3.85% ↑
2005年 130,000 -
2004年 130,000 -
2003年 130,000 -
2002年 130,000
8.33% ↑
2001年 120,000 -
2000年 120,000 -
1999年 120,000 -
1998年 120,000 -
1997年 120,000 -
1996年 120,000 -
1995年 120,000 -
1994年 120,000
-0.14% ↓
1993年 120,164
3.75% ↑
1992年 115,824
-1.92% ↓
1991年 118,092
-2.11% ↓
1990年 120,643
1.27% ↑
1989年 119,131
-13.91% ↓
1988年 138,384
1.65% ↑
1987年 136,138
2.03% ↑
1986年 133,431
2.64% ↑
1985年 130,000
3.17% ↑
1984年 126,000
4.13% ↑
1983年 121,000
2.54% ↑
1982年 118,000
2.61% ↑
1981年 115,000
3.6% ↑
1980年 111,000
0.91% ↑
1979年 110,000
1.85% ↑
1978年 108,000
3.13% ↑
1977年 104,723
5.69% ↑
1976年 99,089
5.11% ↑
1975年 94,271
4.75% ↑
1974年 90,000
5.88% ↑
1973年 85,000
10.39% ↑
1972年 77,000
7.64% ↑
1971年 71,538
9.48% ↑
1970年 65,342
10.72% ↑
1969年 59,013
10.16% ↑
1968年 53,570
37.36% ↑
1967年 39,000
27.49% ↑
1966年 30,591
8.15% ↑
1965年 28,285
6.35% ↑
1964年 26,596
21.12% ↑
1963年 21,959
-2.2% ↓
1962年 22,453
6.55% ↑
1961年 21,072 -

ミャンマーの馬飼養数は、国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによれば、1961年から1970年代まで顕著な増加傾向を示しました。この時期、農業や運輸における馬の需要が高まっていた背景がうかがえます。特に1967年以降の加速度的な増加は、国内の農村部における家畜の重要性が反映されており、1975年には94,271頭に達し、1986年にはピークとなる136,138頭にまで拡大しました。

その後の1990年代から2000年代にかけては、約120,000頭前後で安定していました。この現象は、おそらく国内の農業・交通において機械化や近代化が進行し、馬の役割が減少していった一方で、伝統的な生活様式を維持する地域も多く存在していたためと考えられます。しかし、2009年以降、飼養数が再び減少に転じており、2022年には109,529頭と100,000頭台を維持しているものの、ピークと比べると大幅な減少が見られます。

近年の減少傾向は、農業や輸送分野における機械化のさらなる進展に加え、多くの地域で経済状況の変化や都市化が進行している影響があると考えられます。また、周辺国と比べてもこの傾向は特異ではありません。例えば、日本も戦後間もないころは農村部で馬が重要な役割を果たしていましたが、高度経済成長期に急速に機械化が進んだ結果、馬の役割が大幅に縮小しました。中国でも同様に、人口増加と産業化の波により馬の飼養数が相対的に減少してきています。

一方で、地域情勢や気候変動の影響がミャンマーの現状をさらに複雑にしています。たとえば、国内の政治的不安定さや、紛争地域での住民の移動が、農業や伝統的な生活様式を維持するのを難しくしている可能性があります。加えて、気候危機による農作物の生産性低下が、農村経済全般に圧力をかけており、この影響が馬飼養数の推移にも反映されていると考えられます。

対応策として、まず必要なのは、現地の農村部で伝統的生活様式を適切に支援しつつ、馬を活用した生産性向上の可能性を再評価することです。特に小規模農場では、安価で維持が容易な馬が再び重要な役割を果たせる可能性があります。また、観光業において文化的な遺産を活用し、馬を活用したエコツーリズムの促進が地域経済を活性化させる新しい方法となるかもしれません。

さらに、国際的な支援や地域協力も不可欠です。FAOやその他の国際機関が主導し、気候変動対策として家畜と環境の持続可能な関係性を確立する取り組みを進めるべきです。また、国内の政治的な安定が馬の飼養環境を改善する重要な前提条件となるため、政策作りに地政学的な配慮を加える必要があります。

ミャンマーにおける馬飼養数の推移は、農村経済、技術革新、環境、そして政治状況の交差点に位置する独特の指標であり、これを適切に理解し、活用することは、持続可能な発展に向けた政策立案において重要です。国際機関や地域政府の協力のもと、長期的かつ持続可能な解決策を見つける取り組みが期待されます。