国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、ボリビアの馬飼養数は、1961年に191,000頭と記録され、その後、2022年には514,070頭となり、大幅な増加を見せています。このデータは、ボリビアの馬関連産業や農業活動、地域社会の変化と密接に結びついています。ただし、一部の期間には減少傾向がみられ、経済的、社会的要因も影響していると考えられます。
ボリビア (多民族国家)の馬飼養数推移(1961-2022)
年度 | 飼養数(頭) |
---|---|
2022年 | 514,070 |
2021年 | 511,026 |
2020年 | 507,972 |
2019年 | 504,996 |
2018年 | 497,548 |
2017年 | 495,534 |
2016年 | 493,625 |
2015年 | 491,965 |
2014年 | 490,000 |
2013年 | 488,000 |
2012年 | 487,000 |
2011年 | 483,000 |
2010年 | 478,000 |
2009年 | 475,000 |
2008年 | 470,000 |
2007年 | 465,397 |
2006年 | 455,929 |
2005年 | 447,047 |
2004年 | 437,460 |
2003年 | 428,626 |
2002年 | 400,000 |
2001年 | 380,000 |
2000年 | 360,000 |
1999年 | 340,000 |
1998年 | 322,000 |
1997年 | 322,000 |
1996年 | 322,000 |
1995年 | 322,000 |
1994年 | 322,000 |
1993年 | 322,000 |
1992年 | 322,000 |
1991年 | 320,000 |
1990年 | 320,000 |
1989年 | 320,000 |
1988年 | 315,000 |
1987年 | 315,000 |
1986年 | 310,000 |
1985年 | 310,600 |
1984年 | 292,600 |
1983年 | 300,000 |
1982年 | 310,000 |
1981年 | 320,000 |
1980年 | 330,000 |
1979年 | 340,000 |
1978年 | 360,000 |
1977年 | 370,000 |
1976年 | 360,000 |
1975年 | 340,000 |
1974年 | 320,000 |
1973年 | 310,000 |
1972年 | 300,000 |
1971年 | 300,000 |
1970年 | 290,000 |
1969年 | 284,000 |
1968年 | 264,000 |
1967年 | 244,000 |
1966年 | 223,000 |
1965年 | 214,300 |
1964年 | 194,900 |
1963年 | 194,000 |
1962年 | 193,000 |
1961年 | 191,000 |
ボリビアにおける馬の飼養数は、1960年代初頭には約191,000頭であったのに対し、その後半世紀以上にわたり着実に増加し、2022年には514,070頭に到達しました。これは約2.7倍の増加を示しており、馬の役割がこの国の農村部や伝統的生活様式において依然として重要であることを物語っています。
初期の数値を見ると、1960年代から1970年代にかけて馬飼養数が加速度的に増加しています。この急激な増加は、農業用動力としての馬の利用が拡大したことや、一定の経済安定期における畜産業の発展が背景にあると考えられます。しかしながら、1978年をピークとする約360,000頭の後、1980年代初頭までに馬飼養数は再び減少しています。この減少には、農業の機械化の進展や経済的な困難による畜産資源の減少、さらには社会構造や生活様式の変化が影響を与えた可能性があります。特に、この時期のボリビアにおける経済危機は、この減少傾向に大きく関与していると推察されます。
その後、1990年代以降、馬飼養数はおおむね安定した状態にあり、2000年代以降は再び増加傾向が顕著になっています。この背景には、農村部での持続可能な農業実践の復活、小規模農家への支援政策、観光業の発展、そして馬が文化的、宗教的儀式で要される重要性が挙げられます。特に、アンデス地域での馬の利用は、現地での輸送手段としてだけでなく、伝統的な文化を守る象徴的な役割を担っています。
国際的な文脈において比較してみても、ボリビアの馬飼養数の増加は、隣国アルゼンチンやブラジルの安定的な動物飼養数の推移と一致する部分があります。しかし、アジアの主要国である日本や韓国では、馬の役割は主にレジャーや観光、あるいは畜産業を超えた用途(競馬など)に限定されている点で異なります。ボリビアが農業と文化の両面での活用を同時に発展させているのは、地域的な特異性と言えるでしょう。
未来に向けた課題としては、気候変動の影響による牧草地や水資源の変動が馬飼養に負の影響を及ぼす可能性があります。また、急速な都市化や若者層の農村部からの流出も、持続可能な馬飼養への障壁となるでしょう。このような環境要因や社会動態に対応するため、政府や国際機関は、牧草地の保護や農村支援政策の強化が求められます。また、地域間での協働や教育プログラムを活用することで、持続可能な畜産業を支援することが重要です。
さらに、馬飼養の増加が示唆する経済的可能性を生かすため、観光業や農産物の流通と統合した取り組みの促進も有益でしょう。他地域ではアグリツーリズム(農業観光)と呼ばれる形態が成功している例があり、それをボリビアの文脈で適用しやすい形で導入すれば、地域経済を下支えする新たな収入源となり得ます。
このように、データに基づく政策形成と未来志向の取組みを組み合わせることで、馬がボリビア社会に果たす役割をさらに発展させる可能性があります。この結果として、畜産業だけでなく農業や観光、さらには文化保護の分野でも相乗的な進歩が期待できると言えるでしょう。