Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した2024年更新のデータによると、1961年には700頭であったソマリアの馬飼養数は、20世紀後半から変動しながら増加を続け、2022年には892頭に達しています。この間、内戦や気候変動などの影響により減少した時期も見られましたが、21世紀に入ってからはほぼ安定した成長傾向を示しています。
ソマリアの馬飼養数推移(1961-2022)
年度 | 飼養数(頭) |
---|---|
2022年 | 892 |
2021年 | 888 |
2020年 | 884 |
2019年 | 890 |
2018年 | 881 |
2017年 | 872 |
2016年 | 862 |
2015年 | 855 |
2014年 | 850 |
2013年 | 850 |
2012年 | 850 |
2011年 | 850 |
2010年 | 850 |
2009年 | 850 |
2008年 | 850 |
2007年 | 850 |
2006年 | 850 |
2005年 | 850 |
2004年 | 850 |
2003年 | 830 |
2002年 | 810 |
2001年 | 810 |
2000年 | 800 |
1999年 | 750 |
1998年 | 700 |
1997年 | 800 |
1996年 | 750 |
1995年 | 700 |
1994年 | 650 |
1993年 | 600 |
1992年 | 500 |
1991年 | 700 |
1990年 | 920 |
1989年 | 920 |
1988年 | 910 |
1987年 | 900 |
1986年 | 890 |
1985年 | 870 |
1984年 | 850 |
1983年 | 800 |
1982年 | 750 |
1981年 | 700 |
1980年 | 700 |
1979年 | 700 |
1978年 | 650 |
1977年 | 650 |
1976年 | 650 |
1975年 | 600 |
1974年 | 600 |
1973年 | 600 |
1972年 | 550 |
1971年 | 550 |
1970年 | 550 |
1969年 | 500 |
1968年 | 500 |
1967年 | 500 |
1966年 | 500 |
1965年 | 600 |
1964年 | 600 |
1963年 | 600 |
1962年 | 600 |
1961年 | 700 |
ソマリアにおける馬飼養数の推移を分析すると、国内外の社会・経済・環境的な要因が複雑に影響を及ぼしていることが明らかです。1961年時点では700頭で始まった馬飼養数は、その後、一時的な減少を経て緩やかに回復し、近年では上昇基調を維持しています。
1960年代と1970年代初頭は、500頭から600頭台を維持しており、安定感があるようにも見えますが、1966年から数年間はやや減少傾向が見られました。この減少は、当時の旱魃や内陸部の経済活動の停滞、さらに畜産分野での政策的な優先順位の低さが影響している可能性があります。一方で、1970年代半ばになると650頭を記録します。この回復には、国内農業政策の改善や輸送手段としての馬の需要向上が一因と考えられます。
1980年代は馬飼養数の大きな転換期として特筆されます。この期間では、連続的な増加が確認され、1981年に750頭、1989年には920頭に達しています。この背景として、農業生産拡充や内陸部の経済活動の活性化、そして馬が家庭用農具や交通手段としての需要を高めた可能性が挙げられます。しかし、1990年代に入ると急激に減少が見られ、1991年には700頭、1992年には500頭にまで減少します。この劇的な変化には、ソマリア内戦の影響が色濃く反映されています。内戦による社会不安や経済混乱、適切な飼育環境の喪失が、馬の数を大きく減少させる要因となったとみられます。
その後、1990年代中期になると徐々に回復の兆しを見せ、2000年代には安定した水準で増加が続きます。2004年から2014年までの10年間は、850頭で横ばいの傾向が示されており、これは国内飼育基盤が外部的要因や自然災害の影響を受けつつも安定していたことを示しています。しかし、2015年以降は再び緩やかな増加傾向が始まり、2022年には892頭に達しました。この安定増加の背景として、国際的支援による畜産改善プロジェクトや、天然資源に依存した伝統社会の復興努力が挙げられます。
一方で、将来を考えるといくつかの課題が残されています。第一に、気候変動による旱魃や水資源の不足が持続的脅威となり得ます。馬の飼育は水や草地などの自然資源に依存しており、将来的にもこれらの資源管理の必要性が増すでしょう。第二に、地政学的リスクが飼養基盤に与える影響です。ソマリアでは依然として紛争が発生しており、これが畜産業全体に与える負の影響を無視することはできません。
今後の対応策として、まず国内外の協力による気候レジリエンスの強化が必要です。具体的には、持続可能な牧草供給の確保や効率よい用水管理システムの導入が効果的と言えます。また、法律や政策を通じて畜産業に重点を置いた国家戦略を策定し、馬などの家畜を保護する取り組みを強化することも重要です。さらに、地域紛争の緩和を図るための国際的支援も不可欠で、国際機関の調停役としての役割が期待されます。
最後に、世界全体の動向を考慮すると、ソマリアの馬飼養数増加は持続的発展を示す一つの明るい兆候と見ることができます。日本や中国、アメリカなどの大規模経済圏では、馬の飼養はスポーツや娯楽の一環としての需要が中心であるのに対し、ソマリアのような地域では依然として生活や労働の基盤です。この違いを理解し、地域ごとの特性に即した支援や施策の構築が求められます。
結論として、ソマリアの馬飼養数の推移は、同国の農業・牧畜の現状を反映した重要な指標であり、これを理解し適切に支援することで地域経済の安定と持続可能な発展を助長することができます。