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アメリカ合衆国の馬飼養数推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に公開した最新データによれば、アメリカ合衆国における馬の飼養数は、1961年には約2,367,000頭でスタートしその後減少期を迎えましたが、1970年以降から増加に転じ、長期的な上昇トレンドが維持されています。特に2000年代初頭には急激な増加が見られ、2010年代には1000万頭を超えました。近年では微増傾向にあり、2022年には10,313,890頭に達しました。

年度 飼養数(頭)
2022年 10,313,890
2021年 10,305,364
2020年 10,298,073
2019年 10,338,577
2018年 10,234,286
2017年 10,249,671
2016年 10,261,593
2015年 10,267,608
2014年 10,260,000
2013年 10,250,000
2012年 10,250,000
2011年 10,150,000
2010年 10,000,000
2009年 9,800,000
2008年 9,500,000
2007年 9,500,000
2006年 9,500,000
2005年 9,200,000
2004年 8,000,000
2003年 7,000,000
2002年 6,000,000
2001年 5,500,000
2000年 5,240,000
1999年 5,170,000
1998年 5,237,000
1997年 5,170,000
1996年 5,150,000
1995年 5,130,000
1994年 5,110,000
1993年 5,130,000
1992年 5,121,000
1991年 5,100,000
1990年 5,069,000
1989年 5,067,000
1988年 5,076,000
1987年 5,048,000
1986年 5,151,000
1985年 5,151,000
1984年 5,108,000
1983年 5,079,000
1982年 5,051,000
1981年 5,031,000
1980年 5,013,000
1979年 4,973,000
1978年 4,953,000
1977年 4,743,000
1976年 4,735,000
1975年 4,705,000
1974年 4,655,000
1973年 4,605,000
1972年 4,556,000
1971年 4,557,000
1970年 4,141,000
1969年 3,758,000
1968年 3,475,000
1967年 3,105,000
1966年 2,863,000
1965年 2,719,000
1964年 1,502,000
1963年 1,819,000
1962年 2,130,000
1961年 2,367,000

アメリカ合衆国の馬飼養数の推移を詳しく見ていくと、大きく3つの時期に分類できます。最初の1961年から1964年は急激な減少に見舞われた時期で、この期間に飼養数は約2,367,000頭から約1,502,000頭まで落ちています。これは都市化の進展や農業生産の機械化が進み、伝統的な農作業における馬の役割が急速に失われたことと関連しています。また、ライフスタイルの変化に伴い馬の需要が低下したことが背景にあります。

1965年以降になると、減少傾向から増加傾向に転じます。この復活には、馬の利用が農業や輸送手段から、娯楽やスポーツ、観光など新しい用途へとシフトしたことが寄与しています。また、アメリカ文化における馬の象徴的な役割や、乗馬産業の発展がこの増加を支えました。特に1960年代後半から1980年代にかけて、年間10万頭から30万頭規模で堅調な成長を遂げています。

2000年以降からは特筆すべき急激な増加が見られます。2000年の約5,240,000頭から2006年の9,500,000頭、さらに2010年には1,000万頭を超えました。この急増期は、アメリカ国内の経済的余裕の拡大や、乗馬産業の多様化によるものとされています。乗馬旅行や牧場経営が増える一方で、馬が高級ペットの一種として認識されるようになった背景も無視できません。

近年の2010年代以降、飼養数は1,000万頭台で相対的に安定しており、わずかながら微増の傾向が続いています。しかし、大きな成長は見込まれず、成熟期に差し掛かっていると考えられます。2022年の飼養数は約10,313,890頭と、過去50年間で最も高い水準を維持しています。とはいえ、新型コロナウイルス感染症の拡大により、人々のアウトドア活動が再評価され、馬との交流を楽しむニーズが高まったことが、2020年以降の安定に寄与していると考えられます。

しかし、現状には課題も存在します。一部の地域では、馬飼養数の増加が牧場や農地の利用圧力を高め、土地資源の管理が課題となっています。また、気候変動の影響により、一部の地域では飼料の価格高騰や水資源の不足が懸念されています。特に、メキシコ湾沿岸や西部内陸部の乾燥化が飼料供給網に打撃を与える可能性が指摘されており、馬の飼育コストを押し上げる要因となるでしょう。

これらの課題に対して、政策的な対応が必要です。たとえば、土地管理の効率向上やスマート農業技術の導入に加え、馬飼料の生産が可能な植物の栽培を奨励する助成策を提案することが考えられます。また、国際的な協力を通じて、気候変動に対応した新しい農業技術やバイオ燃料の開発を優先的に進めるべきです。

まとめると、アメリカ合衆国における馬の飼養数は、過去60年間で大きく変動を経ながらも、文化的価値の維持や多様な利用法の発展を背景に成長してきました。現在では安定期を迎えていますが、今後は地政学的なリスクや気候問題が飼養環境に与える影響を注視し、持続可能な管理と政策の実現が求められます。国際連合や各国政府が協力し、馬飼育産業がより発展しつつも環境負荷を軽減する方向での取り組みが期待されています。