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アルメニアの馬飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによれば、アルメニアにおける馬飼養数は、1992年の6,548頭から2022年の13,888頭までの間、増減の波を経ながら長期的な増加傾向を示しています。特に直近では2021年以降、著しい増加を見せています。最も少ない飼養数は1992年、最多は2022年に記録されており、この30年間で約2倍に増加しています。このデータを見ると、飼養数の変動には経済や政策、地政学的要因が影響している可能性が考えられます。

年度 飼養数(頭) 増減率
2023年 13,168
-5.18% ↓
2022年 13,888
6.08% ↑
2021年 13,092
15.18% ↑
2020年 11,367
5.76% ↑
2019年 10,748
6.96% ↑
2018年 10,049
-5.47% ↓
2017年 10,631
-6.76% ↓
2016年 11,402
-0.24% ↓
2015年 11,430
-2.19% ↓
2014年 11,686
8.43% ↑
2013年 10,777
8.73% ↑
2012年 9,912
-1.29% ↓
2011年 10,042
-6.82% ↓
2010年 10,777
-4.54% ↓
2009年 11,290
-4.13% ↓
2008年 11,776
-6.75% ↓
2007年 12,628
2.98% ↑
2006年 12,262
2.65% ↑
2005年 11,945
-1.85% ↓
2004年 12,170
0.21% ↑
2003年 12,145
0.49% ↑
2002年 12,086
5.76% ↑
2001年 11,428
-0.64% ↓
2000年 11,502
-3.82% ↓
1999年 11,959
-6.15% ↓
1998年 12,742
-3.25% ↓
1997年 13,170
5.79% ↑
1996年 12,449
2.88% ↑
1995年 12,101
10.44% ↑
1994年 10,957
27.69% ↑
1993年 8,581
31.05% ↑
1992年 6,548 -

アルメニアの馬飼養数はこの30年間で大きな変化を見せています。1992年には6,548頭でしたが、その後急激に増加し、1997年には13,170頭に達しました。しかし、これ以降多数の年にわたり増減が繰り返され、特に2009年から2012年にかけては10,000頭台を割り込む場面が見られました。それに対し、2021年からの急増は注目に値します。2021年の13,092頭から、2022年には13,888頭に増加しました。この近年の急激な増加は、コロナ禍による自給自足型経済の見直しや畜産業支援政策が背景にあると考えられます。

アルメニアの馬飼養数は農業および地方コミュニティにおける重要な役割を果たしており、畑作や運搬、さらには肉や乳製品などの家畜製品の供給源として位置付けられています。しかし、1990年代前半の急増を除けば、増加基調は穏やかであり、2000年代には減少へと転じる例も見られました。この動向には、経済的困難や農牧業支援策の不足、または都市部への人口流出といった国内外の様々な要因が関与していると推測されます。

地政学的観点から見ると、アルメニアはカフカス地方の中央に位置し、近隣諸国との関係、特に資源争奪や地域的な紛争が大きな影響を及ぼしてきました。この地域の不安定要因が、農業や畜産業、特に馬の飼養数にも波及していると考えられます。また、新型コロナウイルスのパンデミックはグローバルな物流に影響を及ぼし、これまで輸入に依存していた農業資源の内製化を加速させた可能性があります。2021年以降の急激な増加は、こうした内製化志向の反映かもしれません。

この長期的なデータはアルメニア農業分野における新たな課題と可能性を示唆しています。例えば、馬関連の畜産業の効率化や市場拡大、付加価値のある製品(乳製品や高品質の農畜産物)の開発に向けた技術支援が推進されるべきです。また、飼育基準や健康管理、繁殖に関する専門知識の普及も重要な課題となるでしょう。国際的な支援を通じて技術移転が進むことで、生産性向上が見込まれると同時に、持続可能性の高い産業への転換が可能となります。

さらに、地元および隣国との協力体制を強化することが必要です。地域的な紛争のリスクを軽減し、適正な農業政策を進めるためにも地域間での協調が求められます。国際機関や多国間協定を活用し、この地域全体で適応経済資源の効率的分配を検討することが将来的な課題解決の鍵となるでしょう。これらの取り組みを具体化することで、アルメニアの馬飼養業は持続可能な成長を続けていくことが期待されます。