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クック諸島の馬飼養数推移(1961年~2023年)

1961年から2022年のクック諸島における馬飼養数の推移をみると、初期の約1,860頭から1976年に8,500頭まで急増。しかしその後減少に転じ、1985年には1,000頭以下となりました。1990年代以降は300頭前後で安定しており、2022年も同数を維持しています。この変動は社会的要因や経済状況、産業構造の変化と関連しています。

年度 飼養数(頭) 増減率
2023年 301
-0.33% ↓
2022年 302 -
2021年 302 -
2020年 302 -
2019年 302 -
2018年 302 -
2017年 302 -
2016年 302
-0.33% ↓
2015年 303
-0.66% ↓
2014年 305 -
2013年 305 -
2012年 305 -
2011年 305 -
2010年 305 -
2009年 305 -
2008年 305 -
2007年 305
1.67% ↑
2006年 300 -
2005年 300 -
2004年 300
-1.96% ↓
2003年 306 -
2002年 306
-0.33% ↓
2001年 307 -
2000年 307 -
1999年 307 -
1998年 307
-0.32% ↓
1997年 308
-0.32% ↓
1996年 309 -
1995年 309
3% ↑
1994年 300 -
1993年 300
20% ↑
1992年 250
-30.56% ↓
1991年 360 -
1990年 360
1.41% ↑
1989年 355 -
1988年 355
-4.05% ↓
1987年 370
-7.04% ↓
1986年 398
-60.2% ↓
1985年 1,000
-50% ↓
1984年 2,000
-39.39% ↓
1983年 3,300
-25% ↓
1982年 4,400
-20% ↓
1981年 5,500
-15.38% ↓
1980年 6,500
-13.33% ↓
1979年 7,500
-11.76% ↓
1978年 8,500 -
1977年 8,500
0.07% ↑
1976年 8,494
324.7% ↑
1975年 2,000
17.65% ↑
1974年 1,700 -
1973年 1,700 -
1972年 1,700
10.46% ↑
1971年 1,539 -
1970年 1,539
-2.59% ↓
1969年 1,580
-1.25% ↓
1968年 1,600
-3.03% ↓
1967年 1,650
-2.94% ↓
1966年 1,700
-1.73% ↓
1965年 1,730
-2.26% ↓
1964年 1,770
-1.67% ↓
1963年 1,800
-1.64% ↓
1962年 1,830
-1.82% ↓
1961年 1,864 -

クック諸島の馬飼養数推移データは約60年にわたる興味深い動向を示しています。1961年には1,864頭で開始された飼養数は、1976年に突如として8,500頭まで急増を記録しました。このような一時的な増加には、農業や運搬業といった伝統的な労働手段で馬が広く利用されていたことが背景にあったと考えられます。しかし、このピークの後には急激な減少が続き、1985年には1,000頭を下回りました。

減少の背景には、クック諸島での産業構造の変化が関連している可能性があります。特に、交通インフラの発展や機械化の進展により、馬の必要性が低下したことが主な要因と考えられます。また、都市化の進行に伴い農耕地の縮小や、利用可能な牧草地の減少も寄与したと予測されます。その後、1990年代中頃からは約300頭前後で推移しており、この数値が現在も維持されています。

1976年以降の急激な減少において着目すべき点として、地政学的な影響や国際的な輸送環境の変化が挙げられます。また、気候変動などによる自然災害が牧畜に与える影響も無視できません。クック諸島のような小規模な島嶼国家では、干ばつや台風などの気候リスクが馬の飼育環境に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

現在の飼養数が安定している背景には、馬の役割が純粋に伝統的な側面や観光業向けの利用に限定されている状況が考えられます。このような小規模な飼育は環境負荷を低減させる一方、生態系や文化的景観の維持という点でも重要な役割を果たしています。ただし、これが持続可能な形で維持されるためには、地域の社会経済的環境や環境保護政策に基づいた長期的な計画が必要です。

さらに、未来を見据えて、クック諸島の馬飼育における潜在的な課題として、新型コロナウイルスのパンデミックのような世界的な危機が観光業に打撃を与える場合、飼料の輸入や飼育に係るコストが継続可能性を脅かす可能性があります。そのため、地域内で生産可能な自給型飼料システムの整備が望まれます。また、飼養数の維持のために地元住民の知識や技術を活用し、観光資源としての馬の魅力を高める取り組みも重要です。

以上の動向を踏まえると、クック諸島における馬飼養数の推移は農牧業の進化や交通技術の発展、そして地域の社会経済的条件と深く結びついており、将来的には気候変動に対応した持続可能な飼育体制の構築が鍵となると考えられます。国際機関との協力を強化し、気候変動や災害リスクに対する地域の適応力を高めつつ、馬の文化的利用や観光資源としての可能性を引き出すことが、クック諸島の持続可能な発展に寄与するといえるでしょう。