国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ガンビアの馬飼養数は長期間にわたり上昇と下降を繰り返しながら推移しています。1961年の1,000頭から始まり、1980年代半ばまで安定した増加傾向を示しましたが、その後の数十年にかけて大きな変動が見られました。2008年に最高値の41,000頭を記録しましたが、その後の数年間で急激に減少し、2013年には4,515頭まで大幅に減少しました。2020年以降、再び23,961頭と持ち直しています。このような馬飼養数の変化には、農業利用、経済状況、疫病、環境変化など複数の要因が関与していると考えられます。
ガンビアの馬飼養数推移(1961-2022)
年度 | 飼養数(頭) |
---|---|
2022年 | 23,961 |
2021年 | 23,635 |
2020年 | 23,913 |
2019年 | 21,040 |
2018年 | 18,052 |
2017年 | 14,794 |
2016年 | 9,897 |
2015年 | 5,908 |
2014年 | 4,593 |
2013年 | 4,515 |
2012年 | 18,504 |
2011年 | 28,000 |
2010年 | 38,000 |
2009年 | 37,000 |
2008年 | 41,000 |
2007年 | 37,000 |
2006年 | 32,000 |
2005年 | 27,000 |
2004年 | 22,000 |
2003年 | 17,000 |
2002年 | 17,000 |
2001年 | 17,000 |
2000年 | 17,000 |
1999年 | 21,915 |
1998年 | 16,696 |
1997年 | 16,422 |
1996年 | 12,838 |
1995年 | 17,284 |
1994年 | 17,556 |
1993年 | 16,762 |
1992年 | 15,684 |
1991年 | 16,184 |
1990年 | 15,559 |
1989年 | 17,575 |
1988年 | 17,407 |
1987年 | 17,000 |
1986年 | 16,000 |
1985年 | 15,000 |
1984年 | 14,500 |
1983年 | 14,000 |
1982年 | 13,500 |
1981年 | 13,000 |
1980年 | 12,500 |
1979年 | 12,000 |
1978年 | 11,500 |
1977年 | 11,000 |
1976年 | 10,500 |
1975年 | 10,000 |
1974年 | 9,500 |
1973年 | 9,000 |
1972年 | 8,500 |
1971年 | 8,000 |
1970年 | 7,500 |
1969年 | 7,000 |
1968年 | 6,500 |
1967年 | 6,000 |
1966年 | 5,500 |
1965年 | 5,000 |
1964年 | 4,000 |
1963年 | 3,000 |
1962年 | 2,000 |
1961年 | 1,000 |
ガンビアの馬飼養数推移を分析すると、いくつかの特徴的な増減のパターンが浮き彫りになります。1961年から1985年までの間、ガンビアの馬飼養数は主に農業や輸送手段としての需要に支えられ、著しい増加を示しました。この時期には年間平均500~1,000頭ほどの増加が見られ、1975年には10,000頭、1985年には15,000頭を超えるまでに成長しています。この傾向は、ガンビアの農牧業が国内経済や地域社会にとって不可欠な役割を果たしていたことを反映しているといえます。しかし1990年代以降、特に1996年に12,838頭まで急減した出来事から、より複雑な経済的・社会的要因が馬の飼養数に影響を及ぼしていた可能性が考えられます。内戦や干ばつなどの外部リスク要因が畜産業全体の不安定さを引き起こした可能性も否定できません。
2000年代には新たな上昇傾向が見られ、特に2004年から2008年にかけて劇的な増加が観測されました。この間の急増は、ガンビア国内での農産物需要の増加や地域での馬の取引が活性化した結果である可能性があります。しかし、2008年の41,000頭というピークの後、2011年には28,000頭、2013年にはわずか4,515頭にまで急激に減少しました。この時期に一致する地政学的リスクや地域衝突、あるいは疫病の流行といった要因が馬の飼養に甚大な影響を与えた可能性が高いと推測されます。
特に2013年の底値は、ガンビアの馬飼養業の危機的状況を示しており、短期的には経済的損失、長期的には地域社会への影響を引き起こしていたと考えられます。しかしその後、2016年以降は明確な回復が見られ、2020年には23,913頭、2022年には23,961頭と持ち直しています。これはガンビア政府や国際機関による農業・畜産支援策が効果を上げた可能性を示しており、持続可能な畜産モデルの構築に向けた努力が実り始めた結果ともいえます。
今後の課題としては、過去数十年間に見られた急激な増減を繰り返さないために、計画的な畜産管理と持続可能な牧草地の利用が重要です。例えば、農業の機械化が進む一方で、馬がいまだに中小農家にとって無視できない資源である現状を考慮し、家畜の飼料供給や獣医ケアの普及を進める必要があります。また、気候変動の影響による牧草地の減少が今後も馬の飼養数に影響を与える可能性があることから、適切な気候変動対策への投資も欠かせません。さらに、地域間協力を強化し、疫病発生時の迅速な対応や馬の健康管理情報の共有を図ることが、長期的な安定に寄与するでしょう。
ガンビアの馬飼養数は単なる統計データではなく、農業経済や地方社会のダイナミズムを反映した指標でもあります。このデータを活かし、適切な政策決定が行われることで、今後の畜産業における持続可能性が強化され、ガンビア農村部の生活基盤安定にも繋がることが期待されています。