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ポーランドの馬飼養数推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が2024年7月に発表した最新のデータによると、ポーランドの馬飼養数は1961年の2,730,000頭をピークに減少を続け、2022年には156,519頭にまで減少しています。1960年代には年間約2,500,000頭を超えていた飼養数が、1990年代から急激に減少し始め、2020年代ではさらに低下が顕著になっています。この変化は、農業技術の進展や社会経済の変化など、さまざまな要因によるものと考えられます。

年度 飼養数(頭) 増減率
2023年 156,519 -
2022年 156,519 -
2021年 156,519
-15.62% ↓
2020年 185,494 -
2019年 185,494 -
2018年 185,494 -
2017年 185,494 -
2016年 185,494
-10.42% ↓
2015年 207,065 -
2014年 207,065 -
2013年 207,065
-6.82% ↓
2012年 222,210
-12.67% ↓
2011年 254,439
-0.88% ↓
2010年 256,693
-13.84% ↓
2009年 297,940
-8.41% ↓
2008年 325,304
-1.17% ↓
2007年 329,164
7.22% ↑
2006年 306,992
-1.65% ↓
2005年 312,139
-2.75% ↓
2004年 320,952
-3.65% ↓
2003年 333,108
1.08% ↑
2002年 329,533
-39.62% ↓
2001年 545,720
-0.73% ↓
2000年 549,707
-0.23% ↓
1999年 551,000
-1.78% ↓
1998年 561,000
0.54% ↑
1997年 558,000
-1.93% ↓
1996年 569,000
-10.53% ↓
1995年 636,000
2.25% ↑
1994年 622,000
-26.06% ↓
1993年 841,267
-6.48% ↓
1992年 899,521
-4.19% ↓
1991年 938,894
-0.24% ↓
1990年 941,157
-3.25% ↓
1989年 972,749
-7.44% ↓
1988年 1,050,972
-7.88% ↓
1987年 1,140,886
-10.33% ↓
1986年 1,272,256
-9.35% ↓
1985年 1,403,556
-8.69% ↓
1984年 1,537,198
-3.93% ↓
1983年 1,600,017
-7.71% ↓
1982年 1,733,643
0.44% ↑
1981年 1,726,119
-3.02% ↓
1980年 1,779,884
-4.12% ↓
1979年 1,856,350
-1.81% ↓
1978年 1,890,511
-8.31% ↓
1977年 2,061,956
-4.15% ↓
1976年 2,151,206
-3.84% ↓
1975年 2,237,177
-3.23% ↓
1974年 2,311,900
-2.58% ↓
1973年 2,373,100
-2.02% ↓
1972年 2,422,000
-3.17% ↓
1971年 2,501,300
-3.25% ↓
1970年 2,585,200
-1.83% ↓
1969年 2,633,300
-1.47% ↓
1968年 2,672,600
1.13% ↑
1967年 2,642,800
2.05% ↑
1966年 2,589,700
1.38% ↑
1965年 2,554,400
-1.49% ↓
1964年 2,593,000
-1.03% ↓
1963年 2,620,000
-1.39% ↓
1962年 2,657,000
-2.67% ↓
1961年 2,730,000 -

ポーランドにおける馬の飼養数の推移を見ると、1960年代には約2,700,000頭で安定していたものが、1990年代以降急激に減少していることが明らかです。この減少の背景にはいくつかの重要な要因が存在します。まず、近代化された農業機械の普及によって、農業用の労働力としての馬の需要が大幅に縮小しました。ポーランドはかつて農業国として、馬を耕作や輸送などに広く活用していましたが、トラクターやトラックといった機械化が進むことで必然的にその役割が低下していきました。

また、社会経済の変化も減少の一因です。ポーランドは1989年の共産主義体制の崩壊後、市場経済へ移行し農業構造を大きく変容させました。この過程で、小規模農家は競争力を失い廃業が増加し、それに伴い馬の飼養が激減しました。さらに、都市化や人口の都市部集中によるライフスタイルの変化も馬の役割に影響を与えています。馬車や馬を伴う生活は次第に減り、代わって自動車やその他の交通手段が主流となりました。

2010年代から2020年代にかけて、ポーランドにおける馬の役割はスポーツや娯楽、観光といった分野へシフトしていますが、それでも全体の飼養数の減少傾向を止めるまでには至りません。また、2021年以降は飼養数が150,000頭台に落ち込んでおり、これは過去60年以上で最も低い水準です。コロナ禍による経済的な不安定さも、この減少に一定の影響を与えた可能性があります。

しかし、この低下傾向は必ずしもポーランド独特の現象ではありません。日本でも1950年代まで農耕馬を中心に馬の需要が高かったものの、機械化による役割変容から飼養数が急激に減少しています。同様にアメリカ、イギリス、フランスといった国々でも産業革命以降、農業の変化に伴う馬の飼養数の減少傾向が観察されています。

地域ごとの課題としては、ポーランドでも特定の地方で訪問や観光用の馬車観光が現在も続いているものの、この伝統的文化を今後どう保存していくかが重要な問題です。また、飼養環境や馬の福祉(アニマルウェルフェア)への配慮は特に注目されるべきです。馬車として利用される場合でも、労働環境や健康管理が欠かせません。

結論として、今後ポーランド政府や地方自治体には、次のような具体的な対策が求められます。伝統的な馬文化を保存するために、適切な支援金や奨励策を提供し、地域経済と観光との連携を強化する必要があります。また、スポーツや娯楽目的の馬産業の成長を支援し、馬の健康や福祉基準を向上させる具体的な政策が必要です。これに加え、地域間の協力を通して歴史的な文化を共有し、その価値を広く発信していくことも、未来に向けた一歩となるでしょう。