国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年に更新した最新データによると、1961年から2022年にかけてトンガ国内の馬の飼養数は大きな増減を経て現在は安定した水準に落ち着いています。1961年の6,861頭から1978年にかけて増加傾向が見られ、1981年には最高値の12,500頭を記録しました。その後、一時的な大幅な減少を経て、1990年代以降は11,000頭を超える安定した飼養数を維持しています。近年では、2022年時点で11,814頭が飼養されています。
トンガの馬飼養数推移(1961-2022)
年度 | 飼養数(頭) |
---|---|
2022年 | 11,814 |
2021年 | 11,778 |
2020年 | 11,741 |
2019年 | 11,840 |
2018年 | 11,839 |
2017年 | 11,816 |
2016年 | 11,600 |
2015年 | 11,327 |
2014年 | 11,000 |
2013年 | 11,000 |
2012年 | 11,500 |
2011年 | 11,500 |
2010年 | 11,500 |
2009年 | 11,500 |
2008年 | 11,500 |
2007年 | 11,500 |
2006年 | 11,400 |
2005年 | 11,400 |
2004年 | 11,400 |
2003年 | 11,400 |
2002年 | 11,400 |
2001年 | 11,400 |
2000年 | 11,400 |
1999年 | 11,400 |
1998年 | 11,400 |
1997年 | 11,400 |
1996年 | 11,400 |
1995年 | 11,400 |
1994年 | 11,400 |
1993年 | 11,400 |
1992年 | 11,600 |
1991年 | 6,000 |
1990年 | 6,000 |
1989年 | 11,484 |
1988年 | 11,000 |
1987年 | 11,000 |
1986年 | 11,000 |
1985年 | 10,555 |
1984年 | 8,700 |
1983年 | 8,670 |
1982年 | 11,480 |
1981年 | 12,500 |
1980年 | 11,000 |
1979年 | 10,785 |
1978年 | 10,344 |
1977年 | 8,556 |
1976年 | 8,629 |
1975年 | 8,121 |
1974年 | 7,098 |
1973年 | 7,000 |
1972年 | 5,821 |
1971年 | 6,966 |
1970年 | 7,323 |
1969年 | 8,216 |
1968年 | 8,035 |
1967年 | 7,711 |
1966年 | 7,458 |
1965年 | 6,900 |
1964年 | 7,030 |
1963年 | 7,360 |
1962年 | 7,339 |
1961年 | 6,861 |
トンガにおける馬の飼養数推移データは、農業と交通、さらには文化的背景に密接に関係しています。トンガは南太平洋に位置する島国で、馬は歴史的に農業作業や移動手段として重要な役割を果たしてきました。ただし、馬の飼養数は単にその機能的利用だけでなく、地域経済や人口動態、土地利用の変化の影響を受けています。
データを見ると、1961年から1981年までの期間は馬の飼養数が一貫して増加しています。この増加要因としては、トンガにおける農業の拡大や伝統的な生活を支えるための家畜の重要性が挙げられます。しかし1982年以降、急激な減少が見られます。この時期の減少は、トンガの経済構造や社会の移行、さらには近代的な交通手段の普及が馬の需要を減少させたことが原因と考えられます。
1990年には特に大幅な減少が記録されていますが、この背景には自然災害や外部要因による農業生産への影響があった可能性があります。トンガは地政学的に太平洋上のサイクロンの影響を強く受ける地域であり、その影響が馬を飼養する農業環境の変化をもたらしたと推測されます。この減少は短期間のもので、その後再び安定した水準に戻っています。
長期的に見ると、1992年以降のデータでは、飼養数は11,000頭前後で安定しています。この均衡状態は、トンガにおける馬の利用が近代化の流れの中で「適正規模」に収束したことを示していると考えられます。たとえば、より効率的な農業技術の導入やモータリゼーションの進展により馬が特定の役割に限定され、同時に文化的な維持目的で一定数が保たれている可能性があります。
今後の課題としては、持続可能な形で馬を飼養し続けるための資源や環境の管理が挙げられます。過放牧や土地の劣化は、飼養頭数維持に悪影響を及ぼす要因となり得ます。また、気候変動が牧草地の減少や極端な天候に影響を与える可能性もあります。これらの課題に対処するためには、トンガ政府や地域共同体が持続可能な農業と家畜管理のための明確な戦略を導入する必要があります。
提言として、まず飼養環境改善のための技術支援やトレーニングプログラムを導入することが考えられます。また、地元の伝統と結びつけた観光産業と馬の利用を連携させることで、経済価値を創出しながら文化的価値を継続的に維持することも有効でしょう。さらに、気候リスクに備えた飼料や水資源の管理体制を強化することが重要となります。
結論として、トンガにおける馬の飼養は現在、安定した状態を保っているものの、環境変化や気候リスクに対応した管理が今後の持続可能性において不可欠です。地域の伝統や経済活動に基づいた包括的な政策を進めることで、馬の飼養数を維持しつつ社会的・経済的利益を増大させることが期待されます。