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パラグアイの馬飼養数推移(1961-2022)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、パラグアイにおける馬の飼養数は1961年の342,295頭から、2022年には220,058頭へと長期的に減少傾向にあります。特に2007年の350,000頭から2008年の283,804頭へ急減して以降、200,000頭台前半で推移していることが特徴として挙げられます。この推移には、国内の農業構造や輸送手段の変化、さらに地域経済や気候要因が関与していると考えられます。

年度 飼養数(頭)
2022年 220,058
2021年 220,083
2020年 228,438
2019年 219,108
2018年 221,096
2017年 238,879
2016年 275,371
2015年 275,922
2014年 276,825
2013年 277,848
2012年 278,848
2011年 280,245
2010年 281,621
2009年 283,119
2008年 283,804
2007年 350,000
2006年 305,000
2005年 315,600
2004年 326,200
2003年 336,800
2002年 347,400
2001年 357,985
2000年 359,800
1999年 361,500
1998年 363,300
1997年 365,100
1996年 366,800
1995年 368,600
1994年 370,387
1993年 338,818
1992年 327,300
1991年 319,900
1990年 334,600
1989年 334,100
1988年 328,334
1987年 322,800
1986年 317,370
1985年 314,290
1984年 313,118
1983年 312,689
1982年 311,385
1981年 310,583
1980年 310,000
1979年 328,800
1978年 327,500
1977年 325,800
1976年 325,400
1975年 324,700
1974年 325,200
1973年 325,700
1972年 331,000
1971年 315,900
1970年 325,700
1969年 360,000
1968年 420,000
1967年 430,000
1966年 400,000
1965年 380,000
1964年 380,000
1963年 350,000
1962年 329,174
1961年 342,295

パラグアイの馬飼養数の推移を見ると、1960年代から1980年代までは年間の変動が見られるものの、全体として30万頭台の範囲内で安定していました。特に1966年から1968年にかけては400,000頭を超え、ピーク時の1967年には430,000頭に達しました。この背景には農業や牧畜業での馬の有用性が大きかったことが挙げられます。しかし、その後は徐々に減少し、2000年以降には30万頭を割り込み、2022年時点では220,058頭と、50年以上前と比較して約35%減少しています。

特に注目すべきは、2007年から2008年の間で約65,000頭減少したという急激な変動です。この時期の減少は、牛肉や穀物を中心とする輸出志向農業により土地利用が変化したことや、気候変動や干ばつなどの自然要因、さらには経済的困難や市場の縮小が一因とされています。パラグアイではかつて農村部の重要な労働力であった馬が、近年では機械化や物流の近代化によりその役割を減少させています。

また、都市化の進展と農村部での生活環境の変化も、馬の飼養数減少に拍車をかけています。馬が運搬や移動手段としての役割を失いつつある一方、観光目的やスポーツ利用として維持される事例は限定的であり、需要の低迷が顕著です。この状況は、世界的な傾向にも共通する部分があります。たとえば、日本でも馬の飼養は競馬や畜産用途に限定され、ほかのアジア諸国、特にインドや中国では機械化の進展によって伝統的な動物利用が減少しています。

しかしながら、地域独自の文化や歴史的側面に基づく馬の重要性を考えると、減少傾向は単に経済的効率の観点から決定されるべきではありません。例えば、パラグアイにおける伝統的なガウチョ文化では馬が象徴的な存在でもあり、関連産業の振興は観光業や地域アイデンティティの向上につながる可能性があります。

さらに、気候変動の文脈においては、干ばつや異常気象が飼料不足を引き起こし、馬の飼養に大きな影響を与えています。これは南米全体で観察される現象で、アルゼンチンやブラジルでも同様の課題が挙げられています。今後、このような影響を緩和するためには、持続可能な農村開発と馬の飼養に適した人工牧草地の整備、気候対応型の家畜管理手法の開発が必要です。

短期的には、農村部への支援や教育プログラムを通じて馬の価値を再確認し、飼養者に直接的な経済支援を行うなど、政策レベルでの支援が求められます。また、馬が観光資源として再活用されることで、国内経済に貢献する可能性も模索できます。人々が馬と触れ合う経験を提供する観光地の充実や、地域特有の伝統文化を広く発信する国際的な取り組みが重要です。

結論として、パラグアイにおける馬飼養数の減少は、経済的・社会的・環境的要因が複雑に絡み合った結果と考えられます。減少を完全に止めることは困難であっても、伝統文化の保護や気候変動への適応策を通じ、馬と人の関係を将来的に持続可能な形で構築していく余地があります。さらに、国際協力や技術交流を通じて、他国と連携しながら課題解決に取り組むことが不可欠です。