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アゼルバイジャンの馬飼養数推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、アゼルバイジャンの馬飼養数は1992年の34,600頭から2003年に67,686頭に急増した後、2022年までに56,576頭に減少しています。このデータは、馬の飼養数が増加から減少へと転じた大きな流れを示しています。同国の農業経済や社会的要因、地政学的状況が馬の飼養数に影響を及ぼしていることが読み取れます。

年度 飼養数(頭)
2022年 56,576
2021年 58,396
2020年 60,405
2019年 62,726
2018年 65,211
2017年 68,520
2016年 71,606
2015年 73,741
2014年 75,428
2013年 76,552
2012年 77,208
2011年 77,157
2010年 76,455
2009年 73,494
2008年 71,892
2007年 69,922
2006年 69,984
2005年 69,353
2004年 70,994
2003年 67,686
2002年 65,600
2001年 63,700
2000年 60,800
1999年 55,800
1998年 53,000
1997年 48,600
1996年 43,100
1995年 37,900
1994年 34,800
1993年 34,800
1992年 34,600

アゼルバイジャンの馬飼養数の推移を見ると、1990年代前半から2000年代初頭にかけては一貫して増加する傾向が見られます。この増加は、ソビエト連邦が崩壊しアゼルバイジャンが独立した1991年以降、国の農村部が再編成され、馬が農業や交通手段として重要な役割を果たしたことが背景にあると考えられます。1992年の34,600頭から2003年の67,686頭までほぼ倍増しており、これは農業復興や地方経済の活性化と結びついています。

一方、2004年以降のデータでは、馬飼養数は基本的に横ばいか減少傾向を示しています。2004年から2009年の間は70,000頭台を維持していますが、2010年以降は減少が加速し、2022年には56,576頭となっています。この減少にはいくつかの要因が考えられます。まず、農業技術の近代化により馬を労働力として使用する需要が低下した可能性があります。近隣諸国と比較しても、機械化が進んだ国々では似たような傾向が確認されています。また、都市化の進展により農村部の人口が減少し、馬の飼養が困難になったことも影響を及ぼしていると考えられます。

さらに、地政学的な影響も無視できません。ナゴルノ・カラバフ紛争を含む同国の不安定な状況は、農業を含む経済活動全般に負の影響を及ぼしたと考えられます。特に、馬は農業だけでなく、文化的・社会的シンボルとしても重要ですが、地域衝突や経済的困難はその維持を難しくしています。また、気候変動の影響で牧草地の条件が変化し、飼料供給が難しくなった可能性も考慮すべきです。

このような状況下で、今後のアゼルバイジャンの課題は、馬飼養の文化的・経済的な価値を再評価し、持続可能な形で継続させる方策を見出すことです。そのためには、農村部でのインフラ整備や支援体制の強化が重要です。例えば、馬の飼育者向けの補助金制度の創設や、家畜の健康管理に関する研修プログラムの提供が具体的対策として挙げられます。

また、観光業や馬術競技など新しい分野で馬の価値を見いだすことも有望です。近隣のグルジアでは、馬術観光が一部地域で経済的な成功を収めています。このような成功例を参考にした取り組みが同国でも可能です。さらに、地域間での協力体制を構築することで、牧草地管理や飼料供給における課題を乗り越える動きが求められます。

結論として、アゼルバイジャンの馬飼養数は増加から減少へとシフトしていますが、農業機械化や都市化、地政学的要因といった複合的な要素がその背景にあります。同国が今後も馬の飼育を文化的・経済的に活用するためには、持続可能な管理方法の導入や、新たな価値創出を目指した政策が必要です。政府や国際機関が連携し、包括的な支援策を講じることが期待されます。