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エチオピアの馬飼養数推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年最新データによると、エチオピアの馬飼養数は、1993年の約115万頭から2022年の約217万頭へと増加しました。この29年間で約88%の増加を記録しています。特に2000年代以降、飼養数は顕著に増加しましたが、一部の期間に減少も見られました。エチオピアはアフリカ全体の馬の飼養において主要な役割を果たしており、農業・運搬・観光といった多様な分野で馬が重要な資源となっています。

年度 飼養数(頭)
2022年 2,169,657
2021年 2,138,928
2020年 2,148,492
2019年 2,111,134
2018年 1,930,808
2017年 2,007,829
2016年 2,158,176
2015年 2,082,203
2014年 2,033,115
2013年 1,963,010
2012年 1,907,047
2011年 1,961,949
2010年 2,028,233
2009年 1,995,306
2008年 1,786,000
2007年 1,762,898
2006年 1,655,383
2005年 1,569,350
2004年 1,517,585
2003年 1,500,000
2002年 1,483,440
2001年 1,253,950
2000年 1,144,290
1999年 1,206,730
1998年 1,230,730
1997年 1,220,000
1996年 1,200,000
1995年 1,150,000
1994年 1,150,000
1993年 1,150,000

エチオピアにおける馬の飼養数データを見ると、この国の馬飼養には一定の歴史的・地理的背景と経済的要因が影響していることがわかります。1993年から1995年にかけて飼養数は約115万頭で安定していましたが、その後2000年代にかけて増加しました。特に2006年から2009年にかけての急増(約165万頭から約199万頭への増加)は注目されます。この要因として、農業生産の拡大や地方運搬手段としての馬の需要増加が挙げられます。一方、2009年から2012年にかけて飼養数が減少し、2011年には約196万頭まで下がっています。この減少は、当時の干ばつや農業における機械化の影響で馬の利用が一時的に低迷した可能性があります。

エチオピアの馬は、農村部での農耕作業や物資の輸送において欠かせない存在であり、地理的制約が大きいエチオピアの農村地域では、トラクターや車両の入れない場所でも活動できる馬の有用性が際立っています。また、最近では都市部や観光地において馬車や乗馬活動の需要も増え、一部の地域では観光収入の源にもなっています。一方、2020年代においては飼養数が一貫して増加傾向にあり、2022年には約217万頭に達しました。この持続的な増加は、エチオピアの農業成長や人口増加と地方経済の発展を反映していると言えるでしょう。

しかし課題も少なくありません。まず、干ばつや洪水といった自然災害が馬の飼養に与える影響は依然として大きく、気候変動に対応した飼育管理が重要です。また、飼養数の増加に伴う飼料資源の不足や、家畜の健康管理(感染症予防)が必要となっています。例えば、アフリカの他国では馬の感染症や寄生虫の蔓延が生産性の低下につながることが報告されており、エチオピアでも同様のリスクに備える必要があります。

さらに地政学的背景も無視できません。エチオピア国内では農村地域におけるインフラの未整備や紛争が課題となっており、これらの背景が馬の移動や取引に影響を与えています。この点で、政府や国際機関の協力による農村インフラ整備や紛争調停が、地域経済全体の安定化と合わせて馬飼養の推進にも寄与するでしょう。

将来的な対策としては、まず馬の役割を多面的に把握し、農業・観光などの各分野での利用を最適化することが考えられます。また、飼料や水資源の不足を補うために、国または国際的な支援による持続可能な農業技術の普及が必要です。例えば、地域ベースでの馬飼養の効率化を進める取り組みとして、小規模農家向けの技術支援や研修セミナーを開催することが効果的でしょう。また、感染症リスクを軽減するためには、検疫所の拡充やワクチン接種の普及が求められます。

結論として、エチオピアの馬飼養数は過去数十年で増加し、それにより地域経済に貢献しています。しかし、災害や感染症、地政学的リスクという課題を解決しなければ、この成長は持続困難となります。適切な政策のもと、国内外の協力を通じてインフラや管理体制を強化することが、馬飼養とその関連産業の発展にとって重要です。