国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、トリニダード・トバゴの馬飼養数は長期間にわたり安定的に推移してきました。1961年から2001年まではほぼ1,000頭で推移していましたが、2002年以降増加傾向が見られ、2022年には1,403頭となりました。この伸び率は穏やかなものの、2000年代における経済成長やレクリエーション文化の変化に関連している可能性があります。ただ、2020年以降、新型コロナウイルス感染症の流行や世界経済の停滞の影響もあり、頭数の伸びはほぼ止まっています。
トリニダード・トバゴの馬飼養数推移(1961年~2023年)
| 年度 | 飼養数(頭) | 増減率 |
|---|---|---|
| 2023年 | 1,399 |
-0.29% ↓
|
| 2022年 | 1,403 | - |
| 2021年 | 1,403 | - |
| 2020年 | 1,403 |
-0.14% ↓
|
| 2019年 | 1,405 | - |
| 2018年 | 1,405 |
0.14% ↑
|
| 2017年 | 1,403 |
0.07% ↑
|
| 2016年 | 1,402 |
0.07% ↑
|
| 2015年 | 1,401 |
0.07% ↑
|
| 2014年 | 1,400 | - |
| 2013年 | 1,400 | - |
| 2012年 | 1,400 | - |
| 2011年 | 1,400 | - |
| 2010年 | 1,400 | - |
| 2009年 | 1,400 |
3.7% ↑
|
| 2008年 | 1,350 |
3.85% ↑
|
| 2007年 | 1,300 |
1.56% ↑
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| 2006年 | 1,280 | - |
| 2005年 | 1,280 |
6.67% ↑
|
| 2004年 | 1,200 |
4.35% ↑
|
| 2003年 | 1,150 |
4.55% ↑
|
| 2002年 | 1,100 |
10% ↑
|
| 2001年 | 1,000 | - |
| 2000年 | 1,000 | - |
| 1999年 | 1,000 | - |
| 1998年 | 1,000 | - |
| 1997年 | 1,000 | - |
| 1996年 | 1,000 | - |
| 1995年 | 1,000 | - |
| 1994年 | 1,000 | - |
| 1993年 | 1,000 | - |
| 1992年 | 1,000 | - |
| 1991年 | 1,000 | - |
| 1990年 | 1,000 | - |
| 1989年 | 1,000 | - |
| 1988年 | 1,000 | - |
| 1987年 | 1,000 | - |
| 1986年 | 1,000 | - |
| 1985年 | 1,000 | - |
| 1984年 | 1,000 | - |
| 1983年 | 1,000 | - |
| 1982年 | 1,000 | - |
| 1981年 | 1,000 | - |
| 1980年 | 1,000 | - |
| 1979年 | 1,000 | - |
| 1978年 | 1,000 | - |
| 1977年 | 1,000 | - |
| 1976年 | 1,000 | - |
| 1975年 | 1,000 | - |
| 1974年 | 1,000 | - |
| 1973年 | 1,000 | - |
| 1972年 | 1,000 | - |
| 1971年 | 1,000 | - |
| 1970年 | 1,000 | - |
| 1969年 | 1,000 | - |
| 1968年 | 1,000 | - |
| 1967年 | 1,000 | - |
| 1966年 | 1,000 | - |
| 1965年 | 1,000 | - |
| 1964年 | 1,000 | - |
| 1963年 | 1,000 | - |
| 1962年 | 1,000 | - |
| 1961年 | 1,000 | - |
トリニダード・トバゴの馬飼養数に関する最新データを分析すると、特徴的な長期的安定性が見られます。1961年から2001年まで、40年間にわたりほぼ一定の1,000頭で推移しています。農牧用の馬飼養が限定的で、さらに島国という地理的条件も相まって競馬をはじめとする特定の分野での利用が中心であったことが、この安定性に影響していると考えられます。この40年間の数値の背後にある背景としては、国の主な産業がエネルギー関連(特に石油と天然ガス)であることが挙げられ、農牧業が占める比率が低かったため、馬飼養の必要性が大きく変化しなかった点が寄与していると判断されます。
2002年頃から飼養数が少しずつ増加を見せています。この増加は主に競馬やレジャー活動の拡大、ないし富裕層の余暇文化の形成に関連している可能性があります。特に、2000年代中盤には1,280頭から1,350頭へ緩やかに増加しており、この時期の経済成長と関連付けることができます。一方で、増加率が非常に小さいことから、普及拡大のスピードは限定的であるといえます。また、馬の飼養には高額な費用を要する上で、国全体の規模や文化的要素が馬の需要に影響を与えているでしょう。
2019年以降、世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大が経済へ悪影響を及ぼした時期についても触れる必要があります。トリニダード・トバゴでも例外ではなく、新型コロナの影響を受けた各分野で活動が制約され、競馬の開催数の減少やレジャー関連支出の縮小が発生した可能性があります。これが飼養数の伸びを停滞させた要因の一つと考えられます。2020年から2022年にかけて飼養数は1,403頭で一定となっており、この停滞が今後持続するか注視が必要です。
今後に向けた課題としては、馬飼養が経済や文化活動にどのような付加価値を与えるのかを再評価する必要があります。競馬の振興や観光産業との連携、さらにはグリーンエコノミーへの移行過程において馬文化を活用する方法の検討も一案です。また、レジャーとしての関心の維持だけでなく、馬の飼養と健康管理の基盤を強化し、感染症対策や気候変動への適応を進めることも重要です。
具体的対策として、政府や民間が連携して馬文化振興策を打ち出すことが挙げられます。例えば、競馬場や観光施設の整備を促進し、馬を通じた経済活動を支える環境を整えることが効果的です。また、地域の議論を通じて、馬と関わる環境管理政策や持続可能な飼養基盤の確立も考えられます。さらに、若い世代に馬関連の職業教育の場を提供するなど、次世代への投資を行うことも重要です。
最後に、統計データを継続的に収集し、馬飼養や関連産業の動向を分析しながら、常に現状を把握する取り組みが求められます。トリニダード・トバゴのような島国では資源の限界が課題となりやすいため、効率的かつ持続可能な形で馬文化の発展を目指していく必要があります。このような視点を持つことで、馬飼養数の適正な推進が可能となり、地域コミュニティや経済へも貢献できるでしょう。