国際連合食糧農業機関(Food and Agriculture Organization)が発表した最新データによると、タイにおける馬飼養数は1961年には約179,346頭が記録され、以降急激な減少傾向を示しました。一方で、2004年の最低値である約3,148頭を経て、2022年には約8,194頭まで回復傾向にあります。このデータは、タイの農業、経済、文化の変化、さらには多様な外部要因が影響を与えてきたことを示唆しています。
タイの馬飼養数推移(1961-2022)
年度 | 飼養数(頭) |
---|---|
2022年 | 8,194 |
2021年 | 7,910 |
2020年 | 7,657 |
2019年 | 7,202 |
2018年 | 6,777 |
2017年 | 6,500 |
2016年 | 6,250 |
2015年 | 6,046 |
2014年 | 6,353 |
2013年 | 5,191 |
2012年 | 7,565 |
2011年 | 6,503 |
2010年 | 5,525 |
2009年 | 5,443 |
2008年 | 3,779 |
2007年 | 5,629 |
2006年 | 2,327 |
2005年 | 5,575 |
2004年 | 3,148 |
2003年 | 7,137 |
2002年 | 8,103 |
2001年 | 8,039 |
2000年 | 8,596 |
1999年 | 7,350 |
1998年 | 11,322 |
1997年 | 14,672 |
1996年 | 12,003 |
1995年 | 16,875 |
1994年 | 14,032 |
1993年 | 18,047 |
1992年 | 18,852 |
1991年 | 20,331 |
1990年 | 19,758 |
1989年 | 18,097 |
1988年 | 18,919 |
1987年 | 18,974 |
1986年 | 19,437 |
1985年 | 21,097 |
1984年 | 19,730 |
1983年 | 19,066 |
1982年 | 18,834 |
1981年 | 20,606 |
1980年 | 30,880 |
1979年 | 31,314 |
1978年 | 32,784 |
1977年 | 31,769 |
1976年 | 23,489 |
1975年 | 54,838 |
1974年 | 55,000 |
1973年 | 62,129 |
1972年 | 118,392 |
1971年 | 145,000 |
1970年 | 172,025 |
1969年 | 173,209 |
1968年 | 174,392 |
1967年 | 174,509 |
1966年 | 173,848 |
1965年 | 179,637 |
1964年 | 177,541 |
1963年 | 187,137 |
1962年 | 179,369 |
1961年 | 179,346 |
タイの馬飼養数は、1961年に約179,346頭という高い値で始まりました。しかし、1960年代後半から1970年代後半にかけて急激に減少しています。この低下は、農業における機械化の進展によって馬の労働需要が減少したためと考えられます。また、この時期には他の要因として都市化や工業化の影響もあり、馬の役割が縮小しました。さらに1973年から1976年には劇的な減少が見られ、わずか数年で飼養数が約62,000頭から23,000頭台にまで落ち込んでいます。
1980年代に入ると減少率は緩やかになり、1990年代にはほぼ横ばいの状態を保ちましたが、1994年以降再度減少し、1999年にはわずか約7,350頭という低水準を記録します。2000年代に入ると一時的な回復が見られたものの、再び減少傾向にあり、2004年には約3,148頭という最低値を記録しました。この時期の要因としては、農村部のさらなる機械化や都市化の進行、馬の飼養コストの増加が挙げられます。
しかしながら、2005年以降は馬飼養数が徐々に回復し始め、特に2011年以降は明確な回復傾向が見られます。2022年には約8,194頭に達し、ここ数十年にわたる安定した増加が確認されています。この回復の背景には、観光産業での利用増加や娯楽、スポーツ目的での馬の需要拡大があると考えられます。タイでは伝統的な文化が息づいている地域やエコツーリズムが注目されており、それに伴い馬の需要が高まった可能性があります。
今後の課題として、タイの馬飼養数をさらに持続可能に増やすためにはいくつかの点を考慮する必要があります。まず、飼料資源や適切な施設に対する投資を拡大し、飼育環境を改善することが求められます。さらに、馬を使用した観光事業やスポーツ競技の更なる発展に向けて、マーケティングやプロモーション活動を実施することも重要です。また、伝統的な農業や文化活動で馬が果たせる役割を再評価し、活用を促進するための政策を打ち出すことも一案です。
地政学的リスクについては、近隣諸国との観光競争や経済格差がタイの馬産業にも影響を及ぼす可能性があります。そのため、近隣諸国と連携し、地域観光の強化を図ることで相互利益を生むモデルが構築されることが望まれます。また、新型コロナのような疫病が観光業を直接的に打撃する可能性も忘れてはならず、この点についても緊急時の支援体制や観光資源の多様化が求められています。
結論として、タイにおける馬飼養数には歴史的に大きな増減が見られるものの、近年は回復基調にあります。タイの馬の飼養を安定的かつ持続可能に持続させるためには、政策面での支援や観光・スポーツ分野での活用促進が欠かせません。今後は、国内外の市場動向を見据えつつ、地域経済と文化の両面で馬が果たせる役割を積極的に模索していくことが大切です。