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北マケドニアの馬飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、北マケドニアの馬飼養数は1992年の64,576頭から2022年の10,659頭まで著しく減少しています。この30年間で飼養頭数は約83.5%減少し、特に2000年代以降の減少傾向が顕著です。一方で、2020年からの僅かな回復も確認されています。

年度 飼養数(頭) 増減率
2023年 10,104
-5.21% ↓
2022年 10,659
-4.32% ↓
2021年 11,140
21.7% ↑
2020年 9,154
2.26% ↑
2019年 8,952
-10.85% ↓
2018年 10,041
-44.06% ↓
2017年 17,951
-6.81% ↓
2016年 19,263
2.55% ↑
2015年 18,784
-3.03% ↓
2014年 19,371
-6.34% ↓
2013年 20,682
-4.59% ↓
2012年 21,676
-14.71% ↓
2011年 25,415
-4.66% ↓
2010年 26,658
-9.38% ↓
2009年 29,418
-4.91% ↓
2008年 30,936
-0.42% ↓
2007年 31,066
-23.39% ↓
2006年 40,553
2.27% ↑
2005年 39,651
-1.83% ↓
2004年 40,391
-10.24% ↓
2003年 45,000
-6.25% ↓
2002年 48,000
-9.43% ↓
2001年 53,000
-7.26% ↓
2000年 57,152
-4.5% ↓
1999年 59,847 -
1998年 59,847
-9.14% ↓
1997年 65,869
-0.92% ↓
1996年 66,479
7.69% ↑
1995年 61,733
-0.1% ↓
1994年 61,797
0.08% ↑
1993年 61,748
-4.38% ↓
1992年 64,576 -

北マケドニアの馬飼養数の推移を振り返ると、1992年に記録された64,576頭をピークに、全体的に減少傾向が続いていることが明らかです。1990年代初期の比較的安定した推移に対し、1998年から著しい減少が見られ、2000年時点で57,152頭、2005年には39,651頭と、減少幅が拡大しています。このデータは、馬が果たしていた重要な経済的・社会的役割が急速に変化した可能性を示唆しています。

特に2007年以降、飼養頭数は劇的な減少を示しており、2018年には10,041頭、近年では2022年の10,659頭と記録されています。2020年前後にはわずかな回復が見られたものの、長期的な減少トレンドを覆すには至っていません。この動向には、農業の機械化と都市化の進行、経済構造の変遷が影響を与えていると考えられます。機械化により馬の利用価値が低下するとともに、都市部への人口移動が馬の飼育環境を制約している可能性があります。

また、近年の減少に関しては、馬肉の需要低下や馬に関連する伝統的な活動(祭りや観光など)が減退したこと、さらに気候変動が牧草地や水資源の供給に与える影響なども要因として考えられます。特に2020年以降、新型コロナウイルス感染症の影響で観光や地域行事が縮小し、馬が果たす社会的役割の減少も一因と推測されます。

一方で、2020年以降、一部回復の兆候が見られる点は注目すべきです。この回復は、農業支援政策の変更や馬を活用した観光復興計画、さらには伝統への回帰運動が影響している可能性があります。しかし、この復興は限定的であり、全体的な減少傾向を覆すにはより包括的な取り組みが必要です。

北マケドニアの馬飼養数減少を考える上では、地政学的な背景も無視できません。この地域は過去に民族紛争や経済的混乱の当事者であり、こうした混乱が農村部の生活に打撃を与え、馬の飼養の存続にも影響を与えた可能性があります。さらに、気候変動による干ばつや自然災害が農業全般に与えるリスクも無視できない要因です。

今後、この減少傾向に対処するためには、いくつかの具体的な策を講じる必要があります。第一に、馬に関連する持続可能な経済利用の促進です。馬を観光資源として活用する取り組みや、伝統的な馬車文化の復活などは、馬の価値を再認識する上で効果的でしょう。第二に、国際機関や地域間パートナーシップを活用した馬飼養者への支援プログラムの構築が挙げられます。第三に、気候変動に対応する牧草地の保全や水資源管理の強化が求められます。これらは馬の飼養環境の整備に直接つながり、農業や観光産業の復興と相まって、長期的な効果が期待されます。

結論として、北マケドニアの馬飼養数減少は、多面的な要因が絡み合った結果であり、解決には包括的な取り組みが必要です。本データは、減少の現状だけでなく復興の可能性も示しており、今後の政策設計や地域の取り組みに大きな指針を提供しています。