Skip to main content

グルジアの馬飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が公表した最新データによると、グルジアにおける馬飼養数は1992年の16,800頭から急速に増加し、2005年には44,400頭に達しました。しかし、その後やや減少し、2022年時点で40,349頭とほぼ横ばいの推移を見せています。このデータは、グルジアにおける農業・畜産業の変遷を反映しており、馬の飼養が同国の生計や文化において一定の役割を持ち続けていることが示されています。

年度 飼養数(頭) 増減率
2023年 42,655
5.72% ↑
2022年 40,349
-0.16% ↓
2021年 40,414
-0.16% ↓
2020年 40,480
-1.35% ↓
2019年 41,033
-0.89% ↓
2018年 41,403
0.45% ↑
2017年 41,216
1.09% ↑
2016年 40,772
1.57% ↑
2015年 40,140
0.35% ↑
2014年 40,000 -
2013年 40,000 -
2012年 40,000 -
2011年 40,000 -
2010年 40,000 -
2009年 40,000
-4.76% ↓
2008年 42,000
-0.71% ↓
2007年 42,300
-1.17% ↓
2006年 42,800
-3.6% ↓
2005年 44,400
2.3% ↑
2004年 43,400
2.12% ↑
2003年 42,500
10.1% ↑
2002年 38,600
0.08% ↑
2001年 38,571
9.58% ↑
2000年 35,200
3.23% ↑
1999年 34,100
12.54% ↑
1998年 30,300
8.99% ↑
1997年 27,800
5.7% ↑
1996年 26,300
10.5% ↑
1995年 23,800
11.21% ↑
1994年 21,400
9.74% ↑
1993年 19,500
16.07% ↑
1992年 16,800 -

グルジアの馬飼養数の推移を見てみると、1992年から2000年代半ばにかけて馬の飼養数は年々増加し、特に1990年代後半から2000年代初頭の伸びは顕著でした。この背景には、旧ソビエト連邦の崩壊後に生じた経済的変化や農村部の生計多様化が大きな要因として考えられます。1992年の16,800頭から2005年の44,400頭に至るこの増加は、農業従事者が馬を農作業や運搬手段として活用した結果と推測されます。

しかし、2006年以降、馬の飼養数は減少傾向を示しました。この要因として、国全体の経済発展に伴う機械化の進展や農業技術の変化、あるいは都市部への人口流出が挙げられます。また、2008年に起きた南オセチア紛争による地域的な影響や経済停滞も馬の飼養数減少に影響を及ぼした可能性があります。戦争や地域的な緊張による物流の停滞は農業生産にダメージを与え、畜産業全般にもその影響が及んだと考えられます。

2010年代以降、馬飼養数はおおむね40,000頭前後で安定しています。このことは、グルジアにおける馬の役割が、農業機械の普及によって過去ほどの実用性を失う一方で、伝統文化や観光資源としての価値を維持していることを示唆します。また、近年では馬を用いた観光業や牧場体験が地方経済の一部を支えるようになっており、こうした利用形態の変更が頭数の比較的安定した推移に寄与したともいえます。

課題としては、農村部の高齢化や過疎化が進む中で、馬の飼養が持続可能性を失うリスクがある点が挙げられます。さらには、気候変動による農業条件の変化や、新型コロナウイルスによって観光業が停滞したことなど、収入源の多様化が必要な現実が浮き彫りになっています。このような状況では、馬を活用した農業や観光の再構築が求められるでしょう。

今後の対策としては、まず馬飼養を支えるインフラや技術指導の支援が必要です。また、馬を用いたエコツーリズムや体験型観光を強化することで、持続可能な収益モデルの確立を目指すべきです。さらに、地域間協力を促進する枠組みを構築し、牧畜業の分野で他国との技術交流やマーケット拡大を進めることも有益です。特に、日本や韓国のように観光や文化資源として馬を活用している国々の成功事例を参考にすることで、地元経済への貢献を図ることができるでしょう。

結論として、馬飼養数の推移はグルジアの農村部と都市部の均衡や、馬の役割の変化を如実に反映しています。そして、これを持続可能な形で発展させるためには、地元のニーズと世界的な観光トレンドを踏まえた政策が鍵となるでしょう。国際連合や地域協力機関と連携し、持続可能な農業と観光の融合を進めていくべきです。