国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データによると、マラウイにおける馬の飼養数は1961年以来、大きな変動を見せながら推移しています。特に2020年には飼養数が844頭と急増し、その後減少に転じ、2022年には184頭となっています。このような劇的な変動は、農業や経済状況、地政学的要素、疫病などの複合的な要素が影響を及ぼしていると考えられます。
マラウイの馬飼養数推移(1961-2022)
年度 | 飼養数(頭) |
---|---|
2022年 | 184 |
2021年 | 552 |
2020年 | 844 |
2019年 | 90 |
2018年 | 65 |
2017年 | 87 |
2016年 | 49 |
2015年 | 99 |
2014年 | 107 |
2013年 | 115 |
2012年 | 77 |
2011年 | 48 |
2010年 | 61 |
2009年 | 30 |
2008年 | 40 |
2007年 | 46 |
2006年 | 45 |
2005年 | 45 |
2004年 | 45 |
2003年 | 45 |
2002年 | 45 |
2001年 | 45 |
2000年 | 45 |
1999年 | 42 |
1998年 | 40 |
1997年 | 42 |
1996年 | 40 |
1995年 | 37 |
1994年 | 35 |
1993年 | 35 |
1992年 | 45 |
1991年 | 50 |
1990年 | 60 |
1989年 | 60 |
1988年 | 50 |
1987年 | 50 |
1986年 | 57 |
1985年 | 78 |
1984年 | 77 |
1983年 | 77 |
1982年 | 110 |
1981年 | 116 |
1980年 | 54 |
1979年 | 90 |
1978年 | 69 |
1977年 | 37 |
1976年 | 48 |
1975年 | 64 |
1974年 | 71 |
1973年 | 68 |
1972年 | 81 |
1971年 | 49 |
1970年 | 39 |
1969年 | 67 |
1968年 | 44 |
1967年 | 44 |
1966年 | 51 |
1965年 | 40 |
1964年 | 40 |
1963年 | 35 |
1962年 | 35 |
1961年 | 30 |
マラウイの馬飼養数の推移データは、1961年の30頭を皮切りに、1970年代から1980年代にかけて急激な増減を繰り返すことが特徴となっています。この期間は、農業用途を中心とした馬の利用が増える一方で、地域の経済状況や自然災害、疾病の発生などが影響した可能性があります。例えば、1972年に81頭、1979年には90頭と一時増加した後、1980年代には50~70頭台と安定しない傾向が続きました。
1990年代以降、飼養数は徐々に低迷する傾向を見せ、2000年代には40~50頭程度と小規模維持の状況が続いています。この時期において馬の役割は縮小し、農業や運輸の機械化が進展したことが背景にあると考えられます。また、都市化の進行や経済の変化が馬の需要を減少させた可能性も高いです。
しかし、2020年に入ると事情は一変します。この年の飼養数は844頭と急増し、翌2021年には552頭、2022年には184頭まで減少しました。この短期間での急増とその後の急減については、疫病や自然災害、新型コロナウイルスの世界的な流行といった突発的要因の影響があると考えられます。具体的には、新型コロナウイルスの影響で物流が滞る中、農村部での伝統的な輸送手段として馬が再評価され、一時的に需要が高まったと推測されます。その後、状況が安定するに従い需要が減少した結果、飼養数が大幅に減少した可能性が考えられるのです。
このデータが示すように、マラウイを含む発展途上国では、動物資源の需要は時代とともに異なる要素に大きく左右されます。特に地政学的背景や自然災害、疫病などが飼養数の変動に大きな影響を与えることが見て取れます。例えば、地域衝突や資源争奪が生じると農業や食糧生産に影響を及ぼし、馬の飼養が制約される可能性があります。
今後、政策面では、馬の役割をどのように再定義するべきかが議論の焦点になります。短期的には、動物的物流手段の必要性と飼養の安定性を確保するため、農業技術や畜産支援プロジェクトを強化することが率先されるべきです。例えば、馬の健康管理や疫病対策技術を普及させることで動物資源の安定供給を図ることができます。また、国際的な協力の枠組みを活用し、持続可能な畜産管理モデルを導入することも有効でしょう。
結論として、マラウイの馬飼養数の変動は国の経済、社会、環境が複雑に絡み合った結果であり、地域や国際社会の支援を組み合わせた包括的な戦略が必要不可欠です。これにより、不安定な需要の波に対処しつつ、適切な資源管理を実現することで持続可能な畜産業の基盤を整えていくことが重要です。