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アイスランドの馬飼養数推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、アイスランドの馬の飼養数は1961年の30,795頭から1990年代中盤まで継続的に増加し、1996年には80,518頭というピークを記録しました。しかし、その後ゆるやかに減少傾向を示し、近年では特に顕著な下落が見られます。2022年には51,865頭まで減少し、この60年間での最小値となっています。

年度 飼養数(頭)
2022年 51,865
2021年 54,069
2020年 58,466
2019年 67,000
2018年 68,000
2017年 64,679
2016年 72,000
2015年 74,000
2014年 74,000
2013年 74,000
2012年 76,343
2011年 78,272
2010年 77,164
2009年 77,158
2008年 77,502
2007年 76,982
2006年 75,644
2005年 74,820
2004年 72,222
2003年 71,412
2002年 71,267
2001年 73,809
2000年 73,995
1999年 77,330
1998年 78,400
1997年 79,804
1996年 80,518
1995年 78,202
1994年 78,517
1993年 76,726
1992年 75,171
1991年 74,069
1990年 71,693
1989年 69,238
1988年 63,531
1987年 59,218
1986年 56,352
1985年 54,131
1984年 52,245
1983年 52,056
1982年 53,650
1981年 52,346
1980年 50,067
1979年 51,019
1978年 49,528
1977年 48,205
1976年 46,925
1975年 44,330
1974年 41,918
1973年 39,209
1972年 36,706
1971年 33,472
1970年 34,498
1969年 34,671
1968年 34,885
1967年 35,490
1966年 34,013
1965年 30,727
1964年 29,536
1963年 30,482
1962年 31,108
1961年 30,795

このデータは、アイスランドにおける馬の飼養動態を長期的に追ったものです。馬はアイスランドの文化、農業、スポーツ、観光業において重要な役割を果たしており、その飼養数の推移はこうした分野の変化や経済的状況を反映しています。1961年から1996年まで、アイスランドの馬の飼養数は増加傾向を示し、1996年には80,518頭に達しました。この増加は、国内の農業需要に加え、アイスランド馬がその小柄な体型と耐寒能力を理由に国外輸出用として需要が高まったことが要因の一つといえます。

しかし、2000年を境に全体的な飼養数は減少の傾向に転じています。この背景には、農業の自動化や近代化による馬の必要性の低下、牧場の数の減少など、農業構造の変化が影響していると考えられます。また、近年では観光業やスポーツ用途での使用はあるものの、国内市場での需要の縮小が顕著です。さらに2020年以降、新型コロナウイルスの世界的な流行が観光業を大きく停滞させた影響で、馬の飼養数の減少が加速しています。2020年の58,466頭から2022年の51,865頭への下落は、特に観光客の減少や牧場経営者の経済的困難を背景にしていると考えられます。

さらに、この傾向は将来的な重要課題を浮き彫りにしています。馬の飼養数の減少により、アイスランド馬の存続および品種の保全が危機に直面する可能性があります。この品種はアイスランド特有のもので、その遺伝的多様性や特性は国内だけでなく、国際的にも価値のある遺産とされています。また、経済面では観光業依存が高いアイスランドにとって、馬が提供する乗馬体験や農村観光の重要性を再評価する必要があるでしょう。

この現状に対して具体的な対策が求められます。一つの提案として、国際市場への輸出促進を挙げることができます。アイスランド馬の価値をPRし、競技用や愛玩用として国際的な需要を掘り起こす取り組みが必要です。また、馬を観光資源としてさらに活用するため、自然体験型観光や持続可能なツアー開発に関する国家的なガイドラインを設定することも考えられます。これに加え、牧場経営者を支援するための経済的な補助や技術的なサポートも重要です。遺伝資源を守るためには、繁殖プログラムや品種改良に投資し、国内外での認知度を高めることが不可欠です。

結論として、馬の飼養数の推移は、アイスランドの社会経済構造や国際的条件の変化を反映しているといえます。馬の価値を保全し、魅力的かつ持続可能な資源として活用するためには、観光業や農牧業に関連する政策の見直しが必要です。また、世界的な地政学的背景やパンデミックの影響を考慮し、柔軟で戦略的な対応が求められるでしょう。