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フィジーの馬飼養数推移(1961年~2023年)

フィジーの馬飼養数は1961年の約16,164頭から2022年の47,732頭へ、約3倍に増加しています。このデータは1960年代からの急増期と、2000年代以降の緩やかな増加傾向に分けられます。特に1970年代から1980年代にかけて、馬の飼養数が年間約1,000頭以上のペースで成長したのが特徴的です。一方で、2000年代以降の増加ペースは鈍化しており、近年は安定的な成長に転じています。

年度 飼養数(頭) 増減率
2023年 47,679
-0.11% ↓
2022年 47,732
0.22% ↑
2021年 47,626
0.22% ↑
2020年 47,520
0.17% ↑
2019年 47,440
0.5% ↑
2018年 47,203
0.16% ↑
2017年 47,127
0.14% ↑
2016年 47,063
0.1% ↑
2015年 47,015
0.03% ↑
2014年 47,000 -
2013年 47,000
1.08% ↑
2012年 46,500
1.09% ↑
2011年 46,000 -
2010年 46,000 -
2009年 46,000 -
2008年 46,000 -
2007年 46,000
2.22% ↑
2006年 45,000
2.27% ↑
2005年 44,000 -
2004年 44,000 -
2003年 44,000 -
2002年 44,000 -
2001年 44,000 -
2000年 44,000
0.69% ↑
1999年 43,700 -
1998年 43,700
0.46% ↑
1997年 43,500 -
1996年 43,500 -
1995年 43,500 -
1994年 43,500
0.46% ↑
1993年 43,300
0.7% ↑
1992年 43,000
0.47% ↑
1991年 42,800
0.71% ↑
1990年 42,500
1.19% ↑
1989年 42,000
1.2% ↑
1988年 41,500
1.22% ↑
1987年 41,000 -
1986年 41,000 -
1985年 41,000
2.5% ↑
1984年 40,000 -
1983年 40,000 -
1982年 40,000
2.56% ↑
1981年 39,000
2.63% ↑
1980年 38,000
2.7% ↑
1979年 37,000
2.78% ↑
1978年 36,000
2.86% ↑
1977年 35,000
2.94% ↑
1976年 34,000
3.03% ↑
1975年 33,000
4.76% ↑
1974年 31,500
3.28% ↑
1973年 30,500
5.17% ↑
1972年 29,000
7.41% ↑
1971年 27,000
5.88% ↑
1970年 25,500
2.95% ↑
1969年 24,769
5.4% ↑
1968年 23,500
6.82% ↑
1967年 22,000
8.37% ↑
1966年 20,300
11.23% ↑
1965年 18,250
12.91% ↑
1964年 16,164 -
1963年 16,164 -
1962年 16,164 -
1961年 16,164 -

フィジーの馬飼養数の推移データは、農業や地域社会における馬の重要性と経済的役割を示しています。1960年代から1970年代にかけての飼養数の急増は、農村部における馬の労働力需要が主な要因と考えられます。これは、同時期に進行していた農業の拡大や輸送手段としての馬の利用増加が影響しています。具体的には、フィジーの農業はこの時期、主として砂糖キビやコプラ(乾燥ココナッツ)の生産の拡大を背景に発展しており、馬はその労働力として大きな役割を果たしていました。

1980年代には飼養数の増加がやや鈍化するものの、41,000頭程度で安定的な推移を見せました。この停滞は、機械化の進展や都市化が進んだことが一因と考えられます。例えば、地域社会の生活様式が徐々に変化し、自動車や農業用トラクターの普及がさらに進んだことにより、伝統的な労働力としての馬の役割が減少し始めた可能性があります。

2000年代以降は再び緩やかな増加傾向に転じています。この変化は、観光産業の発展や、馬の競技・娯楽としての利用が増えていることが背景にあると想定されます。フィジーは世界有数の観光地であるため、地域のイベントや馬術競技の振興が馬の需要を支えていると言えます。また、同時期には持続可能な農業への関心が高まっており、馬の伝統的な役割が再評価される動きも見られます。

課題としては、特に2020年以降の新型コロナウイルス感染症の影響で観光産業が一時的に停滞したことにより、馬産業全体への経済的な圧力が高まった可能性が考えられます。それでも2020年以降の飼養数のデータは47,500頭前後で横ばいか増加を維持していることから、フィジーの馬飼育業が比較的強い回復力を持っていることが伺えます。

将来的には、環境問題や都市化の進行による農村部の人口減少が馬飼養業にも影響を与える可能性があります。また、地政学的リスクとしては、太平洋地域における自然災害(サイクロンや海面上昇)が馬の飼育環境に及ぼす影響も懸念されます。これらの課題に備え、持続可能な飼育方法や飼料供給の効率化、地域間協力を強化することが求められます。

具体的な対策としては、フィジー国内での馬産業を環境的・経済的に持続可能な形へとシフトするために、政府が主導して生態系の保護と調和する農業政策を推進することが一つの方向性です。また、観光産業と馬の関連事業をさらに発展させるべく、イベントのプロモーションや公的資金の導入を進めることも有効です。国際的にはFAO(国際連合食糧農業機関)などの協力を得て、地域単位での研究や交流を進めることで、フィジーにおける馬飼養文化の持続可能性を高めることができるでしょう。

結論として、フィジーの馬飼養数は安定的な増加を見せているものの、さまざまな地政学的・経済的リスクがその成長に影響を及ぼす可能性があります。持続可能な開発目標(SDGs)の観点からも、馬産業を地域経済と調和させつつ発展させる方策が求められます。国や地域社会、国際機関が連携し、自然環境を守りながら適応的な施策をとることが重要です。