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モーリタニアの馬飼養数推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データ(2024年7月時点)によると、1961年から2022年にかけてモーリタニアの馬飼養数は、10,000頭から67,933頭へと大幅に増加しました。この間、特に1990年代後半から2000年代初頭にかけて大幅な増加が記録されましたが、2005年以降、伸び幅は緩やかになり、2020年以降は1年単位の僅かな増加に留まっています。このデータはモーリタニアにおける馬の利用状況や農牧業への依存度、また地域の社会経済的状況を反映するものです。

年度 飼養数(頭) 増減率
2023年 67,671
-0.39% ↓
2022年 67,933
0.45% ↑
2021年 67,628
0.45% ↑
2020年 67,323
0.18% ↑
2019年 67,200
3.28% ↑
2018年 65,063
0.05% ↑
2017年 65,029
0.02% ↑
2016年 65,016
0.01% ↑
2015年 65,008
0.01% ↑
2014年 65,000 -
2013年 65,000 -
2012年 65,000 -
2011年 65,000 -
2010年 65,000 -
2009年 65,000 -
2008年 65,000
1.56% ↑
2007年 64,000 -
2006年 64,000
1.59% ↑
2005年 63,000 -
2004年 63,000
8.88% ↑
2003年 57,860
10.5% ↑
2002年 52,360
11.74% ↑
2001年 46,860
13.3% ↑
2000年 41,360
15.34% ↑
1999年 35,860
18.12% ↑
1998年 30,360
22.12% ↑
1997年 24,860
28.41% ↑
1996年 19,360
1.63% ↑
1995年 19,050
2.36% ↑
1994年 18,610
1.14% ↑
1993年 18,400
1.66% ↑
1992年 18,100
1.69% ↑
1991年 17,800
1.71% ↑
1990年 17,500
2.34% ↑
1989年 17,100
3.01% ↑
1988年 16,600
1.22% ↑
1987年 16,400
1.23% ↑
1986年 16,200
0.62% ↑
1985年 16,100
0.63% ↑
1984年 16,000
6.67% ↑
1983年 15,000
7.14% ↑
1982年 14,000 -
1981年 14,000
7.69% ↑
1980年 13,000 -
1979年 13,000 -
1978年 13,000
-7.14% ↓
1977年 14,000
-6.67% ↓
1976年 15,000
7.14% ↑
1975年 14,000
7.69% ↑
1974年 13,000
-13.33% ↓
1973年 15,000
-6.25% ↓
1972年 16,000
-11.11% ↓
1971年 18,000 -
1970年 18,000
12.5% ↑
1969年 16,000 -
1968年 16,000
-20% ↓
1967年 20,000
33.33% ↑
1966年 15,000
30.43% ↑
1965年 11,500
1.77% ↑
1964年 11,300
2.73% ↑
1963年 11,000
10% ↑
1962年 10,000 -
1961年 10,000 -

モーリタニアの馬飼養数の推移は、この国の農牧業や遊牧民の生活様式における重要性を示しています。データによれば、1961年に10,000頭だった飼養数は、2022年には67,933頭にまで増加しています。この推移にはいくつかの特徴的な動きが見られます。

まず、1960年代後半から1970年代前半にかけて、馬の飼養数は比較的大きく変動しています。例えば、1966年に15,000頭だった飼養数が、1967年には約33%増の20,000頭となった一方で、その後の数年間(1968年から1974年)は再び減少トレンドに転じました。この時期の変動は、干ばつやその他の自然環境の影響、あるいは地域紛争といった地政学的リスクが馬の需要や飼育可能性に影響を与えた可能性があります。

1990年代後半から2004年にかけては、顕著な増加が見られます。1996年の19,360頭から2004年の63,000頭に至るまで、急速に飼養数が伸びました。この要因の一つとして考えられるのは、農牧業の規模拡大や遊牧民社会の変化です。この時期に暮らし向きが向上し、馬の利用目的が輸送や農耕だけでなく、競技や文化的な用途に広がった可能性も考えられます。この増加は、モーリタニアにおける地域経済の安定や、干ばつの影響が一時的に軽減されたなどの背景があると推察されます。

しかし、2005年以降は飼養数の増加ペースが鈍化しています。例えば、2005年から2018年までの13年間で65,000頭前後でほぼ横ばいとなっています。その後、2019年以降に微増が見られ2022年に67,933頭に到達したものの、2000年代の急増時期とは比較にならないほど抑制的な増加です。この鈍化は、馬の役割が社会や経済の中で変化したことを示しているかもしれません。特に近年では、機械化の進展や都市化に伴い、馬の利用が減少傾向にある可能性が指摘されます。

また、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが2020年以降の増加ペースにも影響を与えた可能性が考えられます。パンデミック中、人や物資の移動が制限されたことで、馬の商業利用や輸送用需要が一時的に停滞したのかもしれません。その一方で、パンデミックによる経済的な不安定性が遊牧社会の生活様式に与えた影響や、地方農業における労働力としての馬の再評価が進んだ可能性もあります。

モーリタニアが直面する課題としては、気候変動による水資源不足が挙げられます。この地域はサヘル帯に位置し、干ばつや砂漠化のリスクが依然として高い状況にあります。馬の飼養は水や牧草といった資源に依存しており、気候変動が進む中でその維持にはリスクがあります。また、輸送手段や農業技術の機械化が進む中で、馬に依存する社会構造の存続も課題です。伝統的な利用方法を維持しつつ、持続可能な飼養を確保する枠組み作りが急務です。

この課題に対処するためには、いくつかの具体的な対策が考えられます。一つは地域協力の枠組みを強化し、他のサヘル地域諸国と資源管理や干ばつ対策を共有することです。さらに、馬の健康管理や繁殖に関する教育プログラムを拡充することで、一頭一頭の生産性を向上させることが求められます。また、馬の飼養が文化的・観光的な価値を持つことを活かし、観光業との連携による収益化の機会も検討できます。輸送機械への移行が進むにつれて馬の役割が狭まる中、このような付加価値の創出が重要になります。

以上のように、モーリタニアの馬飼養数推移を通じて背景と課題が浮かび上がります。このデータはモーリタニアの生活や経済の変遷を示すものでもあり、これを基に持続可能な未来を目指すことが求められています。