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メキシコの馬飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、メキシコの馬の飼養数は1961年の4,047,240頭から長期的に増加し、2022年には6,407,072頭に達しました。特に1970年代初頭までは急速な増加が見られ、以降は緩やかな伸びに転じています。2000年以降、年々安定した増加が続いていますが、伸び率は限定的です。これらのデータは、メキシコの馬の飼養が農業や競馬などにおいて鍵となる役割を果たしていることを示唆しています。

年度 飼養数(頭) 増減率
2023年 6,410,796
0.06% ↑
2022年 6,407,072
0.07% ↑
2021年 6,402,628
0.07% ↑
2020年 6,398,184
0.03% ↑
2019年 6,396,166
0.04% ↑
2018年 6,393,530
0.15% ↑
2017年 6,383,724
0.16% ↑
2016年 6,373,622
0.15% ↑
2015年 6,364,160
0.14% ↑
2014年 6,355,000
-0.02% ↓
2013年 6,356,000 -
2012年 6,356,000
0.02% ↑
2011年 6,355,000 -
2010年 6,355,000
0.08% ↑
2009年 6,350,000 -
2008年 6,350,000 -
2007年 6,350,000
0.79% ↑
2006年 6,300,000
0.64% ↑
2005年 6,260,000 -
2004年 6,260,000 -
2003年 6,260,000
0.08% ↑
2002年 6,255,000 -
2001年 6,255,000
0.08% ↑
2000年 6,250,000 -
1999年 6,250,000 -
1998年 6,250,000 -
1997年 6,250,000 -
1996年 6,250,000
0.81% ↑
1995年 6,200,000
0.16% ↑
1994年 6,190,000
0.08% ↑
1993年 6,185,000
0.08% ↑
1992年 6,180,000
0.08% ↑
1991年 6,175,000
0.08% ↑
1990年 6,170,000 -
1989年 6,170,000
0.16% ↑
1988年 6,160,000
0.16% ↑
1987年 6,150,000
0.16% ↑
1986年 6,140,000
0.08% ↑
1985年 6,135,000
0.01% ↑
1984年 6,134,400 -
1983年 6,134,300 -
1982年 6,134,200 -
1981年 6,134,100
-1.14% ↓
1980年 6,205,000
-0.65% ↓
1979年 6,245,410
-0.85% ↓
1978年 6,299,209
-0.53% ↓
1977年 6,333,010
-1.39% ↓
1976年 6,422,103
1.05% ↑
1975年 6,355,436
1.81% ↑
1974年 6,242,364
4.46% ↑
1973年 5,976,009
1.04% ↑
1972年 5,914,334
-0.55% ↓
1971年 5,947,000
3.56% ↑
1970年 5,742,798
6.2% ↑
1969年 5,407,550
7.34% ↑
1968年 5,037,677
3.02% ↑
1967年 4,890,000
2.95% ↑
1966年 4,750,000
3.26% ↑
1965年 4,600,000
2.22% ↑
1964年 4,500,000
4.65% ↑
1963年 4,300,000
3.14% ↑
1962年 4,169,095
3.01% ↑
1961年 4,047,240 -

メキシコの馬飼養の推移を見てみると、1961年から1970年までの10年間で飼養数が約42%増加し、5,742,798頭に達しています。この時期は、メキシコの農村地域が依然として馬を主要な農業労働力や交通手段として利用していたことを反映していると考えられます。馬の飼養数が急増した背景として、農村地帯での労働需要の高まりや、馬を用いた農業の安定化が挙げられます。

1970年代半ば以降は増加率が低下し、1980年代から1990年代初頭にかけてはほぼ横ばいの状態が続きました。この背景には、農業の機械化や経済構造の変化が影響したと推測されます。トラクターや自動車といった近代的な機械の導入が進むにつれて、馬の役割が農業分野で次第に縮小しました。ただし、完全に需要が消えることはなく、一定の頭数が確保され続けたことから、農村部での利用が一部維持されていたことがうかがえます。

2000年代以降になると緩やかな増加傾向が再び見られます。この現象は、競馬や観光、伝統的な馬文化が重要性を持ち続けていること、さらには牧草地拡大の影響で飼養が比較的容易になったことが影響していると思われます。例えば、メキシコは伝統的な「チャラーダ」(ロデオ競技)や観光牧場など馬を用いた文化イベントが盛んな国でもあり、これらが馬の飼養を支える新たな需要を生み続けていると考えられます。

課題として挙げられるのは、農業分野で馬の需要が縮小する一方で、観光や嗜好的な用途への依存度が高まることです。これは経済の変動や観光産業の影響に馬飼養が依存するリスクを孕みます。また、飼養される馬の健康管理や繁殖の効率化が将来の課題となる可能性があります。適切な栄養や医療管理が行われない場合、頭数の安定維持が難しくなる懸念があります。

こうした状況に鑑み、次のような対策が有効だと考えられます。まず、伝統的な馬文化と観光産業を結びつけた持続可能なビジネスモデルの確立が重要です。例えば、馬関連の教育プログラムやイベントの開催は、地域経済を活性化させるだけでなく、飼養農家にも安定的な収益を提供できる可能性があります。また、農業利用が縮小している地域においては、家畜の多様性の観点から馬を持続可能な畜産業の一部として組み込むことが有効です。これには政府が飼養農家に対して助成金や技術支援を行うことも含まれます。

地政学的背景にも目を向ける必要があります。例として、牧草地の拡大や農業用水の確保問題は、メキシコ国内の気候変動や北米自由貿易協定(USMCA)下での関連政策の影響を受けやすいです。これらの問題が適切に対処されなければ、馬の飼養が長期的に困難になる可能性が否定できません。

さらに、災害や疫病のリスクにも目配りが必要です。過去には馬の感染症が拡大した事例があり、適切な防疫体制を確立することは不可欠です。国際的な機関とも連携し、異常気象に対応した飼養管理方法や国境を越えた感染症対策を強化するべきです。

結論として、メキシコの馬飼養数は近代化や社会の変化を反映して増減しており、現在は安定的な増加基調を示しています。一方で、需要の変化や外部環境による影響に柔軟に対応するため、持続可能性を重視した政策が必要です。具体的には、馬文化の振興、飼養農家への支援、気候変動への対処、そして防疫体制の構築が重要な課題となるでしょう。これらの施策を実行に移すことで、メキシコの馬産業は安定した発展を遂げることが期待されます。