Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、ラオス人民民主共和国の馬飼養数は、1961年の20,000頭から始まり、2022年には32,507頭に達しています。この60年以上のデータを見ると、いくつかの大きな変動が見られますが、特に1980年代後半から1990年代初期にかけて急激に減少した後、2000年代以降は安定期に入っています。近年は、おおむね横ばいで推移しており、大幅な増減は見られません。特に2020年以降微増の傾向が見受けられます。
ラオス人民民主共和国の馬飼養数推移(1961-2022)
年度 | 飼養数(頭) |
---|---|
2022年 | 32,507 |
2021年 | 32,405 |
2020年 | 32,303 |
2019年 | 32,137 |
2018年 | 32,540 |
2017年 | 32,550 |
2016年 | 32,550 |
2015年 | 32,500 |
2014年 | 32,500 |
2013年 | 32,500 |
2012年 | 32,000 |
2011年 | 32,000 |
2010年 | 31,000 |
2009年 | 31,000 |
2008年 | 31,000 |
2007年 | 31,000 |
2006年 | 31,000 |
2005年 | 31,000 |
2004年 | 31,000 |
2003年 | 31,000 |
2002年 | 30,000 |
2001年 | 29,000 |
2000年 | 29,000 |
1999年 | 28,000 |
1998年 | 27,000 |
1997年 | 26,000 |
1996年 | 26,000 |
1995年 | 28,600 |
1994年 | 28,600 |
1993年 | 28,600 |
1992年 | 28,579 |
1991年 | 36,190 |
1990年 | 44,000 |
1989年 | 43,000 |
1988年 | 42,000 |
1987年 | 42,000 |
1986年 | 42,000 |
1985年 | 40,000 |
1984年 | 37,000 |
1983年 | 37,000 |
1982年 | 36,000 |
1981年 | 34,000 |
1980年 | 32,000 |
1979年 | 29,817 |
1978年 | 28,000 |
1977年 | 25,000 |
1976年 | 26,000 |
1975年 | 25,000 |
1974年 | 31,000 |
1973年 | 30,000 |
1972年 | 29,000 |
1971年 | 28,000 |
1970年 | 27,000 |
1969年 | 26,000 |
1968年 | 25,000 |
1967年 | 24,380 |
1966年 | 22,334 |
1965年 | 16,000 |
1964年 | 14,136 |
1963年 | 17,000 |
1962年 | 20,000 |
1961年 | 20,000 |
ラオスの馬飼養数データは、国の農業・畜産の動向を反映する重要な指標です。馬は伝統的に労働力や輸送の手段として重要な役割を果たしており、特に地方部では未だに生活の基盤とされています。1961年には20,000頭だった飼養数は、1960年代後半にかけて増加しましたが、その後、20世紀中盤から90年代初頭までは一部年度で大幅な減少がありました。例えば、1963年から1964年にかけては3,000頭以上の減少が確認され、さらには1986年の42,000頭をピークとして、その後1992年には28,579頭まで減少しました。この減少は、地域社会の構造変化や経済要因が背景にあったと考えられます。
特に、1990年以降の急激な減少は、ラオスの経済成長と社会の近代化が背景にあるとも言えます。このころ、農村地域での機械化が進み、エネルギー効率の高い輸送手段が導入されたことが、馬の利用需要低下を招いたと考えられます。また、地政学的には国内外での経済開発の進展や国際市場の動きも影響しました。加えて、紛争や社会的変動の影響で畜産が困難な状況に陥った可能性も否めません。
2000年代以降にかけては飼養数は徐々に安定し始めました。この時期における馬飼養数の横ばい傾向は、馬の役割が変化したことを示しています。輸送用や農作業用としての需要は縮小したものの、観光資源や娯楽目的での利用が新たに注目されたと考えられます。特にラオスの地方部では、伝統文化やエコツーリズムに対する関心が高まり、馬の価値が再評価されている可能性があります。
他国と比較すると、経済規模の大きい地域では馬の飼養数がさらに大幅に減少しているケースが目立ちます。例えば、日本においては農業・林業の機械化が進む一方で、競馬やレジャーのための飼養が主流になっています。対してインドでは、農業用としての利用は一部で残されているものの、全体的な飼養数はラオスよりも多くなっています。このような差異は、国ごとの社会・経済状況や文化的背景による可能性があります。
課題としては、馬の飼養における供給面での持続可能性と地域経済とのバランスをどのようにとるかが挙げられます。特に都市化や輸送機械化が進む中で、馬の伝統的利用に意義を見出す難しさが増している点が大きな問題です。しかし、特徴的な地形や伝統文化に根ざした馬の利用方法を模索することは重要です。さらに、馬の飼養が観光業やエコツーリズムにどう貢献できるかも考慮すべきです。
今後、ラオス政府や地域のリーダーは、次のような具体的な取り組みを進めるべきです。まず、地方部のインフラを整備し、馬を活用した観光プログラムを推進することで新たな収入源を創出できます。次に、畜産業全体の効率化を図りつつ、馬の飼料供給における経済的支援を拡充することが重要です。また、馬が文化や習慣として保護されるために教育キャンペーンを実施することも効果的です。特に若い世代に対し、馬を通じた地方文化の魅力とその経済的価値を伝えることも役立つでしょう。
全体として、データはラオスの馬飼養数が一時的な変動を経た後、近年では安定した水準を保つようになったことを示しています。この推移から得られる示唆として、馬は急激な増減こそしないものの、正しい政策や地元の努力次第でその価値が新しく引き出される可能性を秘めています。