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オーストラリアの馬飼養数推移(1961年~2023年)

最新のデータを確認すると、オーストラリアの馬飼養数は長期的な減少傾向にあります。1961年には約60万頭が飼育されていましたが、2022年には約25万頭まで減少しています。ただし、2006年以降は若干の増減を繰り返しながらも、25万~27万頭の範囲に落ち着いている傾向が見られます。この数値の推移は、農業の変化、経済的条件、気候要因、地域の馬文化の変遷など、多くの要因が複合的に絡んでいるものと考えられます。

年度 飼養数(頭) 増減率
2023年 279,746
11.63% ↑
2022年 250,605
-2.96% ↓
2021年 258,256
-2.4% ↓
2020年 264,605
1.52% ↑
2019年 260,641
-3.3% ↓
2018年 269,544
-0.42% ↓
2017年 270,675
-0.53% ↓
2016年 272,113
0.15% ↑
2015年 271,702
0.63% ↑
2014年 270,000
1.12% ↑
2013年 267,000
0.75% ↑
2012年 265,000
2.13% ↑
2011年 259,467
0.57% ↑
2010年 258,000
0.62% ↑
2009年 256,413
-1.38% ↓
2008年 260,000
-1.84% ↓
2007年 264,876
3.02% ↑
2006年 257,123
16.32% ↑
2005年 221,042
0.86% ↑
2004年 219,147
-0.39% ↓
2003年 220,000 -
2002年 220,000 -
2001年 220,000 -
2000年 220,000 -
1999年 220,000 -
1998年 220,000
-4.35% ↓
1997年 230,000 -
1996年 230,000
-4.17% ↓
1995年 240,000
-4% ↓
1994年 250,000
-8.14% ↓
1993年 272,167
-5.94% ↓
1992年 289,346
-6.07% ↓
1991年 308,044
-0.76% ↓
1990年 310,418
-1.96% ↓
1989年 316,614
-5.36% ↓
1988年 334,562
7.06% ↑
1987年 312,507
-9.76% ↓
1986年 346,300
-16.82% ↓
1985年 416,314
-2.89% ↓
1984年 428,715
-4.5% ↓
1983年 448,916
-2.29% ↓
1982年 459,457
-5.95% ↓
1981年 488,535
-1.06% ↓
1980年 493,744
3.75% ↑
1979年 475,919
8.69% ↑
1978年 437,882
5.51% ↑
1977年 415,000
7.68% ↑
1976年 385,386
-9.32% ↓
1975年 425,000
-6.59% ↓
1974年 455,000
2.02% ↑
1973年 446,000
-0.89% ↓
1972年 450,000 -
1971年 450,000
-1.25% ↓
1970年 455,682
-0.29% ↓
1969年 457,000
2.01% ↑
1968年 448,000
-6.5% ↓
1967年 479,146
-3.2% ↓
1966年 495,000
-4.79% ↓
1965年 519,899
-2.97% ↓
1964年 535,834
-2.11% ↓
1963年 547,367
-2.6% ↓
1962年 562,003
-6.09% ↓
1961年 598,428 -

1960年代にはオーストラリアで約60万頭前後の馬が飼育されていましたが、それ以降急速に減少が進み、1990年代には30万頭を下回るほどに頭数が減少しました。この減少の背景には、農村部の人口減少、農業機械化による馬の役割の縮小、ならびに馬に関わる娯楽や競技の需要の変化が関係していると考えられます。農業の現場ではトラクターや機械が普及し、馬力に頼る必要がなくなったことが主要な要因であり、時代の技術的進歩を反映しています。

一方で、2000年以降のデータを見ると、減少傾向が緩やかになり、飼養数は比較的安定しています。この時期の安定要因としては、競馬や乗馬といったレジャーやスポーツに関する需要が一定の影響を与えている可能性があります。また、気候が馬の飼育環境に与える影響についても注目する必要があります。オーストラリアでは干ばつといった気候的課題が広範囲で発生しており、これは餌や水といった馬の飼育に欠かせない資源の利用可能性を制限しました。その結果、馬の飼育コストの上昇を招き、特に小規模な馬の飼育者にとっては負担が増したと思われます。

2022年には馬飼養数が約25万頭とされていますが、この減少は気候変動だけでなく、新型コロナウイルス感染症による経済的影響からも一部説明されます。特に競馬業界では大規模なイベントの中断によって経済的影響を受け、それが馬の飼育環境に波及した可能性があります。また、馬関連のレクリエーション活動が抑制されたことによって、馬の需要が一定数減少したとも考えられます。

地域別の状況を考慮すると、オーストラリアは広大な国土を有しており、馬の飼育には適した地域もありますが、地理的特徴は課題を引き起こす要因ともなり得ます。例えば、内陸部では気候条件が過酷であるため、飼料の生産や輸送にかかるコストが増加しています。この点は、国全体で馬の飼養を維持していくためには重要な課題となっています。

これから考えられる具体的な対策としては、まず第一に、持続可能な飼育方法の提案が挙げられます。具体的には、干ばつに耐性のある飼料作物の導入や、飼育技術の効率向上を図ることが検討されるべきです。また、競馬や乗馬といった娯楽の産業を活性化するための政策支援も重要です。観光産業の枠組みに馬関連のアクティビティを取り込むことなど、経済的なシナジーを生むことが期待できます。

さらに、気候変動に対する適応策および緩和策も不可欠です。農業セクター全般と同様に馬飼養者に対しても、水資源管理や土地利用計画の改善を支援する政策的介入が必要です。国際連合食糧農業機関が提案するような、リスクを軽減するための地域間の協力体制、特に情報共有や研究の促進は、オーストラリアが直面している潜在的な問題解決に繋がるでしょう。

結論として、オーストラリアの馬飼養数の減少傾向は、多くの社会的・経済的・環境的要因が絡み合った結果です。国や地域の政策決定者は、長期的な視野を持ちながら、持続可能な牧畜やレクリエーション活動の促進を視野に入れるべきです。気候変動といった長期的なリスクへの備えも含め、多角的な対策を講じることで、馬飼養業界全体の安定が図られることが期待されます。