国際連合食糧農業機関(Food and Agriculture Organization)の最新データによると、ウルグアイの馬飼養数は、1961年に約49.8万頭と記録されて以来、長期的な変動を見せてきました。全体として、1970年代後半から90年代初頭にかけて増加、2000年代前半には顕著な減少傾向を示し、その後は比較的安定しています。2022年のデータでは約41.1万頭とされています。ウルグアイにおける馬は、農業や観光、競技用など多用途に重要な役割を果たしており、この数値の推移には社会経済的背景や国際的要因が影響を与えていると考えられます。
ウルグアイの馬飼養数推移(1961-2022)
年度 | 飼養数(頭) |
---|---|
2022年 | 410,948 |
2021年 | 416,271 |
2020年 | 426,257 |
2019年 | 409,365 |
2018年 | 408,881 |
2017年 | 420,618 |
2016年 | 415,000 |
2015年 | 410,990 |
2014年 | 412,960 |
2013年 | 380,000 |
2012年 | 407,000 |
2011年 | 405,000 |
2010年 | 399,000 |
2009年 | 393,000 |
2008年 | 402,000 |
2007年 | 427,000 |
2006年 | 525,000 |
2005年 | 432,000 |
2004年 | 429,000 |
2003年 | 437,000 |
2002年 | 390,000 |
2001年 | 590,000 |
2000年 | 500,500 |
1999年 | 500,000 |
1998年 | 500,000 |
1997年 | 500,000 |
1996年 | 480,000 |
1995年 | 470,000 |
1994年 | 480,000 |
1993年 | 480,000 |
1992年 | 475,000 |
1991年 | 470,000 |
1990年 | 465,000 |
1989年 | 461,971 |
1988年 | 466,259 |
1987年 | 437,419 |
1986年 | 469,197 |
1985年 | 464,302 |
1984年 | 468,870 |
1983年 | 453,191 |
1982年 | 465,236 |
1981年 | 505,923 |
1980年 | 491,270 |
1979年 | 482,395 |
1978年 | 500,000 |
1977年 | 491,000 |
1976年 | 509,000 |
1975年 | 470,000 |
1974年 | 450,000 |
1973年 | 430,000 |
1972年 | 410,000 |
1971年 | 420,000 |
1970年 | 420,972 |
1969年 | 440,000 |
1968年 | 440,000 |
1967年 | 450,000 |
1966年 | 450,000 |
1965年 | 451,000 |
1964年 | 462,700 |
1963年 | 474,500 |
1962年 | 470,000 |
1961年 | 498,097 |
ウルグアイにおける馬飼養数の推移は、国の経済や農業形態、さらには国際市場の変動まで、さまざまな要因の影響を受けてきました。1960年代初頭には約49.8万頭であった飼養数は、その後減少に転じ、1970年代初頭には約41万頭前後に落ち込みました。しかし、1970年代中期から1980年代にかけて、45~50万頭の範囲で相対的に安定して推移しています。この間、ウルグアイにおける馬の役割は、農耕や運搬のほか、乗馬やレクリエーションといった用途にも広がり始めていました。
一方で、大きな転換点となったのが2002年のデータで、前年の約59万頭から一気に約39万頭まで激減しています。この急激な変化の背景には、2000年代初頭に発生したウルグアイの経済危機が影響していると考えられます。この経済危機により、多くの農場経営者が飼育コストの削減を迫られた結果、馬の飼養数が急激に減少した可能性があります。
その後、馬の飼養数は2010年代を通して緩やかな増減を繰り返し、40万頭から42万頭の間で安定しています。この安定期には、農業技術の進歩や機械化の普及によって馬の労働需要が低下する一方で、観光やスポーツ文化の発展により、競技用や観光用としての馬の価値が見直されてきたことが影響しています。また、気候変動や世界的な穀物市場の変動に伴う飼料価格の上昇も、飼育頭数の制限に寄与していると考えられます。
2022年には飼養数が約41.1万頭と報告され、現時点では比較的安定しているものの、将来的な課題は依然として残されています。第一に、ウルグアイにおける農業のさらなる機械化が進む中で、農業用の馬のニーズが引き続き縮小する可能性があります。第二に、経済的観点では、飼料コストや馬病予防のための医療費が増加しているほか、国際競争が激化する中で競技用馬の価格が安定しないことも課題です。
これらの課題に対して、具体的な方策として以下の提案が考えられます。まず、観光資源としての馬利用を促進し、エコツーリズムや乗馬体験ツアーの開発を進めることで新たな市場を開拓することが重要です。また、競技用馬の育成・輸出を推進するため、国際基準に適合したトレーニング施設や馬医療体制を整えることが必要です。さらに、政府や国際機関との連携を強化し、持続可能な馬飼養業を支援するための補助金制度や技術指導の提供を進めるべきでしょう。
総じて、ウルグアイの馬飼養業は、経済や社会構造の変化に対応しながらその価値を保ち続けています。しかし、国内外の経済的・地政学的環境に影響されやすい産業であることを踏まえると、持続可能な成長のために多角的な戦略が求められます。観光や競技といった新たな分野への活用を進めつつ、飼料価格の安定化や気候変動への適応策も同時に考慮し、総合的な方策を講じることが期待されます。