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モロッコの馬飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、モロッコにおける馬の飼養数は1961年の450,000頭をピークに、その後長期的な減少傾向が続き、直近の2022年には173,300頭に落ち着いています。一時的な増減を挟みつつ、特に1970年代から1990年代にかけて急激な減少が見られ、その後は160,000頭前後で推移しています。最近では、2016年以降短期的に増加しましたが、2021年以降再び減少に転じています。

年度 飼養数(頭) 増減率
2023年 173,300 -
2022年 173,300 -
2021年 173,300
-8.79% ↓
2020年 190,000
-0.52% ↓
2019年 191,000
0.53% ↑
2018年 190,000
1.06% ↑
2017年 188,000
4.44% ↑
2016年 180,000
11.11% ↑
2015年 162,000
15.71% ↑
2014年 140,000
0.57% ↑
2013年 139,210
0.77% ↑
2012年 138,150
-1.29% ↓
2011年 139,950
-9.71% ↓
2010年 155,000
5.44% ↑
2009年 147,000
-7.43% ↓
2008年 158,800
4.82% ↑
2007年 151,500
-5.61% ↓
2006年 160,500
0.69% ↑
2005年 159,400
1.79% ↑
2004年 156,600
0.19% ↑
2003年 156,300
5.54% ↑
2002年 148,100
-4.08% ↓
2001年 154,400
1.58% ↑
2000年 152,000
1.88% ↑
1999年 149,200
1.29% ↑
1998年 147,300
1.52% ↑
1997年 145,100
-6.81% ↓
1996年 155,700
-3.65% ↓
1995年 161,600
-2.12% ↓
1994年 165,100
1.73% ↑
1993年 162,300
-12.56% ↓
1992年 185,622
-3.02% ↓
1991年 191,400
-1.11% ↓
1990年 193,545
5.14% ↑
1989年 184,082
-6.84% ↓
1988年 197,600 -
1987年 197,602
14.65% ↑
1986年 172,347
-0.51% ↓
1985年 173,230
13.59% ↑
1984年 152,500
-8.89% ↓
1983年 167,389
-2.49% ↓
1982年 171,670
-30.02% ↓
1981年 245,303
-8.69% ↓
1980年 268,657
-16.04% ↓
1979年 320,000 -
1978年 320,000
2.56% ↑
1977年 312,000
-0.95% ↓
1976年 315,000
-1.56% ↓
1975年 320,000 -
1974年 320,000 -
1973年 320,000
2.89% ↑
1972年 311,000
-16.17% ↓
1971年 371,000
-4.87% ↓
1970年 390,000
2.63% ↑
1969年 380,000
10.14% ↑
1968年 345,000
-1.43% ↓
1967年 350,000
-5.41% ↓
1966年 370,000
-8.87% ↓
1965年 406,000
-6.67% ↓
1964年 435,000
-1.36% ↓
1963年 441,000
-0.23% ↓
1962年 442,000
-1.78% ↓
1961年 450,000 -

モロッコの馬飼養数の長期的な推移を観察すると、1961年の450,000頭を皮切りに、1990年代まで著しい減少を記録していることがわかります。この減少は、農業機械の普及や都市化が進行したこと、さらに社会経済的変化が影響したと考えられます。特に1980年代では馬数が急減し、1982年には171,670頭と、それ以前の水準に比べ大幅に落ち込んでいます。

1990年代以降は、減少幅が緩和されるものの、依然として減少基調は続きました。この時期、多くの農村地域での馬の役割が減少し、代わりにトラクターなどの農業機械が主流となったことが背景にあると考えられます。また、都市部への人口流入が進む中で、農村部の家畜飼育が減少したことも関係していると思われます。

注目すべき点は、2015年から2018年にかけて馬飼養数が一定の増加を見せている点です。この期間における回復は、国内農村部の再評価や観光産業の振興が影響している可能性があります。モロッコでは、多くの観光客が馬やラクダに代表される家畜を利用したアクティビティに興味を持つため、地域の観光活性化が飼養数の増加に寄与したと見られます。しかし、2021年以降の減少は、新型コロナウイルスの世界的な流行が観光業や農村部の経済に影響を与え、馬飼養が維持困難になった可能性が高いです。

地政学的背景も、この動態に大きく影響を与えた可能性があります。特に、1960年代以降におけるモロッコ国内での経済的な向上と産業化が馬の必要性を減少させました。一方で、近隣諸国と競合する中で、観光資源として馬を活用する重要性も見直されてきました。

モロッコの馬飼養数の推移を踏まえると、将来的には観光と農業政策を強化することで馬数の安定化や増加を図るべきと考えられます。具体的な対策として、馬を利用した観光プログラムのさらに積極的な開発や、農村部における馬利用への支援制度の整備が挙げられます。また、健康管理や種の保存といった家畜に対するケアを向上させるため、地域ごとに取り組みを強化する必要があります。

モロッコは、自然景観や文化的背景を活かした観光開発を推し進めることで、馬の価値を再評価する機会があります。さらに、アフリカ全体での地域間協力を進め、馬飼養数や関連産業のデータ共有を行うことで、統合的な管理方法が発展する可能性も考えられます。これらの施策により、モロッコの馬飼養は今後も重要な社会的・経済的役割を果たしていくことが期待されます。