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エクアドルの馬飼養数推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、エクアドルにおける馬飼養数は1961年の186,000頭から1980年代後半にかけて急激に増加し、1994年には540,000頭に達しました。しかしその後、2000年以降、減少傾向が続いており、2022年には155,407頭と最低値を記録しています。この変化には、社会経済的・環境的要因が影響していると考えられます。

年度 飼養数(頭) 増減率
2023年 143,391
-7.73% ↓
2022年 155,407
-19.14% ↓
2021年 192,187
11.36% ↑
2020年 172,574
-12.35% ↓
2019年 196,886
2.1% ↑
2018年 192,833
-8.17% ↓
2017年 209,990
-4.17% ↓
2016年 219,134
-1.89% ↓
2015年 223,352
-21.28% ↓
2014年 283,714
-7.86% ↓
2013年 307,911
-8.78% ↓
2012年 337,565
-1.82% ↓
2011年 343,820
-6.38% ↓
2010年 367,248
1.93% ↑
2009年 360,279
-0.99% ↓
2008年 363,886
-4.93% ↓
2007年 382,741
-5.06% ↓
2006年 403,146
-1.95% ↓
2005年 411,158
0.04% ↑
2004年 411,012
2.79% ↑
2003年 399,851
2.2% ↑
2002年 391,229
-25.48% ↓
2001年 525,000
39.72% ↑
2000年 375,760
-27.88% ↓
1999年 521,000
0.19% ↑
1998年 520,000 -
1997年 520,000 -
1996年 520,000
-0.76% ↓
1995年 524,000
-2.96% ↓
1994年 540,000
3.65% ↑
1993年 521,000
1.76% ↑
1992年 512,000
-0.78% ↓
1991年 516,000
4.95% ↑
1990年 491,652
6.84% ↑
1989年 460,160
7.82% ↑
1988年 426,800
5.7% ↑
1987年 403,800
8.55% ↑
1986年 372,000
10.29% ↑
1985年 337,299
1.85% ↑
1984年 331,175
1.36% ↑
1983年 326,728
1.38% ↑
1982年 322,281
1.38% ↑
1981年 317,894
1.38% ↑
1980年 313,567
1.39% ↑
1979年 309,260
4.2% ↑
1978年 296,800
0.68% ↑
1977年 294,800
2.01% ↑
1976年 289,000
1.4% ↑
1975年 285,000
-0.12% ↓
1974年 285,339
5.68% ↑
1973年 270,000
5.88% ↑
1972年 255,000
2% ↑
1971年 250,000
4.17% ↑
1970年 240,000
1.27% ↑
1969年 237,000
1.72% ↑
1968年 233,000
1.3% ↑
1967年 230,000
1.32% ↑
1966年 227,000 -
1965年 226,992
0.51% ↑
1964年 225,850
0.5% ↑
1963年 224,718
-0.13% ↓
1962年 225,000
20.97% ↑
1961年 186,000 -

エクアドルの馬飼養数は1961年の186,000頭から概ね増加傾向を示し、1994年に540,000頭でピークを迎えました。この成長は、農業や交通インフラ整備が進む前の農村部での需要増加や、馬の農業利用や輸送手段としての役割が大きかったことに起因します。しかし、1995年以降は減少傾向に転じ、特に2000年の375,760頭以降、持続的な大幅減少が見られました。そして2022年の155,407頭まで落ち込む結果となっています。

1980年代は交通インフラが進んでいないエクアドルの農村地域で馬が重要な移動手段であったため、飼養数の増加は地元社会での馬の役割の大きさを裏付けています。しかし、1990年代以降の減少は、幾つかの要因が影響したと考えられます。その中には、エクアドル全体の都市化率の増加、自動車を含む近代的な交通手段の普及、農業機械化の進展などが挙げられます。また、この間には経済危機や家畜管理への投資低下、牧草地縮小、そして土地利用の変化も影響しているとみられます。

さらに2020年以降は、新型コロナウイルス感染症の流行が激変した社会経済状況に拍車を掛け、馬の飼養環境にも影響を及ぼした可能性があります。観光産業への影響も大きく、観光目的で飼育されていた馬の需要減少が重荷になったと考えられます。感染症流行による人々のライフスタイルの変化が、畜産利用における優先事項をさらに下げた形です。

現在のデータを通じて伝わる課題としては、馬の飼養が持つ文化的・経済的役割が縮小する恐れがある点が挙げられます。馬はエクアドルの先住民や農村地域の生活文化の一部です。また、観光業や娯楽として提供される乗馬と結びついており、従来は重要な社会的価値を持ってきました。その衰退は、地域文化やツーリズム産業への悪影響を懸念させます。

今後の対策としては、農村部での伝統的な馬の利用価値を再認識する動きや観光業における馬の役割を見直すことが重要です。具体的には、観光業界での馬利用の持続可能な拡大や、特定地域での馬イベントの促進、地域の馬飼養者への助成金提供が考えられます。また政府主導で馬文化の保護活動を進め、観光と持続可能な農業における馬利用の価値を広める活動も有効でしょう。さらに、国民の意識を高めるための教育キャンペーンや、馬との共生を確保するための適切な飼育管理体制の重要性を啓蒙することも必要といえます。

結論として、エクアドルでの馬飼養数の推移は社会の変化を反映していますが、これに伴う課題とリスクに対処するためには、国全体で馬の役割を見直し、持続可能な政策を推進する必要があります。