ハイチにおける馬の飼養数は、1961年の約27万頭から、2022年には約50万5千頭に達し、全体として増加傾向を示しています。特に1960年代から1980年代前半にかけて顕著な増加が見られますが、1984年以降は一定の横ばい期間がありました。その後、1990年代初頭から再び増加し始め、2000年代以降はほぼ安定した推移を見せています。最新の2022年データを見ると、増加幅は小幅ながらも依然として上昇基調にあります。
ハイチの馬飼養数推移(1961-2022)
年度 | 飼養数(頭) |
---|---|
2022年 | 504,759 |
2021年 | 504,385 |
2020年 | 504,010 |
2019年 | 503,874 |
2018年 | 502,934 |
2017年 | 502,443 |
2016年 | 501,727 |
2015年 | 501,296 |
2014年 | 500,000 |
2013年 | 500,000 |
2012年 | 500,000 |
2011年 | 500,000 |
2010年 | 500,000 |
2009年 | 500,000 |
2008年 | 500,000 |
2007年 | 500,000 |
2006年 | 500,000 |
2005年 | 502,000 |
2004年 | 500,000 |
2003年 | 501,000 |
2002年 | 500,500 |
2001年 | 500,500 |
2000年 | 500,000 |
1999年 | 490,000 |
1998年 | 490,000 |
1997年 | 490,000 |
1996年 | 490,000 |
1995年 | 480,000 |
1994年 | 470,000 |
1993年 | 460,000 |
1992年 | 450,000 |
1991年 | 430,000 |
1990年 | 435,000 |
1989年 | 432,000 |
1988年 | 430,000 |
1987年 | 420,000 |
1986年 | 420,000 |
1985年 | 425,000 |
1984年 | 425,000 |
1983年 | 425,000 |
1982年 | 420,000 |
1981年 | 415,000 |
1980年 | 410,000 |
1979年 | 407,000 |
1978年 | 400,000 |
1977年 | 392,000 |
1976年 | 385,000 |
1975年 | 379,000 |
1974年 | 370,000 |
1973年 | 361,200 |
1972年 | 352,300 |
1971年 | 343,600 |
1970年 | 335,200 |
1969年 | 326,900 |
1968年 | 318,900 |
1967年 | 311,100 |
1966年 | 303,407 |
1965年 | 296,000 |
1964年 | 288,800 |
1963年 | 281,600 |
1962年 | 274,700 |
1961年 | 267,900 |
国際連合食糧農業機関(FAO)が公表した最新データによると、ハイチにおける馬の飼養数は1961年の27万6千頭から2022年には約50万4千頭となり、60年余りで約1.8倍に増加しました。このデータは農業利用や運搬手段としての馬の重要性を示しており、特に農村地域においてその役割が大きいことが分かります。
1960年代から1980年代初頭にかけては、年平均約8千頭ずつ増加し、高い成長率が観察されます。この時期は、農業が国内経済の中心を担い、馬がその労働力として広く利用されていたことが要因と考えられます。経済がまだ機械化による効率化を十分に受け入れられなかったことで、馬の需要が高止まりしていたとも推測されます。
一方で、1984年から1990年初頭までは、飼養数がほぼ横ばいとなり、一部の年では減少も見られます。この停滞の原因の1つとして、経済的な不安定性や農業形態の変化が挙げられます。ハイチは自然災害に対する脆弱性が高く、特に1980年代のハリケーンによる被害が深刻だったことが、農業生産を直撃し、それに伴って馬の飼養数にも影響を及ぼした可能性があります。
その後、1990年代に入ると再び増加傾向に転じ、2000年には50万頭を突破しました。ただし2000年代以降の増加率はわずかで、ほぼ安定した推移が続いています。このような安定的な飼養数は、馬の需要がある程度成熟し、極端な増減のない状態を示します。そして、馬が単なる農業や運搬用の手段から、家畜や文化的存在としての価値を維持していることを裏付けているとも考えられます。
しかし、ここで注目すべきは、ハイチが地政学的および気候リスクに対する大きな影響を受けやすい点です。たとえば、近年頻発する自然災害や、政治的混乱の中で農作業用のインフラの維持が困難になることは、今後の馬飼養にも影響を与える可能性があります。さらに、輸入の飼料価格高騰や、利用されなくなった馬の管理問題なども課題として浮上しています。
将来的に考えると、ハイチはまず、馬の飼養と利用のための餌料システムの確保と持続可能化を図る必要があります。これは馬を飼育する農家が経済的負担を軽減できるようにするための政策支援が一つの柱となるでしょう。また、災害リスクに備えるため、気候に適応した農作業計画の策定や、馬の健康を維持するための獣医療サービスの展開も重要です。さらに、国際的な協力により、農村部のインフラ整備や、馬の効率的利用法に関する技能訓練などを包括的に進めることが求められます。
結論として、ハイチの馬飼養数の推移は、地域社会における馬の経済的重要性を物語っています。ただし、気候変動や経済的混乱がその増加の妨げとなる可能性があるため、馬の飼養環境を保護し、農家の競争力を高める政策が必要です。これにより、馬は将来的にもハイチの経済と文化を支える重要な役割を果たし続けるでしょう。