国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによれば、カーボベルデの馬飼養数は1960年代初期に急増した後、1970年代から1980年代半ばにかけて急激に減少し、その後は緩やかに回復し続けています。2022年における馬飼養数は587頭で、これは最低値を記録した1987年の300頭と比較して約2倍の水準にまで上昇しています。このデータは、農業利用や経済状況の変動、または地理的・地政学的要因による影響を反映している可能性が高いと考えられます。
カーボベルデの馬飼養数推移(1961-2022)
年度 | 飼養数(頭) |
---|---|
2022年 | 587 |
2021年 | 582 |
2020年 | 576 |
2019年 | 575 |
2018年 | 566 |
2017年 | 561 |
2016年 | 556 |
2015年 | 550 |
2014年 | 540 |
2013年 | 530 |
2012年 | 530 |
2011年 | 529 |
2010年 | 525 |
2009年 | 520 |
2008年 | 520 |
2007年 | 515 |
2006年 | 510 |
2005年 | 500 |
2004年 | 500 |
2003年 | 490 |
2002年 | 490 |
2001年 | 490 |
2000年 | 490 |
1999年 | 490 |
1998年 | 480 |
1997年 | 470 |
1996年 | 450 |
1995年 | 427 |
1994年 | 410 |
1993年 | 390 |
1992年 | 370 |
1991年 | 359 |
1990年 | 500 |
1989年 | 700 |
1988年 | 984 |
1987年 | 300 |
1986年 | 317 |
1985年 | 400 |
1984年 | 600 |
1983年 | 800 |
1982年 | 1,000 |
1981年 | 1,300 |
1980年 | 1,350 |
1979年 | 1,400 |
1978年 | 1,450 |
1977年 | 1,500 |
1976年 | 1,550 |
1975年 | 1,600 |
1974年 | 1,650 |
1973年 | 1,700 |
1972年 | 1,700 |
1971年 | 1,789 |
1970年 | 1,989 |
1969年 | 2,860 |
1968年 | 2,500 |
1967年 | 2,424 |
1966年 | 3,925 |
1965年 | 2,481 |
1964年 | 2,450 |
1963年 | 2,416 |
1962年 | 2,249 |
1961年 | 1,224 |
カーボベルデにおける馬飼養数の推移は、同国の農業および経済、さらに環境要因との複雑な関係を示しています。1961年における馬飼養数は1,224頭でしたが、その後の数年間で急激に増加し、1966年には3,925頭に達しました。しかし、翌年には急激な減少が見られ、その後の1970年代から1980年代にかけては、ほぼ継続的に減少し、1987年には300頭まで縮小しました。この時期の減少は、気候条件の悪化、経済的困難、島国としての資源制約が影響したと考えられます。
1980年代末以降、馬飼養数はわずかに回復を始め、1990年代には400頭台に達するなど横ばいもしくは緩やかに増加しました。これには、農業政策の変化や国内経済の改善が寄与した可能性があります。直近のデータでは、2022年時点で587頭が報告されており、少しずつ持ち直している様子が伺えます。これは、飼育環境の整備や地域間での農業資源の再調整が影響しているかもしれません。
一方で、カーボベルデは乾燥した気候の島国であり、馬の飼育に適した環境資源が限られているという地理的な課題を抱えています。このため、大規模農業ではなく小規模な農家による家畜として利用されることが主流であり、機械化が進む世界的な農業の中で、馬に依存する農業形態が再評価されている一方で、それが限界に達している可能性も考えられます。また、カーボベルデの人口動態や都市部への移住が進む中で、農村地帯での家畜飼養の需要が縮小していることも背景にあると思われます。
さらに地政学的な観点から考察すると、カーボベルデのような小規模島国において、グローバルな市場や資源供給へのアクセスが限られることが、馬飼養数にも間接的に影響を及ぼしている可能性があります。特に食糧危機や地球温暖化が及ぼす脅威は、飲用水や飼料の確保を困難にする要因ともなり得ます。また、新型コロナウイルスのパンデミックによって世界的な物流網が混乱した状況も、外部からの支援物資や農業資源の輸入に一定の影響を与えたかもしれません。
今後の課題として、持続可能な馬の飼育に向けた具体的な方策が求められます。一例として、地域間協力による飼料の共有や、飲用水の効率的な利用技術の導入が挙げられます。また、伝統的な農業における馬の役割を維持しつつ、機械化と併用した農業形態への転換を進めることも有効です。さらに、政府や国際機関による農村支援やインフラ整備、技術投入の強化が必要です。このような取り組みが進むことで、馬飼養数はさらに回復し、農業や地域社会における馬の役割がより明確に再構築されることが期待されます。
結論として、カーボベルデの馬飼養数の推移は、同国の経済状況や地理的制約を反映しており、同時に持続可能な発展のための指針を提供しています。これを受けて、カーボベルデにおける農業と馬飼養の未来を支える明確な政策指針と国際的支援が求められていると言えるでしょう。