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レソトの馬飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、レソトの馬飼養数は、過去数十年間にわたり増減を繰り返しつつも、長期的には減少傾向にあります。特に近年、その減少幅が顕著であり、2018年には著しい落ち込みが見られ、2022年時点で42,212頭となりました。これは、1960年代のピーク時と比較して約半数にまで減少しており、地域の農業や畜産、輸送手段に影響を与えていることが予測されます。

年度 飼養数(頭) 増減率
2023年 66,115
56.63% ↑
2022年 42,212
-2.54% ↓
2021年 43,314
0.73% ↑
2020年 43,000
-14.69% ↓
2019年 50,402
348.54% ↑
2018年 11,237
-82.55% ↓
2017年 64,410
7.57% ↑
2016年 59,875
0.29% ↑
2015年 59,704
7.77% ↑
2014年 55,397
-7.26% ↓
2013年 59,731
-13.43% ↓
2012年 69,000
0.73% ↑
2011年 68,500
-1.92% ↓
2010年 69,843
-5.84% ↓
2009年 74,172
-4.67% ↓
2008年 77,808
12.71% ↑
2007年 69,031 -
2006年 69,029
-2.81% ↓
2005年 71,026
-11.25% ↓
2004年 80,028
5.45% ↑
2003年 75,895
-1.71% ↓
2002年 77,216
-14.49% ↓
2001年 90,300
-6.73% ↓
2000年 96,817
-2.14% ↓
1999年 98,933
11.86% ↑
1998年 88,440
1.68% ↑
1997年 86,980
-11.34% ↓
1996年 98,100
-2.19% ↓
1995年 100,300
-11.18% ↓
1994年 112,930
6.03% ↑
1993年 106,505
20.22% ↑
1992年 88,589
-9.07% ↓
1991年 97,428
-2.57% ↓
1990年 100,000
-3.64% ↓
1989年 103,781
-10.36% ↓
1988年 115,775
-10.54% ↓
1987年 129,415
1.59% ↑
1986年 127,395
15.35% ↑
1985年 110,438
9.48% ↑
1984年 100,875
-7.62% ↓
1983年 109,194
4.57% ↑
1982年 104,426
1.27% ↑
1981年 103,114
2.2% ↑
1980年 100,890
-0.23% ↓
1979年 101,123
-0.55% ↓
1978年 101,687
-2.53% ↓
1977年 104,328
0.22% ↑
1976年 104,100
3.79% ↑
1975年 100,300
-12.63% ↓
1974年 114,800
0.7% ↑
1973年 114,000
3.64% ↑
1972年 110,000 -
1971年 110,000
0.27% ↑
1970年 109,700
24.2% ↑
1969年 88,322
29.44% ↑
1968年 68,235
-29.58% ↓
1967年 96,894
44.2% ↑
1966年 67,193
-11.2% ↓
1965年 75,664
0.89% ↑
1964年 75,000
-12.34% ↓
1963年 85,562
-10.31% ↓
1962年 95,401
6.79% ↑
1961年 89,333 -

レソトは、馬が伝統的に重要な役割を果たしてきた国家であり、特に農業や移動手段において欠かせない存在です。このため、馬飼養数の推移は同国の社会経済的状況を理解する上で重要な指標の一つとなっています。しかし、1961年から2022年にかけてのデータ分析から分かるように、馬の飼養数には周期的な変動が見られるものの、全体として減少に向かっているのが現状です。その中で、特に2018年には11,237頭という急激な減少が記録されており、この異常値が示す背景の精査が必要です。

この減少傾向の要因としては、いくつかが考えられます。まず、レソト国内の近代化の進展が挙げられます。自動車やバイクなどより効率的な交通手段が普及することで、馬の需要が相対的に低下した可能性があります。同時に、経済的な課題も影響を及ぼしている可能性があります。たとえば、飼料費や医療ケアなどのコスト増加が馬飼養者にとって負担となり、その維持が困難になったと考えられます。さらに、環境・気候変動の影響が馬の生存や繁殖環境を悪化させる要因となっているかもしれません。

また、疫病の蔓延も無視できない課題です。特に2018年に記録された極端な落ち込みは、感染症の発生や地域的な疫病対応の遅れが影響を及ぼしている可能性があります。他のアフリカ諸国でも同様に、馬を含む家畜の数が疫病や農業崩壊によって減少しており、同様のリスクがレソトでも現実化している可能性があります。

さらに、地域衝突や経済不安の影響が馬飼養数に間接的な影響を与えることも考えられます。レソトのような内陸国では、周辺国との経済的なつながりや、地政学的リスクが農畜産業に影響する可能性があります。特に輸入飼料や装備が入手しづらくなることは、大規模な馬飼養を困難にする要因になるでしょう。

このような状況から、現在の課題を解決するためには、いくつかの具体的な対策が必要です。まず、馬の主要な利用目的を再評価し、地域社会における新しい役割(例えば観光資源や教育プログラムにおける活用)を模索することが求められます。また、馬に関する疫病コントロールの強化が急務です。政府や国際機関による家畜用医薬品の普及、予防接種プログラムの整備が有効と考えられます。

さらに、近隣国との協力の強化も重要です。輸入飼料や資材の確保のために地域的な枠組みを構築することや、家畜貿易の持続可能なプランを策定することが推奨されます。同時に、国際援助を受けて、馬に依存した地域産業の復興プロジェクトを推進し、地元の雇用を創出することが地域経済活性化の一助となるでしょう。

結論として、レソトの馬飼養数の減少は複数の要因が絡み合った結果であると考えられます。この状況は、単に家畜数に留まらず、農業、経済、社会文化に幅広い影響を及ぼしていると言えます。持続可能な農業政策、現代化と伝統の両立、そして国際的な協力がこの問題を解消する鍵となるでしょう。レソトは、これらの課題を乗り越えるために、地域社会と国際的な支援の双方を活用することが期待されています。