国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、レソトの馬飼養数は、過去数十年間にわたり増減を繰り返しつつも、長期的には減少傾向にあります。特に近年、その減少幅が顕著であり、2018年には著しい落ち込みが見られ、2022年時点で42,212頭となりました。これは、1960年代のピーク時と比較して約半数にまで減少しており、地域の農業や畜産、輸送手段に影響を与えていることが予測されます。
レソトの馬飼養数推移(1961-2022)
年度 | 飼養数(頭) |
---|---|
2022年 | 42,212 |
2021年 | 43,314 |
2020年 | 43,000 |
2019年 | 50,402 |
2018年 | 11,237 |
2017年 | 64,410 |
2016年 | 59,875 |
2015年 | 59,704 |
2014年 | 55,397 |
2013年 | 59,731 |
2012年 | 69,000 |
2011年 | 68,500 |
2010年 | 69,843 |
2009年 | 74,172 |
2008年 | 77,808 |
2007年 | 69,031 |
2006年 | 69,029 |
2005年 | 71,026 |
2004年 | 80,028 |
2003年 | 75,895 |
2002年 | 77,216 |
2001年 | 90,300 |
2000年 | 96,817 |
1999年 | 98,933 |
1998年 | 88,440 |
1997年 | 86,980 |
1996年 | 98,100 |
1995年 | 100,300 |
1994年 | 112,930 |
1993年 | 106,505 |
1992年 | 88,589 |
1991年 | 97,428 |
1990年 | 100,000 |
1989年 | 103,781 |
1988年 | 115,775 |
1987年 | 129,415 |
1986年 | 127,395 |
1985年 | 110,438 |
1984年 | 100,875 |
1983年 | 109,194 |
1982年 | 104,426 |
1981年 | 103,114 |
1980年 | 100,890 |
1979年 | 101,123 |
1978年 | 101,687 |
1977年 | 104,328 |
1976年 | 104,100 |
1975年 | 100,300 |
1974年 | 114,800 |
1973年 | 114,000 |
1972年 | 110,000 |
1971年 | 110,000 |
1970年 | 109,700 |
1969年 | 88,322 |
1968年 | 68,235 |
1967年 | 96,894 |
1966年 | 67,193 |
1965年 | 75,664 |
1964年 | 75,000 |
1963年 | 85,562 |
1962年 | 95,401 |
1961年 | 89,333 |
レソトは、馬が伝統的に重要な役割を果たしてきた国家であり、特に農業や移動手段において欠かせない存在です。このため、馬飼養数の推移は同国の社会経済的状況を理解する上で重要な指標の一つとなっています。しかし、1961年から2022年にかけてのデータ分析から分かるように、馬の飼養数には周期的な変動が見られるものの、全体として減少に向かっているのが現状です。その中で、特に2018年には11,237頭という急激な減少が記録されており、この異常値が示す背景の精査が必要です。
この減少傾向の要因としては、いくつかが考えられます。まず、レソト国内の近代化の進展が挙げられます。自動車やバイクなどより効率的な交通手段が普及することで、馬の需要が相対的に低下した可能性があります。同時に、経済的な課題も影響を及ぼしている可能性があります。たとえば、飼料費や医療ケアなどのコスト増加が馬飼養者にとって負担となり、その維持が困難になったと考えられます。さらに、環境・気候変動の影響が馬の生存や繁殖環境を悪化させる要因となっているかもしれません。
また、疫病の蔓延も無視できない課題です。特に2018年に記録された極端な落ち込みは、感染症の発生や地域的な疫病対応の遅れが影響を及ぼしている可能性があります。他のアフリカ諸国でも同様に、馬を含む家畜の数が疫病や農業崩壊によって減少しており、同様のリスクがレソトでも現実化している可能性があります。
さらに、地域衝突や経済不安の影響が馬飼養数に間接的な影響を与えることも考えられます。レソトのような内陸国では、周辺国との経済的なつながりや、地政学的リスクが農畜産業に影響する可能性があります。特に輸入飼料や装備が入手しづらくなることは、大規模な馬飼養を困難にする要因になるでしょう。
このような状況から、現在の課題を解決するためには、いくつかの具体的な対策が必要です。まず、馬の主要な利用目的を再評価し、地域社会における新しい役割(例えば観光資源や教育プログラムにおける活用)を模索することが求められます。また、馬に関する疫病コントロールの強化が急務です。政府や国際機関による家畜用医薬品の普及、予防接種プログラムの整備が有効と考えられます。
さらに、近隣国との協力の強化も重要です。輸入飼料や資材の確保のために地域的な枠組みを構築することや、家畜貿易の持続可能なプランを策定することが推奨されます。同時に、国際援助を受けて、馬に依存した地域産業の復興プロジェクトを推進し、地元の雇用を創出することが地域経済活性化の一助となるでしょう。
結論として、レソトの馬飼養数の減少は複数の要因が絡み合った結果であると考えられます。この状況は、単に家畜数に留まらず、農業、経済、社会文化に幅広い影響を及ぼしていると言えます。持続可能な農業政策、現代化と伝統の両立、そして国際的な協力がこの問題を解消する鍵となるでしょう。レソトは、これらの課題を乗り越えるために、地域社会と国際的な支援の双方を活用することが期待されています。