世界の牛飼養数ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

国際連合食糧農業機関（FAO）の2024年に更新された最新データによると、2020年度の世界の牛飼養数ランキングで1位はブラジル（約2億1783万頭）、2位はインド（約1億9490万頭）、3位はアメリカ（約9379万頭）となっています。一方、日本は約391万頭で60位、大韓民国は62位で約380万頭でした。中国は5位（約6193万頭）と東アジアの中では上位に位置しています。データからは、南米、アジア、アフリカ北部が牛飼養数の多い地域として目立ちます。

順位	国名	地域	飼養数(頭)
1	ブラジル	南アメリカ	217,836,282
2	インド	アジア	194,904,374
3	アメリカ合衆国	北アメリカ	93,793,300
4	エチオピア	アフリカ	70,291,776
5	中国	アジア	61,939,371
6	アルゼンチン	南アメリカ	54,460,799
7	パキスタン	アジア	49,624,000
8	メキシコ	南アメリカ	35,653,619
9	チャド	アフリカ	32,237,209
10	スーダン	アフリカ	31,757,266
11	タンザニア連合共和国	アフリカ	30,264,841
12	コロンビア	南アメリカ	27,973,390
13	ケニア	アフリカ	26,765,935
14	バングラデシュ	アジア	24,391,000
15	オーストラリア	オセアニア	23,503,238
16	ナイジェリア	アフリカ	20,585,153
17	ロシア連邦	ヨーロッパ	18,126,003
18	トルコ	アジア	17,965,482
19	フランス	ヨーロッパ	17,815,670
20	インドネシア	アジア	17,440,393
21	ニジェール	アフリカ	16,138,935
22	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	16,055,171
23	ウガンダ	アフリカ	14,515,333
24	パラグアイ	南アメリカ	14,026,143
25	南スーダン	アフリカ	13,784,065
26	ウズベキスタン	アジア	13,154,200
27	マリ	アフリカ	12,474,462
28	南アフリカ	アフリカ	12,297,621
29	カナダ	北アメリカ	11,540,000
30	ドイツ	ヨーロッパ	11,301,860
31	ウルグアイ	南アメリカ	11,182,000
32	ミャンマー	アジア	10,305,196
33	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	10,103,767
34	ニュージーランド	オセアニア	10,082,788
35	イギリス	ヨーロッパ	9,615,000
36	マダガスカル	アフリカ	8,556,770
37	ギニア	アフリカ	8,367,838
38	カザフスタン	アジア	7,850,045
39	ブルキナファソ	アフリカ	7,607,000
40	ネパール	アジア	7,458,885
41	スペイン	ヨーロッパ	6,636,430
42	アイルランド	ヨーロッパ	6,529,440
43	イタリア	ヨーロッパ	6,400,040
44	ポーランド	ヨーロッパ	6,278,900
45	ベトナム	アジア	6,230,519
46	カメルーン	アフリカ	5,976,733
47	ペルー	南アメリカ	5,636,388
48	ニカラグア	南アメリカ	5,389,122
49	アフガニスタン	アジア	5,326,747
50	イラン（イスラム共和国）	アジア	5,323,974
51	ジンバブエ	アフリカ	5,195,154
52	アンゴラ	アフリカ	5,164,900
53	ソマリア	アフリカ	4,816,403
54	モンゴル	アジア	4,732,010
55	タイ	アジア	4,641,127
56	中央アフリカ共和国	アフリカ	4,617,762
57	エクアドル	南アメリカ	4,335,924
58	ベラルーシ	ヨーロッパ	4,287,700
59	グアテマラ	南アメリカ	4,040,191
60	日本	アジア	3,907,000
61	ザンビア	アフリカ	3,814,438
62	大韓民国	アジア	3,804,976
63	キューバ	南アメリカ	3,752,400
64	オランダ	ヨーロッパ	3,691,000
65	セネガル	アフリカ	3,658,199
66	チリ	南アメリカ	3,193,276
67	モロッコ	アフリカ	3,166,900
68	ウクライナ	ヨーロッパ	3,092,000
69	ドミニカ共和国	南アメリカ	3,045,322
70	ホンジュラス	南アメリカ	2,856,088
71	カンボジア	アジア	2,756,878
72	エジプト	アフリカ	2,745,000
73	フィリピン	アジア	2,541,959
74	ナミビア	アフリカ	2,516,554
75	アゼルバイジャン	アジア	2,504,048
76	トルクメニスタン	アジア	2,498,583
77	タジキスタン	アジア	2,400,000
78	ベルギー	ヨーロッパ	2,335,440
79	ラオス人民民主共和国	アジア	2,188,000
80	モザンビーク	アフリカ	2,183,857
81	エリトリア	アフリカ	2,133,564
82	ガーナ	アフリカ	2,109,000
83	イラク	アジア	2,019,660
84	モーリタニア	アフリカ	1,948,604
85	マラウイ	アフリカ	1,946,033
86	ベナン	アフリカ	1,937,604
87	ルーマニア	ヨーロッパ	1,875,200
88	オーストリア	ヨーロッパ	1,855,430
89	イエメン	アジア	1,835,801
90	コートジボワール	アフリカ	1,756,473
91	アルジェリア	アフリカ	1,740,183
92	キルギスタン	アジア	1,715,776
93	ポルトガル	ヨーロッパ	1,691,320
94	ルワンダ	アフリカ	1,608,499
95	ハイチ	南アメリカ	1,516,728
96	スイス	ヨーロッパ	1,515,123
97	パナマ	南アメリカ	1,505,500
98	デンマーク	ヨーロッパ	1,500,000
99	コスタリカ	南アメリカ	1,427,793
100	スウェーデン	ヨーロッパ	1,390,960
101	コンゴ民主共和国	アフリカ	1,343,889
102	チェコ	ヨーロッパ	1,340,040
103	スリランカ	アジア	1,103,570
104	ボツワナ	アフリカ	950,000
105	ハンガリー	ヨーロッパ	932,900
106	セルビア	ヨーロッパ	886,127
107	シリア・アラブ共和国	アジア	884,572
108	ノルウェー	ヨーロッパ	882,961
109	グルジア	アジア	869,500
110	フィンランド	ヨーロッパ	835,380
111	エルサルバドル	南アメリカ	754,172
112	ギニアビサウ	アフリカ	713,889
113	サウジアラビア	アジア	700,000
114	マレーシア	アジア	699,424
115	ギリシャ	ヨーロッパ	631,500
116	リトアニア	ヨーロッパ	629,500
117	シエラレオネ	アフリカ	622,091
118	ブルンジ	アフリカ	619,348
119	エスワティニ	アフリカ	607,580
120	チュニジア	アフリカ	606,694
121	ブルガリア	ヨーロッパ	588,910
122	朝鮮民主主義人民共和国	アジア	581,000
123	アルメニア	アジア	579,256
124	イスラエル	アジア	525,900
125	スロベニア	ヨーロッパ	485,610
126	トーゴ	アフリカ	464,299
127	スロバキア	ヨーロッパ	442,290
128	ボスニア・ヘルツェゴビナ	ヨーロッパ	427,461
129	クロアチア	ヨーロッパ	423,000
130	オマーン	アジア	412,948
131	ラトビア	ヨーロッパ	398,990
132	アルバニア	ヨーロッパ	362,583
133	コンゴ	アフリカ	336,119
134	レソト	アフリカ	330,726
135	ジブチ	アフリカ	300,680
136	ガンビア	アフリカ	285,182
137	ブータン	アジア	281,015
138	エストニア	ヨーロッパ	253,300
139	東ティモール	アジア	245,030
140	プエルトリコ	南アメリカ	237,474
141	北マケドニア	ヨーロッパ	222,202
142	リビア	アフリカ	218,260
143	ルクセンブルク	ヨーロッパ	190,690
144	ジャマイカ	南アメリカ	160,000
145	中国、台湾 中国省	アジア	151,514
146	モルドバ共和国	ヨーロッパ	123,713
147	ベリーズ	南アメリカ	103,144
148	アラブ首長国連邦	アジア	103,102
149	バヌアツ	オセアニア	102,776
150	ガイアナ	南アメリカ	96,309
151	フィジー	オセアニア	93,301
152	パプアニューギニア	オセアニア	91,668
153	レバノン	アジア	86,680
154	キプロス	アジア	83,030
155	ニューカレドニア	オセアニア	81,376
156	アイスランド	ヨーロッパ	80,643
157	モンテネグロ	ヨーロッパ	77,889
158	ヨルダン	アジア	77,888
159	コモロ	アフリカ	51,093
160	パレスチナ国	アジア	50,443
161	リベリア	アフリカ	45,423
162	カタール	アジア	44,718
163	ガボン	アフリカ	39,235
164	スリナム	南アメリカ	36,465
165	トリニダード・トバゴ	南アメリカ	35,575
166	サモア	オセアニア	35,097
167	クウェート	アジア	31,480
168	カーボベルデ	アフリカ	29,519
169	ミクロネシア連邦	オセアニア	17,374
170	ソロモン諸島	オセアニア	15,201
171	マルタ	ヨーロッパ	14,290
172	ドミニカ	南アメリカ	13,965
173	トンガ	オセアニア	12,102
174	バルバドス	南アメリカ	11,913
175	セントルシア	南アメリカ	10,744
176	フランス領ポリネシア	オセアニア	7,541
177	バーレーン	アジア	7,000
178	赤道ギニア	アフリカ	5,442
179	モーリシャス	アフリカ	4,754
180	グレナダ	南アメリカ	4,544
181	アンティグア・バーブーダ	南アメリカ	3,474
182	セントビンセントおよびグレナディーン諸島	南アメリカ	2,569
183	セントクリストファー・ネイビス	南アメリカ	1,933
184	フェロー諸島	ヨーロッパ	1,837
185	中国、香港特別行政区	アジア	1,583
186	サントメ・プリンシペ	アフリカ	1,388
187	バハマ	南アメリカ	743
188	ブルネイ ダルサラーム	アジア	583
189	セーシェル	アフリカ	500
190	シンガポール	アジア	184
191	クック諸島	オセアニア	117
192	ニウエ	オセアニア	113
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世界の牛飼養数データは、各国の農業生産活動の特徴を反映した重要な指標として注目されています。牛は食肉や乳製品のみならず、革製品、農耕用の動力源としても利用されるため、その飼養数のデータは幅広い社会経済的な要因や地政学的な背景を反映しています。2020年度にはブラジルが圧倒的な1位となり、その頭数は約2億1783万頭にも及びます。これは、同国が広大な牧草地を持ち、肉牛の輸出大国としての地位を確立していることを如実に示しています。インドは2位に位置し、約1億9490万頭の牛を飼養していますが、多くが乳牛である点が他国と異なります。この背景には、インドの文化的要素や食生活が深く関係しています。またアメリカは3位にランクインし、約9379万頭の牛を飼養しています。主に肉牛や乳牛産業の巨大市場としての生産活動が反映されています。

アフリカ諸国でも、エチオピア、チャド、スーダンなどが上位にランクインしていますが、これらの地域では牛を農耕用や現金収入目的で利用している例が多く見られます。さらに、アフリカでは牛が社会的地位や富の象徴とされる文化的影響もその飼養数に影響を与えています。アジアでは中国が5位、パキスタンが7位に位置しており、それぞれ中国は大規模な畜産業の拡大が、パキスタンでは牛乳消費文化がその要因とされています。

一方、日本は60位にランクインし、約391万頭の牛を飼養しています。この数字はランキング上位国と比較すると遥かに少なく、日本の畜産業が効率的な生産を中心に展開されている特徴を表しています。国内消費に特化した生産体制や、農地の規模と政策的な決定が総飼養数を制約しています。大韓民国も日本と似たような位置づけで62位です。

このランキングから浮かび上がる課題として、まず環境負荷の問題が挙げられます。特に牛から発生するメタンガスは地球温暖化に寄与する温室効果ガスの主要因の一つです。飼養数が多い国ほど、畜産業に伴う環境問題への対応が求められます。例えば、ブラジルは牛飼養のためにアマゾン熱帯雨林の伐採が進む状況が懸念されており、持続可能な牧畜方法の構築が急務です。

また、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で、多くの国で畜産物の流通に困難が生じました。この影響は特に輸出依存度の高い国に顕著で、肉牛産業が主要収入源の国々ではその経済的ダメージが問題となりました。国際協力や輸送システムの改善、多国間の貿易協定の再構築がこうした事態への耐性を高める鍵と言えるでしょう。

さらに、発展途上国では牛を販売することで現金収入を得ている農家が多く、こうした国々では経済基盤の整備を進めるとともに、公衆衛生やワクチン接種など牛の健康管理を強化する必要があります。たとえば、エチオピアやスーダンでは家畜用の医療技術や飼料供給の安定化が農民の生活向上につながると考えられます。

未来への提案として、特に国際的な取り組みが重要となります。たとえば、国際機関や技術支援プロジェクトを通じて家畜の効率的な飼養方法のノウハウを共有し、資源利用の最適化を促進することが求められます。また、地球温暖化対策として、メタンガス排出量の低減を目指した技術開発も急がれるべき分野です。一方、発展途上国では農村部の経済自立のために、牛乳加工製品の生産や販売網の構築といったバリューチェーンの強化が有効でしょう。

このように、牛飼養に関するデータは単なる農業データに留まらず、環境、経済、文化、技術のさまざまな領域に影響を及ぼす要素です。今後も各国がこの分野に対して国際的な協力を進める中で、持続可能な畜産業の形が模索されることが期待されます。