国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、バーレーンの牛飼養数は1961年の3,300頭から数十年かけて増加を続けた後、1989年には13,230頭まで達しました。しかし1990年代初頭から安定し、2000年以降には大幅な増減が見られています。近年では2016年から顕著な減少傾向を示し、現在は7,000頭前後で推移しています。特定期間の減少や急増には地域的背景や政策の影響が考えられます。
バーレーンの牛飼養数推移(1961-2022)
年度 | 飼養数(頭) |
---|---|
2022年 | 7,200 |
2021年 | 7,500 |
2020年 | 7,000 |
2019年 | 7,667 |
2018年 | 7,000 |
2017年 | 6,898 |
2016年 | 8,093 |
2015年 | 8,945 |
2014年 | 10,500 |
2013年 | 10,500 |
2012年 | 10,000 |
2011年 | 10,000 |
2010年 | 10,000 |
2009年 | 7,200 |
2008年 | 7,000 |
2007年 | 9,000 |
2006年 | 9,000 |
2005年 | 9,000 |
2004年 | 9,010 |
2003年 | 11,000 |
2002年 | 15,000 |
2001年 | 10,000 |
2000年 | 11,000 |
1999年 | 13,000 |
1998年 | 13,013 |
1997年 | 12,030 |
1996年 | 12,000 |
1995年 | 11,010 |
1994年 | 12,000 |
1993年 | 12,500 |
1992年 | 13,000 |
1991年 | 12,500 |
1990年 | 13,500 |
1989年 | 13,230 |
1988年 | 11,500 |
1987年 | 9,000 |
1986年 | 8,200 |
1985年 | 7,500 |
1984年 | 6,000 |
1983年 | 6,000 |
1982年 | 6,000 |
1981年 | 5,570 |
1980年 | 5,570 |
1979年 | 5,572 |
1978年 | 5,100 |
1977年 | 4,969 |
1976年 | 4,600 |
1975年 | 4,500 |
1974年 | 4,400 |
1973年 | 5,000 |
1972年 | 5,000 |
1971年 | 4,200 |
1970年 | 4,000 |
1969年 | 4,000 |
1968年 | 3,800 |
1967年 | 3,800 |
1966年 | 3,800 |
1965年 | 3,700 |
1964年 | 3,600 |
1963年 | 3,500 |
1962年 | 3,400 |
1961年 | 3,300 |
バーレーンの牛飼養数は、1960年代から1980年代後半にかけて、段階的に増加傾向を示しており、特に1989年には13,230頭と過去最高値を記録しました。この成長は、国内の農業政策や畜産業の発展といった背景があったと推測されます。しかし、1990年代初頭から次第に減少または横ばいの傾向が続き、2000年以降は不安定な推移が顕著に見られます。2008年には7,000頭まで落ち込み、近年のデータ(2022年)では約7,200頭と、過去最高値の半分程度に留まっています。
この推移を理解するには、バーレーン固有の地政学的、経済的、環境的要因を考慮する必要があります。まず、バーレーンは国土面積がわずか767平方キロメートルと比較的小さく、農耕地や牧草地の面積も限られています。そのため、牛飼養には極めて厳しい制約が存在します。さらに、バーレーンは砂漠気候であり、水資源に恵まれていないため、家畜の飼養には高度な資源管理が必要です。これも影響を及ぼした要因と考えられます。
また、2000年代以降の国際石油価格の変動などの経済的要因や、食糧輸入への依存度が増加したことも牛飼養数の減少に影響を与えていると考えられます。バーレーンでは、国内での食肉や乳製品供給よりも、輸入に頼る経済構造が強化され、畜産業が縮小した可能性が高いです。一方、2002年に大幅に増加している15,000頭というデータは、特別政策や国際援助など一時的な要因が働いた可能性があります。
直近のデータでは、牛飼養数の減少傾向がやや鈍化しているように見え、7,000~7,500頭前後での横ばいが続いています。この背景には、新型コロナウイルス感染症の世界的な影響や、それに伴う家畜飼養の供給網の再評価が含まれているかもしれません。また、気候変動の影響がますます深刻化する中、限られた水資源と飼料を効率的に活用する新技術が採用された可能性も考えられます。
今後の課題として、バーレーンのような資源に制約がある国では、持続可能な畜産業の構築が必須となります。具体的には、飼料や水資源の効率的な利用を促進する技術や、気候変動に対応した耐性種の導入が重要です。また、地域間協力を通じて、近隣諸国との輸入依存を適切に分散することもリスク軽減策として有効です。さらに、国内需要を賄える程度の安定的な規模を維持するために、政府が畜産業支援の政策を打ち出し、小規模生産者への補助金や技術支援を拡大することが求められます。
結論として、バーレーンの牛飼養数の推移は、地理的制約や経済的構造の影響を強く受けています。このデータは、単なる畜産業の変動を示しているにとどまらず、バーレーン全体の食糧安全保障や農業政策が抱える課題の縮図でもあります。国際社会や近隣諸国との連携を強化しつつ、限られた資源を最大限に活用するための具体的な取り組みが必要です。また、データの持つ意義を用いて、持続可能な未来に向けた政策検討を進めるべきでしょう。